Bitmain営業部長が語る、浮き沈みの激しいマイニング業界をリードし続ける秘訣|WebXインタビュー
PoWコミュニティへのコミットメント
7月下旬に開催された国際カンファレンスWebXにて、CoinPostは暗号資産(仮想通貨)マイニング機器大手ビットメイン(Bitmain)のXmei Lin営業部長に独占インタビューを行った。
浮き沈みの激しいマイニング業界でトップに君臨し続ける秘訣を尋ねた。
弱気相場への対処方法
- ―どのようにしてマイニング業界のトップを維持し続けられたのか
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Lin氏
まずは最高の製品を製造すること。常にそのような製品を製造していることがリスク低減につながります。消費者は弱気相場であれ、強気相場であれ、我々に最初に目を向けます。またキャッシュフロー管理がうまくいっていることも重要だと思います。
- ―弱気相場では機器の需要が減り、強気相場では増える どのように供給量管理しているか
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Lin氏
これまでにもいくつかの相場サイクルを経験しているため、在庫管理については問題がありません。また、一般的には強気相場で需要が増えると考えられていますが、経験豊かなマイニング企業は、強気相場に備えて弱気相場でマイニング機器を購入する傾向があります。
データセンターの建設には通常3ヶ月から6ヶ月の期間がかかりますが、強気市場で機器を購入すると、建設が終了する頃には相場が終わっている可能性もあります。事前の準備が大変重要です。
ビットコインの半減期
- ―ビットコインの半減期が迫っている マイナーは利益率を維持できるか
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Lin氏
ビットコインのエコシステムに参入するということは、マイニングやその他のインフラであれ、ただ単にビットコインを購入することであれ、長期的に見れば、この業界に楽観的なビジョンを持っているということだと思います。短期的に見れば価格は上下するでしょうが、ビットコインに関しては常に楽観的に考えています。
半減期後すぐに価格が上昇するかどうかはわかりませんが、長期的に見れば、価格が上昇するということについて、この業界では基本的に意見が一致しています。
(採掘報酬の半減する)半減期はマイナーにとって大きなリスクでもありますが、マイニングの最も重要な要素は「効率性」であり、マイニング企業が半減期を生き延びるのには大変重要なことです。最も効率の良い最新鋭のマイニング機器であれば、操業停止のリスクなしにマイニングを継続できます。
- ―具体的な戦略をマイナーに示しているか
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Lin氏
マイニングの性能はリスクをもたらすため、弊社ではいくつか解決策を用意している。
効率をより高めるためのファームウェアのアップグレード、古いモデルから新しいモデルへのアップグレードプランがあります。また、最新機器S19JXPをローンチしました。これはより高いハッシュレート(採掘速度)で効率性も最高峰なので、半減期に対処するためぜひ入手してほしいと考えています。
マイニングに適した地域
- ―かつてシェア世界1位だった中国マイナーは、本当に中国を去ったのか
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Lin氏
大規模なマイニングを行う企業は、中国を出てシンガポールに移転しました。オフィスはシンガポールに置きつつ、北アメリカ、南アメリカ、そして中央アジアにデータセンターを構えています。一方、候補の一つであるロシアは言語や文化の壁があって中々難しいようです。
- ―電力コストなどを考慮してどの地域が最もマイニングに適しているか
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Lin氏
やはりアメリカだと思います。電気代は安くはないが高くもない。最も大切なのは、アメリカが世界最大の文明大国であること。法が遵守され、安全且つ安定な地域だということは、マイニング企業にとって大切な条件です。
PoW一択か
- ―ビットメインはマイニングで確固たる地位を築いているが、他分野に事業拡大計画はあるか
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Lin氏
弊社は主にビットコインマイニング機器にフォーカスしており、世界一のマシンを製造するため、日々の研究・開発を継続しています。
また、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)とPoS(プルーフ・オブ・ステーク)については多くの議論がなされていますが、我々は、教育やその他の活動において、PoWのエコシステムとコミュニティのサポートにも尽力しています。なぜなら、我々はPoWが最高の分散型のコンセンサスと考えているからです。
ビットコインだけでなく、ライトコイン、ドージコイン、イーサリアムクラシックなどのPoWコミュニティをサポートしています。最近ではKADENAやKASPAが人気があるようです。
- ―最近はファイルコイン(Fil)向けのマシンもある
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Lin氏
新しいものとなるが、ファイルコインの分散型ストレージというのは、ブロックチェーンを促進するとても優れたアイディアだと思います。
AI分野と貿易戦争
- ―昨今ではAI産業が注目されている AIチップ製造に進出し、エヌビディアやAMDに対抗する計画は?
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Lin氏
AI向けのGPUは大変興味深いです。我々にとっては全く新しい分野で、おそらく将来的には考慮するかもしれません。
- ―米国と中国のチップ戦争は悪化の一途をたどっているが、ビットメイン社への影響は?
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Lin氏
弊社はほとんど全てのサプライチェーンと工場を中国から移転し、全ての製造拠点をタイとインドネシアにおいているため、影響はありません。
顧客には米国の上場企業が多いが、年次報告書作成のために、弊社のインドネシア、マレーシア、タイの工場からの配送方法について知っておく必要があります。上場企業が弊社を選ぶ主な理由は、安全性にあると考えています。
- ―マシンの新規受注は増えているか?
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Lin氏
現在はまだ強気相場ではなく、準備期間であり、大幅な増加は見られません。しかし、多くのマイニング企業がパラグアイやウルグアイなど、南米にデータセンターを建設していることは把握しています。時間はかかるだろうが、データセンターの建設が完了すると、他のニーズが発生するでしょう。
- ―MarathonやRiotなどの米大手マイニング企業の株価が上昇している マシンを製造する会社への影響は?
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Lin氏
去年はマイニング企業の株価が大幅に下がり、困難な時期だったが、今年は株価が大幅に回復し、弊社への発注も増加しており、ポジティブなサインだと言えます。
- ―顧客とは密接な関係を築いているのか?
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Lin氏
上場企業など大切な顧客とは、毎日コミュニケーションをとっています。施設建設の際に、技術支援を行うのは我々の義務でもあります。実際に弊社のエンジニアが現地を訪問し、対面で指導したり、建設用地が適しているかなどのアドバイスを行ったりすることもあります。
Marathonなどの米上場企業は年初来3倍以上上昇している。
ビットメインは世界最大手のASIC(エーシック)マシンメーカー。2013年にジハン・ウー氏とマイクリー・チャン氏が中国・北京を拠点として設立し、現在は世界各地に支部を設けている。フラッグシップマシンには、ビットコインマイナーS19j XPや、KAS専用のKAS Miner KS3などがある。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します