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仮想通貨は今でも「やめとけ」?損失回避のカギとなる4つのリスクと対策

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仮想通貨=危険という印象の背景

「暗号資産(仮想通貨)=危険」という先入観は依然として根強く残っています。激しい価格変動やセキュリティ事故などのネガティブなニュースが注目を集めがちですが、適切な知識と対策があれば、そのリスクは十分に管理可能です。

本記事では、暗号資産投資を始める前に理解しておくべき4つの主なリスクと、それらに対する実践的な対策をわかりやすく解説します。初心者から中級者まで、安心して暗号資産に取り組むための基礎知識をご紹介します。

目次

1. セキュリティリスク(ハッキング・資産保護)と対策

ビットコインを中心とする仮想通貨市場は500兆円規模(2025年5月時点)に拡大し、企業や機関を含む多くの投資家が参入しています。しかし、依然としてセキュリティ侵害による盗難事件も依然として発生しているのが現状です。

過去に発生した主要な仮想通貨流出事件

国内だけでも、過去に以下のような大規模なハッキング事件が発生し、相場や投資家に影響を及ぼしました。

  • マウントゴックス(Mt.Gox)(2014年)
    約400億円相当のビットコイン(BTC)が不正流出
  • コインチェック(2018年)
    約580億円相当のネム(NEM)が不正流出
  • DMMビットコイン(2024年)
    約480億円相当のビットコイン(BTC)が不正流出

海外では、大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの経営破綻(2022年)など、業界全体を揺るがす事件が相次いで発生しています。これらの事件により、仮想通貨市場全体の信頼性やセキュリティ体制に対する懸念が高まっています。

流出被害時の補償体制

一方、国内で仮想通貨の不正流出事件が発生した場合、金融庁の定めるガイドラインに従って補償が行われます。

例えば、DMMビットコインで発生した不正流出では、全ユーザーに対して被害額の全額を補償する方針を発表し、カスタマーサポート体制の強化も実施されました。

ただし、海外取引所だと国内規制の適用外となるほか、過去には補償が不十分だったケースも存在するため、取引所選びの際は安全性や補償体制についても事前に確認することが重要です。

暗号資産法による安全性向上とセキュリティ対策

日本では2017年4月に「暗号資産法(改正資金決済法)」が制定されました。この法律により、金融庁に登録された仮想通貨交換業者には、以下のようなセキュリティ体制の構築が義務付けられています。

  • 業者資産と顧客資産の完全分離
  • 95%以上のコールドウォレット管理
  • 法定通貨の信託保全
  • 二段階認証(2FA)の義務付け
  • 外部監査の敵的な実施
  • セキュリティ教育の徹底

2022年のFTX Japanの破綻事例では、法律に基づき業者資産と顧客資産の完全分離が行われていたため、破綻後も顧客資産が全額返還されました。こうした事例を踏まえると、海外取引所よりも日本国内の金融庁登録業者を利用することが、セキュリティ対策として有効といえます。

また、取引所の安全性に加えて、個人レベルでも以下のような対策を実践し、大切な資産を守りましょう。

  • 複数の取引所口座を開設し資金を分散させる
  • 強固で使い回しのないパスワード管理と二段階認証の徹底
  • ウォレット(ハードウェアウォレット等)を活用し、自主的な資産管理を行う

セルフゴックス(送金ミス)にも注意

仮想通貨資産が失われるのは、悪意あるハッキングによるものだけではありません。「セルフゴックス(Self-GOX)」と呼ばれる、ユーザー自身の送金ミスによる資産消失にも注意が必要です。

仮想通貨は一度誤送金すると、基本的に取り戻すことができません。送金先アドレスを間違えると、そのまま送金が実行されてしまいます。そのため、以下のような対策を講じてセルフゴックスによる資産消失を防ぎましょう。

