米カリフォルニア版「ビットライセンス」、州知事が署名し成立
州議会可決から1年後の署名
米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は14日、デジタル金融資産法を制定する法案に署名。2025年7月1日から施行される。
この法律は、ニューヨーク州が2015年に導入した暗号資産(仮想通貨)事業認可制度「ビットライセンス」のカリフォルニア版として認知されているもの。同法案は2022年8月にカリフォルニア州議会で可決されていたが、翌月、ニューサム知事が拒否権を発動し、成立には至っていなかった。
ニューサム氏は当時、署名を拒否した理由として以下の点を挙げていた。
- 透明性のある規制環境制定に関する行政命令(ニューサム氏が発令)へのフィードバックを考慮せずに、ライセンス制度を創設するのは時期尚早である
- 今後の連邦レベルでの措置を検討する必要性
- 急速に進化するテクノロジーとユースケースに対応するためには、より柔軟なアプローチが必要
- 規制プログラムの確立のためには多額の費用がかかるが、予算に計上されていない
今回、法案の署名にあたり、ニューサム氏は、規制の明確性を確保するため、以下の点を強調した。
消費者と規制当局、そしてこの新たな認可の枠組みの対象となる事業者に明確性を提供するため、特定の用語や本法案の範囲の曖昧さについて、規制プロセスと法規の双方においてさらなる調整が必要となる。
ビットライセンス
2015年からニューヨーク州の金融サービス局(Department of Financial Services)が発行。取引所の運営、送受金、カストディ、管理、発行といった事業を行う場合に必要な認可である。
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規制当局
デジタル金融資産法では、金融保護・イノベーション省(DFPI)が監督機関に指定され、規制の枠組みを構築する権限、及び暗号資産(仮想通貨)活動に関するライセンス承認や執行権限が与えられている。
「業界の動向に対応し、消費者への被害を軽減するよう、思慮深く調整する」ため、DFPIによる規制制定には、18ヶ月の実施期間が設けられた。
DFPIはカリフォルニア州の金融サービス関連事業者を監督し、法や規制の執行を行なっている。銀行や信用組合、送金業者、決済業者、証券ブローカーディーラー、投資顧問に至るまで、さまざまな金融事業のライセンス承認が委ねられている規制機関だ。
DFPIには仮想通貨ユニットが設立されており、州の消費者金融保護法に基づいて、仮想通貨活動を監督してきた実績を持つ。
ビットライセンスより厳しい監査要件
デジタル金融資産法では、仮想通貨事業者は、DFPIからライセンスを取得することが義務付けられるとともに、厳格な監査と5年間にわたる詳細な財務記録の維持という要件が課せられる。
また、以下の条件を満たさないステーブルコインの場合、「交換、譲渡、保管、管理」に従事することが禁じられている。
- ステーブルコインの発行者が銀行、もしくはDFPIが認可した機関であること
- ステーブルコイン発行者は、少なくとも市場に流通しているステーブルコインと同等の金額の準備金によって完全に裏付けられた状態を維持していること
ただし、この禁止要件は2028年1月には撤廃されるとしている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します