メジャーSQ前のビットコインデリバティブ相場をプロが分析|寄稿:仮想NISHI
*本レポートは、暗号資産取引所SBI VCトレードのクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコインマーケットレポート(3月30日~4月5日)
ビットコインは、3月27日に米商品先物取引員会(CFTC)が世界最大級の暗号資産交換業者バイナンスとチャンポン・ジャオ最高経営責任者らを提訴したと発表したことを受けて約1,500ドル幅下落低下したものの、未決済建玉(OI)が比較的少なかったこと、デリバティブ市場が売られすぎの状況だったこと等が影響し、大幅な下落とはならなかった(最大約1,500ドル幅の下落)。
執筆時点では2万8千ドル付近、3月31日のビットコインのメジャーSQを前に、CFTCによる提訴前の年初来最高値付近の価格に戻している。
足もと
成行注文のアクティブなOIは、価格上昇とともに増加しているものの500Mドル程度と、価格帯の割には少ない状態(下画像赤枠)となっており、デリバティブ市場を起因とする売りの連鎖は限定的であるといえる。
ファンディングレートをみると、全体的にフラットであるが、一部取引所では売られすぎの状態(下画像青枠)が見られる。
現物市場
成行売買ではデリバティブ市場では売り(下画像赤枠)が多いことに対して、現物は買いが多い状況(下画像青枠)となっている。
デリバティブ市場
年初来最高値付近であるものの、一部取引所では先物価格が現物価格よりも安い状態となっており、依然として需要超過の状態が続いている。
先物市場
CMEでは、価格が急騰しているもののOIの上昇は少ない状態が続いている。ポジションはAsset Manager、Leveraged Fundsも売りポジションの増加がみられる。
オプション市場
CFTCの提訴により、現物渡しで取引されるオプション市場では取引の弱気が見られていたが、直近の価格上昇によりPCRレシオは急激に低下(下画像赤枠)しており、マイナーは強気に変わりつつあると考えられる。
また、増加しているコールポジションは3万ドル~3万2千ドルに多く集まっている(下画像青枠)。
外部環境
19日にスイス金融最大手のUBSが同業のクレディ・スイス・グループを買収したことにより、金融不安が増大し、安全資産である米国債が買われており、米国債利回りは低下傾向にある。結果として金利の低下がビットコインの追い風となり、直近の上昇につながったと考えられる。
オンチェーン環境
PooledTXはバイナンスがCFTCに提訴された3月27日に一時的にやや増加したものの、それ以降は少ない状態が続いており、直近のビットコインの活発な入出庫は見られていない。
また、ビットコインは年初来最高値付近にあるものの、ビットコインに比べアルトコインへの資金流入は起きていないことが確認できる。
ハッシュレート
次回難易度予想は+10.6%と大幅な難化予想、ハッシュレートは歴史的な高水準にある。
直近のクリプト指標
3月31日
CME・ビットコインSQ, アバランチ Cortinaアップグレード, 米個人消費支出(PCE):23年2月結果
4月3日 米ISM製造景気指数:23年3月結果
4月5日 米ADP雇用者数:23年3月結果
総括
ビットコインは、CFTCによるバイナンス提訴が発表され一時的に下落したものの、すぐに提訴前の水準まで回復した。ビットコインのメジャーSQを前に、価格は年初来最高値付近にあるものの、依然として全体的に売られすぎの状態が続いている。
外部環境として、米銀行の相次ぐ破綻や、スイス大手金融の買収など国際的な金融不安が継続しており、それに伴う金融市場の環境変化がビットコイン上昇の追い風となっている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します