
スイの成長性、投資リスク
スイ(SUI)は、米国のMysten Labsが開発した高速・低コストのレイヤー1ブロックチェーンです。独自の並列処理技術により、高い処理能力と短い取引確定時間を実現し、DeFiやNFT、ゲームなど幅広い分野でエコシステムが拡大しています。
執筆時点、TVL(預かり資産総額)が20億ドル(3,000億円)を超え、ハイパーリキッドに次ぐ規模に拡大中。現物ETF(上場投資信託)申請が米国で審査されており、機関投資家の流入期待も高まるなど注目を集めています。
この記事では、スイ(SUI)の価格動向や将来性について詳しく解説します。
※2024年1月〜2025年4月のJVCEA統計情報自社調べスイ(SUI)の概要
スイ(SUI)は、Meta(旧Facebook)のDiemプロジェクト出身のEvan Cheng氏が率いるMysten Labsにより設計された次世代L1ブロックチェーンです。創業陣はLLVMや大規模分散システムの実績を持ち、資金調達は株式中心に累計約3.6億ドル(SUIトークンの販売は含まず)。競合として同じMove系のAptosが存在します。
仮想通貨SUIの基本情報
項目 | データ |
---|---|
発行上限(流通量) | 100億(35億)SUI |
メインネット起動日 | 2023年5月3日 |
コンセンサスアルゴリズム | DPoS |
過去最高値 | 5.3ドル(782円) :2025年1月7日 |
価格・時価総額 | 3.78ドル(556円) 130億ドル(約2兆円)* |
同セクターTOP銘柄 時価総額比較 | ETH 約5,670億ドル SOL: 約1,000億ドル |
預かり資産総額(TVL) | 22億ドル(3230億円)* |
累積アクティブアカウント数 | 1億9400万件* |

基本的な性質(トークノミクス/手数料モデル)
- 手数料バーンなし:トランザクション手数料はバーンされず、主にバリデータ/ステーカーへの報酬として分配。
- ストレージファンド:オンチェーンデータ削除時に手数料の大半(最大約99%)が返金され、残余はファンドに蓄積される恒久的なトークン・シンクとして機能。
- ローカル手数料市場:混雑するアプリやプールのみ手数料が上昇し、他領域への波及を抑制。
スイの成長ドライバーと最新動向
企業の連携強化など、米国での存在感拡大
トランプ大統領が就任して以降、米国を暗号資産の中心地とする方針を進めています。2025年初頭には、大統領令で規制緩和や戦略的備蓄の検討を行うワーキンググループを設置するなど、産業推進策が具体化しています。
こうした環境は、米国を拠点とするMysten Labsが開発したスイにとっても追い風となっており、現物ETFの申請や米大手企業との提携など、米国内での存在感を高める動きが相次いでいます。
現物ETF申請による、機関投資家流入への期待
スイは米国で現物ETFの申請が進行しており、仮に承認されれば機関投資家などからの大規模な資金流入が期待されています。現在、米投資会社カナリー・キャピタルとスイスの21Sharesが申請し、いずれもSEC(米証券取引委員会)の審査段階にあります。
ETF(上場投資信託)の利点は、米国の証券口座から株と同様にSUIを取引できるようになること。流動性や信頼性の向上、長期的な成長基盤の強化につながる可能性があります。
マイクロソフト、トランプメディアとの連携
1つ目は、マイクロソフトは企業向けデータ分析基盤「Microsoft Fabric」に、ビットコインやイーサリアムと並んでスイのオンチェーンデータの統合を進めています。
スイ・ブロックチェーン上のデータを簡単にリアルタイムで分析・活用できるようになるため、企業の採用拡大につながることが期待されます。
さらに、トランプ大統領が関与するDeFiプロジェクト「World Liberty Financial(WLFI)」の戦略的準備金「Macro Strategy」に仮想通貨スイ(SUI)が組み込まれ、協業も開始しました。
WLFIの共同創設者ザック・フォークマン氏は協業の理由について、スイが米国発のイノベーションであり、拡張性が非常に高く、採用が進んでいる点を挙げており、「DeFiをより多くの米国民に提供するという我々のミッションに非常に合っている」とも語ってています。
2024年には、カリフォルニアの企業ETZが米国の個人退職勘定(IRA)を通じてスイへの投資を可能にし、退職金を積み立てながらスイを保有できるようにしました。
エコシステムが急成長中