  • 送金先アドレスの手入力は避け、コピー&ペーストやQRコードを利用する
  • 初回送金時や高額送金時は、必ず少額でテスト送金を実施する
  • 送金前にアドレスの最初と最後の数文字を目視で確認する

少し手間がかかりますが、安全に送金するためにも、こうした対策を確実に実行しましょう。

2. 市場リスク(価格変動)と対策

「暗号資産はボラティリティが相当程度高いものの、その取引に係る適切な投資環境整備を図ることで、オルタナティブ投資の一部として、リスク判断力・負担能力のある投資家による資産形成のための分散投資の対象にもなり得る」。 出典元:暗号資産を巡る制度のあり方に関する検討について(金融審議会 総会)
令和7年6月25日|暗号資産制度に関するワーキンググループ(仮称)

株や仮想通貨投資において特に注意すべきなのが、急激な価格変動(ボラティリティ)によるリスクです。ボラティリティは価格変動率(度合い)を意味し、価格変動率が大きいとはつまり価格の高低差が大きいということです 。

狼狽売りを避ける

急落時に多くの投資家が陥るのが「狼狽売り」による損失拡大です。価格下落に慌てて売却した後、相場が回復した際に高値で買い戻すことで、結果的に損失が膨らむケースが頻発しています。特に仮想通貨は回復も早いため、感情的な判断による売買は避けることが重要です。

ただし、近年はビットコインについて安定化の兆しも見られます。2024年の米SEC(証券取引委員会)によるビットコインETF承認により機関投資家の参入が加速し、長期保有を前提とした投資が短期的な価格変動を抑制する効果を生んでいます。

また、米国のストラテジー(旧:マイクロストラテジー)や日本のメタプラネットなど上場企業による大量購入も市場安定に寄与しています。

関連:ビットコインを保有する上場企業ランキング|日本・米国の注目企業を解説

一方、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)については、依然として高い市場リスクが存在します。特にミームコインや新興銘柄は、流動性の低さ、SNSでの情報拡散の速さ、大口ホルダーの投げ売りなどにより価格変動が激しい傾向にあります。

仮想通貨市場は情報の拡散スピードが特に早く、ネガティブな情報が広がると投資家の注文が殺到し、価格が乱高下しやすい独特な性質を持っています。

主なリスク対策

  • 伝統的金融資産(株式・債券・現金など)との分散投資
  • 少額投資から開始
  • 短期売買を避け、長期投資を基本とする
  • レバレッジ取引は避ける(ロスカットにより資産を失うリスクが高い)

これらのリスク管理を徹底し、市場価格の変動による大きな損失を回避することが、仮想通貨による資産運用では大切です。

3. プロジェクト・詐欺リスクと対策

仮想通貨を安全に運用するためには、偽プロジェクトや詐欺などの被害に遭うリスクにも注意が必要です。仮想通貨に関連した詐欺には、いくつかの典型的なパターンが存在します。

主な詐欺パターン

  • フィッシング詐欺:偽サイトやメールで取引所のログイン情報を盗み、不正送金する
  • 詐欺プロジェクト:実在しないプロジェクトへ勧誘し資金のみを盗む
  • エアドロップ詐欺:仮想通貨の無料配布を装って不正なプログラムにアクセスさせ、資金を盗む
  • 投資詐欺:「確実に儲かる」と謳い、参加費として送金を求める

仮想通貨はインターネット上のウォレットで管理するため、資金だけでなく個人情報の収集を目的とした詐欺が急増しています。特に巧妙化しているのが、正規の取引所を装ったフィッシングサイトやメールを使った手口で、ログイン情報を盗み取って勝手に犯罪者の口座へ送金するケースです。

また、仮想通貨は情報収集の速さが利益に直結するため、投資家が焦りやすい心理を悪用したSNS詐欺も深刻化しています。特に問題となっているのが、仮想通貨で大きな利益を上げた成功者を装い、偽プロジェクトやオンラインサロンへの勧誘、高額商材の販売などを行う詐欺手口です。

