
年間158億ドルの税収で薬物乱用対策を強化
ニューヨーク州議会のフィル・ステック議員は今週、州内の仮想通貨取引に0.2%の物品税を課す法案A0966を提出した。この法案により年間1億5,800万ドルの税収が見込まれ、州北部の学校における薬物乱用防止プログラムの資金として活用される。
課税対象にはビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨、NFT、マイニングやステーキングで得られるデジタル資産、ステーブルコインも含まれる。仮に法案が承認されれば2025年9月1日から即座に施行されることとなるが、法案成立には複数段階の審議プロセスが必要となる。州議会下院での委員会審査と承認を経て、下院本会議での採決が行われる。下院通過後は州上院での承認を得て、最終的に州知事が署名または拒否権行使を判断する。
ステック議員は薬物依存問題対策委員会の委員長を務める民主党議員で、「仮想通貨投資家は迅速で即座の富への欲求に突き動かされている」と指摘した。オピオイド危機が深刻化する州北部地域において、学校での薬物乱用対策強化が急務となっている背景がある。
ニューヨーク州では2023年時点でビットコインなどの仮想通貨は現金同等物として税務上扱われており、キャピタルゲイン税、贈与税、相続税の対象となっている。
他州でもワイオミング州がステーブルコイン準備金から得られる金利などの資金を教育基金に充当する計画を進めるなど、仮想通貨事業利益を活用した学校支援の取り組みが広がっている。ニューヨーク州は金融・フィンテック分野で重要な地位を占めており、近年仮想通貨市場の急成長から価値を捕捉する狙いがある。
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