出典:DefiLlama
スイは、ネットワークの高いアクティビティと多様なプロジェクトの集積によって、他のL1チェーンと比べても際立った成長を遂げています。2025年8月時点でTVL(預かり資産残高)は21億ドル(3,000億円)を突破。
全ブロックチェーンの中ではハイパーリキッドに次ぐ9位にランクインしています。さらに、トランザクション数は1日あたり1,500万件以上を安定して記録しており、継続的な資金流入と活発なエコシステム利用が示されています。
ゲーム、ビットコイン金融(BTC-Fi)で突出
現在、SUIが特に力を入れているのがBTCfiエコシステムの拡大です。スイは戦略的に「BTCを貸す・増やす・トレードする場所」を掲げ、WBTCやLBTCなど、ビットコイン(BTC)を担保に発行する資産の運用先としてのユースケースを拡大しています。
高利回りのリワード(報酬)設定もあり、BTC系TVLはスイのTVL全体の約10%(2億ドル)にまで成長しています。
また、スイの主要な開発企業Mysten Labsは、携帯型Web3ゲーム機「SuiPlay 0X1」を2025年内に発売予定で、ゲーム領域の拡大にも注力。ゲーム専用のステーブルコインの開発や、年内10本以上のGameFi(ゲーム+金融)ジャンルのタイトル投入が計画されており、ゲーム領域の拡大によってスイのさらなる利用増加につながることが期待されます。
機関投資家から注目される強固なエコシステム
スイのエコシステムは機関投資家からの関心が高まっており、今後の資金流入が期待されています。2025年8月には、米大手仮想通貨運用会社グレースケールの投資信託にスイ関連プロジェクト「DEEP」と「Walrus」が組み込まれました。この2つが「スイの経済圏で金融・データ基盤として重要な役割を果たす」との理由からです。
関連:スイ(Sui)関連銘柄DEEP・WAL、グレースケール投資信託に初採用
また同月にはスイスの大手デジタル資産銀行Sygnumが、SUIのステーキングや取引サービスの提供を開始。企業や機関投資家も参入しやすくなりました。こうした動きにより、SUIは外部資金を呼び込むポテンシャルを備えた成熟したエコシステムへと進化しています。
Vaneckのスイ価格予測
ビットコインやイーサリアムETFの発行体として知られる大手資産運用会社VanEckは、2025年1月付けのレポート『Sui vs. Aptos: Competitive Analysis and Price Prediction』で、2025年末までにSUIが約16ドル(約2,350円)に到達すると予測しています。
考え方は、まず「ブロックチェーン基盤(SCP)の市場規模」が約1.1兆ドルまで拡大すると仮定し(米国のM2マネーサプライとの相関性に基づく試算)、その中でスイが約5.5%のシェアを確保すると置くものです。これによりSuiの時価総額は約610億ドル(約8.9兆円)となり、年末の流通を約38億枚前後と見込むと、1枚あたり約16ドルに相当します。(詳細は注記1)
実需データでも、(レポート発行時)過去1年間の手数料収入はAptosの約6倍(約1,000万ドル)を記録し、TVLや取引量も拡大しています。こうしたファンダメンタルズの積み上がりが、上記の価格見通しの根拠として評価されています。
技術面の評価軸としても、トレードや決済の実用性を高める仕組みが評価されています。詳しくは「スイ(SUI)の技術的な特徴」をご参照ください。
注記1:レポート本文には「2025年1月時点で30億枚がアンロック」とありますが、価格は時価総額÷流通枚数で決まります。16ドルという水準は、年末の流通を約38億枚前後と置くと整合します。なお、2025年8月時点の実勢の流通は約35億枚です。月次アンロックで流通が積み上がる前提を織り込んだ試算といえます。
注記2(参考):VanEckはMove系全体で約6.5%、その内訳としてSui約5.5%+Aptos約1%という想定を示しています。VanEckはSUI/APTにポジションを保有しています。
※本記載は情報提供であり、投資助言ではありません。流通枚数やアンロックスケジュールは変動しますので、最新情報をご確認ください。
SUIの国内取引所比較
投資を検討する際は、まず信頼できる国内取引所を選ぶことが大切です。そのためには、取扱銘柄数や各種手数料などを比較し、自分のニーズに合った取引所を選びましょう。以下では、SUIを取り扱っている主要な国内取引所をご紹介します。
スイ(SUI)取引所の特徴早見表
おすすめ 取引所 |
おすすめポイント | 取引所手数料 (SUI参考) |
入金手数料 | 出金手数料 | 出庫手数料(SUI参考) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1
![]() ビットバンク
|
国内アルトコイン取引量No.1** | Maker:-0.02% Taker:0.12% (2025年9月11日まで手数料無料) |
無料 | 550円(3万円未満) 770円(3万円以上) |
0.2 SUI | ※2024年1月〜2025年4月のJVCEA統計情報自社調べ |
2
![]() OKJ
|
狭いスプレッドと 高い流動性 |
Maker:~0.07% Taker:~0.14% VIP割引あり |
無料 | 400円~1,320円 | 0.5〜3 SUI | *30日間の取引量100万円未満 Lv1の場合 |
3
![]() ビットポイント
|
取引所取引手数料が無料 | 無料 | 無料 | 月1回無料 (2回目以降は330円) |
無料 | – |
OKJアプリの「取引所」使い方