業界による詐欺対策の取り組みと対策

こうした仮想通貨を巡る詐欺に対応するため、金融庁や業界団体ではさまざまな対策を実施しています。

  • 金融庁による警告リストの公表:詐欺的業者の情報の拡散・共有と注意喚起
  • 登録業者への厳格な審査:運営体制、財務状況、技術力を総合的に評価
  • JVCEA(日本暗号資産取引業協会)による事前審査:新規仮想通貨の厳格な審査
  • 上場基準の厳格化:技術的実現性、事業計画、法的適合性の詳細を検証

仮想通貨を使った詐欺に遭わないためには、個人での対策も欠かせません。まず重要なのは、有益な情報があった際に、その情報を金融庁の警告リストなど信頼できる別の情報源で検索し、本当に信頼できる内容なのかを検証する習慣です。

また、SNSやインフルエンサーが発信している情報を鵜呑みにせず、「絶対儲かる」「今だけ限定」などの甘い言葉や焦燥感を煽る表現には冷静に対処することが大切です。

これらの対策をまとめると、以下の3つのポイントになります。

  • 運用実績が長く、金融庁登録済みの国内大手取引所を利用する
  • 「DYOR(Do Your Own Research)」=自分で徹底的に調べる習慣を持つ
  • うますぎる話や高利回りを謳う案件には必ず警戒する

この3つのポイントを徹底し、詐欺を回避して安全な仮想通貨投資を行いましょう。

4. 規制・税制リスクと対策

仮想通貨投資初心者の中には、税金に関する不安を抱える方が少なくありません。

  • 「仮想通貨の税金制度が複雑そうで怖い」
  • 「確定申告をしたことがないので不安」
  • 「どのくらい税金を払う必要があるの?」

このように心配される方も多いでしょう。仮想通貨の税制で重要なのは、株式投資とは異なる仕組みを理解することです。

株式投資との主な違い

  • 株式: 売却時に自動的に20.315%が源泉徴収される
  • 仮想通貨:雑所得として確定申告が必要(給与所得と合算して累進課税)

つまり、仮想通貨投資では利益が出た段階で税金分を別途確保しておき、翌年3月の確定申告期限までに自分で申告・納税を行う必要があります。この点を理解して適切に管理すれば、税務上の問題を避けて安全に投資を続けることができます。

仮想通貨の税金の仕組み

仮想通貨で得た利益は「雑所得」に区分され、給与所得などと合計した年間の総所得額によって所得税の税率が決まります。

【所得税の速算表】

参照元: 所得税の税率|(国税庁)

上記の所得税に加えて住民税が一律10%かかるため、よく「仮想通貨の最高税率は55%」と言われます(最高所得税率45%+住民税10%)。

税負担の仕組みと具体例

重要なポイント: 税率は給与所得と仮想通貨利益の合算で決まりますが、実際の追加納税は仮想通貨利益分のみです(給与所得分は既に源泉徴収済みのため)。

税計算:CoinPost参考

上記のシミュレーション(給与所得500万円の会社員のケース)では、仮想通貨利益に対する実際の税負担は利益の30~35%程度となります。

重要なのは、利益が出た時点でこの割合を税金用として別途保管しておくことです。給与所得の税金は既に天引きされているため、仮想通貨利益分のみ追加で納税する必要があります。

確定申告の準備

仮想通貨の取引で適切な税務管理を行うには、以下の対策が効果的です:

  • 取引履歴や収支を日々記録する
  • 損益計算ツールを活用する
  • 取引所が提供する年間取引レポートを活用する
  • 仮想通貨投資利益の適正割合を納税用として別途保管する

仮想通貨の所得は、利益から損失を差し引いた金額が課税対象となります。日々の取引記録を正確に保持することで、確定申告時の混乱を避け、効率的な税務処理が可能になります。

