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イーサリアム、温室効果ガス排出量を99%以上削減 CCAFがPoS移行後の環境負荷をレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 電力使用量は銀行システムの3万分の1以下
  • AWSなど大手クラウドがノードの約40%を運用

「ザ・マージ」後のETH環境負荷を分析

ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センター(CCAF)は、「ザ・マージ」を経てプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行したイーサリアム(ETH)の環境負荷を分析するレポートを発表した。

この移行により、イーサリアムネットワークの電力需要が大幅低下している。マージ直前のネットワーク需要は約2.4ギガワット(GW)だったが、マージ後のベースラインは約0.90メガワット(MW)にまで低下。年間消費量は約7.87ギガワット時(GWh)となった。削減率は99.96%におよぶ。

オルタナティブ金融センターによると、伝統的な銀行システム(データセンター、支店、ATMなど)は年間約260テラワット時(TWh)を消費しており、イーサリアムの消費量はその約33,000分の1にすぎない。

PoSとは

「Proof of Stake(保有による証明)」の略。仮想通貨の保有期間も考慮する場合がある。取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work(PoW)」の代替手段として生まれた。承認を行うと、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。

さらに、温室効果ガス排出量も劇的に減少。年間の気候フットプリントは約2.37キロトン(ktCO2e)まで削減され、移行前と比較して約99.98%低下した格好だ。

ktCO2e(二酸化炭素換算キロトン)とは、二酸化炭素および二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出量を、地球温暖化への影響度に合わせて二酸化炭素の量に換算し、キロトン(1,000トン)単位で表したものである。

なお、年間2.37キロトンの排出量は、ボーイング747によるロンドン・ニューヨーク間の往復飛行約3.5回分、または英国の一般的な家庭約900軒分の年間排出量(カーボンフットプリント)に相当する。

また、ノードが設置されている地域の電力網を考慮すると、イーサリアムのネットワークに費やされる電力構成の約56.4%が持続可能エネルギー(再生可能エネルギーおよび原子力)であり、世界平均の約43%を大幅に上回っている。

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ノード運用はアマゾンなどクラウド・企業が6割超を占める

2026年5月時点で、世界に約8,522台のノード設置が確認されている。地理的分布としては、米国(31%)、ドイツ(16%)、フィンランド(8%)、フランス(6%)の4か国で、全ノードの約62%を占めていた。

ノード運営は、クラウド・企業が約64%、家庭用回線によるものが約36%である。クラウド・企業では、主要なプロバイダーが大きなシェアを占めていた。

具体的には、ドイツの大手データセンターHetznerが15.4%、アマゾンのクラウドであるアマゾンウェブサービス(AWS)が12.8%、フランスのOVHクラウドが11.6%であり、これら上位3社でネットワーク全体の約40%をカバーしている。

しかし、レポートはこうしたクラウド集中に潜在的なリスクも指摘した。少数のプロバイダーへの過度な依存は単一障害点を生む可能性があり、主要プロバイダーの大規模障害やサービス規約の変更によって、ネットワークの重要な割合のノードとそれに依存するバリデーターがオフラインになりうると警告した。実際に2025年10月にはAWSの大規模障害がコインベースなどに影響を与えた事例があり、2022年にはヘッツナーがソラナのバリデーター約1,000台をブロックした事例も発生している。

また、オルタナティブ金融センターは、今後の展望についても述べた。将来的にステートレス検証が導入されることで、ノードのハードウェア要件がさらに下がり、スマートフォンやシングルボードコンピュータでも運用可能になる可能性があると指摘。この場合、消費電力がさらに低下する。

イーサリアム自体の消費電力が変わらなくても、ノードが設置されている地域の電力構成がより炭素排出量を低下させるものになれば、イーサリアムネットワークの排出量も自然に減少していくと続けた。

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