出典:OKJ
OKJアプリの取引所では、値動きと板の注文状況を確認しながらの指値注文と成り行き注文できます。
ただし、流動性が低いタイミングで迂闊に成行注文を用いると、予想外の価格へと上昇して約定するスリッページが生じ、思わぬ損失が出ることがあります。買い注文、売り注文の量を確認し、ておくことが重要です。
スプレッドが広い場合や板に十分な流動性がない場合、希望の価格で全ての注文が執行されない可能性があります。
例えば以下の画像のような板の場合、10,000SUIを成行注文で売りたい時には119.38~119.90の間の価格で売値が決定されます。

出典:OKJ
指し値注文の場合は、注文を出した価格で決定されますが、流動性が低いと売りが執行されるまで時間がかかることもあります。
スイ(SUI)の技術的な特徴
- オブジェクト中心 × 静的並列実行: 資産や状態を「オブジェクト」として扱い、取引が触れる箇所を明示。衝突を実行前に検出・整列できるため、DEXなど高コンテンド下でも処理効率が高い。
- Fast Path(超低レイテンシ支払い): 単純送金は合意形成を経ずに処理可能で、~300ms級の応答を実現。体感速度が高く、決済UXに強い。
- Pilot Fish(水平スケール): バリデータがサーバーを横方向に増設でき、ホットスポットを分散。スループットの拡張余地が大きい。
- ローカル手数料市場: 混雑するアプリ/プールのみ手数料が上昇し、チェーン全体の手数料高騰を回避。用途ごとのコスト予見性が高い(SLA的な取り決めも可能)。
- Programmable Transaction Blocks(PTB): 1トランザクション内で最大1,024のコマンドを動的に分岐・同時実行。オン/オフチェーン計算を併用した最適ルーティング等が可能で、マーケットメイカーやDEXアグに有利。
- DeepBook(共有CLOB層): チェーン共通の板流動性レイヤーを提供し、アプリ横断で深い流動性にアクセス可能。価格発見の効率向上が期待できる。
- 料金設計(Reference Price+Priority Fee): 参照価格に優先料金を重ねる方式で、大口の板更新など高頻度オペレーションのコスト最適化がしやすい。
- Move(Sui Move): 所有権と型による安全性を重視し、資産セーフティと予測可能な実行を両立。一般的な脆弱性(リエントランシー等)に強い設計。
- コンセンサスとDPoS: DAG系メンポール+BFT系の合意と委任型PoSで、高スループットと低コストを両立。
Web3のUXを平易化する「zkLogin」
zkLoginは、Google/Apple等の一般的なOAuthを使ってSui dAppへ即時アクセスできる仕組み。ゼロ知識証明により、アドレスとOAuthアカウントの紐付けを秘匿したまま正当性を証明し、2要素+Saltで乗っ取り耐性を強化。既存のログイン体験のまま、マルチシグやスポンサー取引とも併用できる。
ゼロ知識証明とは
「秘密そのものは開示せず」、その秘密が真であることだけを示す暗号技術。本人性や属性の検証を、プライバシーを守りながら可能にします。
スイ(SUI)の投資リスク
SUI財団と韓国規制当局の係争
2023年末に、韓国の金融監督院がSUI財団によるステーキングされたトークンの売却疑惑について調査を開始しました。SUI財団はこの疑惑を否定しており、透明性を強化するため、今後トークンのリリーススケジュールを公開する計画です。
価格変動と市場の影響
スイの価格変動には、大口投資家の影響が大きく反映されています。個人投資家にとっては、ユーザーベースやアクティブアドレス数などの指標を注視し、エコシステム全体を総合的に評価することが重要です。
競争環境と市場の動向
スイがイーサリアムを中心としたスマートコントラクト市場でどれだけシェアを獲得できるかは不透明です。競合プロジェクトであるトン(TON)やアバランチ(AVAX)の動向、さらに米国でETF申請が進行中のソラナ(SOL)やアプトス(APT)もスイの市場シェアに影響を与える可能性があります。
集中化リスクとトークンのロック解除
SUIの総供給量は100億枚で、2025年8月時点では約35億枚(約35.1%)がアンロック・流通しています。今後も段階的なアンロックが進み、2030年までに約47.8億枚(約47.8%)が市場に出回る予定です。現在から2030年までの間に、供給量が12%以上増加する見込みであり、その過程で売り圧力が高まる可能性もあるため、トークンアンロックの動きには注意が必要です。

出典:Sui Foundation
記事の監修
本記事は企業の出資による記事広告やアフィリエイト広告を含みます。CoinPostは掲載内容や製品の品質や性能を保証するものではありません。サービス利用やお問い合わせは、直接サービス提供会社へご連絡ください。CoinPostは、本記事の内容やそれを参考にした行動による損害や損失について、直接的・間接的な責任を負いません。ユーザーの皆さまが本稿に関連した行動をとる際には、ご自身で調査し、自己責任で行ってください。