今後の税制改正への期待

現在の仮想通貨税制は、給与所得との合算による累進課税や自分での確定申告が必要など、株式投資と比べて複雑な仕組みとなっています。しかし、業界団体は株式投資と同様の「一律20%課税+損失繰越」制度を要望しており、金融庁も制度の見直しに前向きに取り組んでいます。

この税制改正が実現すれば、これまで説明してきた複雑な税率計算や税金分の事前確保といった手間が大幅に軽減され、より多くの投資家が仮想通貨投資に参入しやすくなることが期待されます。

関連:仮想通貨税制改正「いつから?」申告分離課税・金商法適用の影響、注目点まとめ

まとめ

「仮想通貨(投資)は危険」というイメージは、市場の初期段階や過去の混乱期に起因しています。

2025年現在では、多くのグローバル企業や機関投資家が戦略的に仮想通貨を保有し、金融ポートフォリオの一部として位置づけています。本記事で解説した4つのリスク(セキュリティ、価格変動、詐欺、税制リスク)は確かに存在しますが、基本的な知識を身につけ、適切な対策を講じることで、暗号資産(仮想通貨)ならではのリターンを享受可能です。

重要なポイント:

  • セキュリティ対策: 日本国内の金融庁登録業者の利用、複数の取引所で口座開設をして資産分散
  • 価格変動対策: 余剰資金で資産運用、分散投資や「積み立て」サービスを利用する
  • 詐欺回避: 情報の検証習慣と冷静な判断
  • 税務管理: 利益に応じた納税資金確保と記録の徹底

過去数年間の世界的なインフレや円安により銀行預金の価値が目減りする中、ビットコインなどの仮想通貨は分散投資や資産形成の新たな選択肢として注目を集めています。また、将来的な税制改正により、現在の複雑な税務手続きが簡素化される可能性も高まっています。

初めての方は、信頼性の高い国内取引所を2〜3社選び、投資可能な範囲の少額から始めることをおすすめします。実際に取引しながら理解を深めていくことが、長期的な資産運用への最良のアプローチです。

よくある質問(FAQ)

仮想通貨は本当に「やめとけ」と言われているのですか?

はい、SNSや口コミで「やめとけ」と言われる背景には、過去のハッキング事件や価格変動の激しさなどがあります。ただし、現在は法整備や補償体制が進んでおり、リスクを理解して適切な対策を取れば、安全に運用することも可能です。

初心者が仮想通貨で損をしないためにできることは?

まずは大きな金額を投資せず、少額から始めることが基本です。また、積立投資を利用することで感情的な売買を避け、リスクを分散しながら安定した運用を目指すことができます。

セキュリティ面では何に注意すべきですか?

日本の金融庁登録済みの取引所を利用し、二段階認証やハードウェアウォレットによる自己管理を徹底することが重要です。セルフゴックス(送金ミス)などにも注意が必要です。

仮想通貨の税金はどうなっていますか?

仮想通貨の利益は「雑所得」として扱われ、給与などと合算して累進課税されます。確定申告が必要であり、利益が出たら税金分を事前に確保しておくことが大切です。将来的には「申告分離課税」制度への移行も議論されています。

詐欺や怪しいプロジェクトを見抜くにはどうすれば?

「DYOR(Do Your Own Research)」=自分で徹底的に調べることが基本です。SNSの甘い言葉や高利回りを謳う案件には注意し、金融庁の警告リストや登録業者かどうかを確認しましょう。

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記事の監修

各務 貴仁各務 貴仁
株式会社CoinPost 代表取締役CEO、株式会社SUDACHI Tech 代表取締役、一般社団法人WebX実行委員会 理事。
2017年に日本最大(2024年現在)の暗号資産・Web3メディアCoinPost、2023年よりグローバルカンファレンスWebXを立ち上げる。また、次世代テックを活用した福祉事業Wave3やWeb3に特化した開発支援事業SUDACHI Techも展開する。
2024年には、経済産業省「Web3.0・ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」にて有識者委員として選任される。

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