
拡大する規制緩和
米連邦準備制度理事会(FRB)が8月15日、仮想通貨・フィンテック関連業務を監督する特別プログラムを終了すると発表した。同プログラムの知見を通常の監督プロセスに統合し、2023年に作成した監督レターを撤回する。
FRBは2023年8月に「新規活動監督プログラム」を開始し、仮想通貨、分散台帳技術(DLT)、ノンバンクとの複雑な技術主導パートナーシップなどを監督の対象としていた。仮想通貨カストディ、仮想通貨担保融資、ステーブルコイン発行・配布なども監督範囲に含まれていた。
プログラム開始以来、FRBはこれらの活動、関連リスク、銀行のリスク管理慣行への理解を深めたと説明。そのため、蓄積した知識と監督業務を標準的な監督プロセスに統合することを決定した。特別プログラムを通じて得た専門知識を日常的な銀行監督に活用する。
この決定は、バイデン前政権時代とは異なるアプローチの一環とされる。FRBは4月に、銀行の仮想通貨・ステーブルコイン活動参加を阻害していた以前のガイダンスを撤回している。連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)と共同で、既存規則が顧客の仮想通貨保有にどう適用されるかを明確化した声明も発表していた。
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トランプ大統領就任以降、規制当局全体が仮想通貨に対するスタンスを転換してきた。FDICは金融機関が事前通知なしで仮想通貨活動に従事することを許可すると表明した。証券取引委員会(SEC)も「プロジェクト・クリプト」を開始し、デジタル資産規則の更新に着手している。
今回のプログラム終了により、仮想通貨関連業務を行う銀行は従来の監督枠組みに戻ることになる。FRBは金融イノベーションが米国経済と消費者に利益をもたらす一方、銀行の安全性と健全性に重大な影響を与えるリスクも生み出すと認識している。通常監督プロセスへの統合により、効率性向上と規制負担軽減を図るとしている。
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