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JPモルガン分析、「ビットコインの最大リスクはストラテジー売却ではない」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 許可型ブロックチェーン普及がビットコインを脅かしうる
  • クラリティー法成立でも構造リスクは残ると分析

真の構造リスク

米金融大手JPモルガンのマネージングディレクター、ニコラオス・パニギルツォグル氏率いるアナリストチームは9日、「ビットコイン市場にとって最大のリスクはストラテジーによるビットコイン売却ではなく、伝統金融がパブリックチェーンを採用せずにブロックチェーン導入を進めていることだ」と分析した。ザ・ブロックなどが同日公表のレポートを報じた。

ストラテジーは今年に入り137億ドル相当のビットコインを購入しており、JPモルガンが推計するデジタル資産全体の純流入額の約70%に相当。一方、同行は7月2日公表のレポートで、ストラテジーが正式化したビットコイン売却方針が市場に「回避可能な双方向リスク」をもたらしうると指摘していた。

関連記事:ストラテジーの先週のBTC売却は収益化枠を消費せず、実際の上限はより大きいか

投資会社ヴァンエックの仮想通貨担当者は、ストラテジーの約1.35億ドルのビットコイン売却が12.5億ドルのBTC収益化プログラムの枠外に当たると指摘した。優先株配当への直接支払いは上限の対象外で、実際の売却余力は市場想定を上回る可能性がある。

関連: ビットコイン(BTC)の今後・将来性【2026年6月】有識者7名の価格予測と2030年シナリオ

許可型チェーン台頭とパブリックチェーンの競合脅威

JPモルガンのアナリストは、機関投資家のブロックチェーン採用がプライバシー保護、顧客本人確認(KYC)・マネーロンダリング防止(AML)への対応、ガバナンス、処理能力、法的説明責任、規制上の確実性で優位な許可型ブロックチェーンを選好してきたと説明した。これがイーサリアムなどパブリックチェーンへの「競合上の脅威」をもたらすとした。

国際決済銀行(BIS)もスケーラビリティ、ガバナンス、法的説明責任、決済確定性への懸念から、重要な金融インフラへのパブリック型ブロックチェーン利用に警鐘を鳴らしており、トークン化された中央銀行デジタルマネー・商業銀行預金・トークン化資産を統合した許可型統合台帳の活用を推進していると、アナリストは警告した。

銀行も独自のブロックチェーン基盤を整備しており、その代表例がトークン化預金だとアナリストは述べた。トークン化預金が規制当局の選好する譲渡不能な形式で広く普及すれば、機関投資家の決済・清算においてステーブルコインの必要性が低下する可能性があるとした。

また、国際銀行間通信協会(SWIFT)の17行参加によるブロックチェーン台帳実証実験や、デジタルユーロ・デジタル人民元といった中央銀行デジタル通貨(CBDC)プロジェクトも規制に準拠した国際決済の選択肢をさらに広げる可能性があるとも付け加えた。

関連記事:SWIFTのブロックチェーン元帳が稼働、17銀行がパイロット取引に参加

国際銀行間通信協会のスウィフト(SWIFT)は8日、ブロックチェーン基盤の共有元帳が初期利用可能な状態となったと発表した。6大陸の17行がトークン化預金を用いた実取引のパイロットに向けて準備を進めていることが明らかになった。

RWA市場とパブリックチェーンの位置づけ

現実資産のトークン化(RWA)市場は現時点で約500億ドル規模にとどまり、相当部分がイーサリアム上でホスティングされている。ただJPモルガンのアナリストはこれは初期段階の実験にすぎず、機関投資家の採用が拡大するにつれ、発行・保管・決済・ライフサイクル管理はアイデンティティ管理、機密性、ガバナンス、業務上の回復力といった機関要件を満たす私的・許可型インフラ上に移行していく可能性が高いと分析した。

米決済清算機関のDTCCが許可型インフラ上でトークン化ワークフローを開発しながらステラとの選択的接続を検討している例や、資産トークン化プラットフォームのセキュリタイズがソラナやアバランチ上で適格者管理を伴うトークン化資産を発行している例を挙げた。

クラリティー法も解決策にならない可能性

さらに、アナリストは米クラリティー法が今年後半に成立したとしても、こうしたリスクを解消できない可能性があると分析。同法はデジタル資産の規制上の明確性をもたらしうる一方、銀行発行のトークン化預金の普及を後押しし、パブリックチェーン上のステーブルコインの役割を限定したまま既存金融機関を強化しうるとした。

関連記事:米クラリティー法、8月6日に照準

米仮想通貨市場構造法「クラリティー法」の交渉が続く中、全国黒人法執行幹部協会が初の支持を正式表明した。倫理条項の合意は得られておらず、次の期限である8月6日に向けた協議が続いている。

一方でアナリストは、こうした見通しを覆しうる要因もあると指摘した。パブリックチェーンと許可型チェーンが共存するハイブリッドモデルの確立、規制環境の改善を背景としたステーブルコインの採用拡大、そしてビットコインがエコシステム全体の動向と切り離される形で「デジタルゴールド」や通貨価値希薄化へのヘッジとして取引され続けることが挙げられるという。

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