GBTCのマイナス乖離が一桁に、アークのビットコイン戦略も奏功
GBTCの市場価格が適正化へ
24日、暗号遺産(仮想通貨)の資産管理会社グレースケール・インベストメンツが運用するビットコイン投資ファンド「GBTC」において、純資産価値(NAV)に対するディスカウント(マイナス乖離)率が-9.77%に縮小した。
一時期-45%まで拡大していたディスカウント率が大幅に改善したことを示しており、ETFへの転換申請の進展が背景にあると見られている。
この率は、GBTCの市場価格が信託で保有するビットコインの実際の価値に比べてどれだけ低いかを表すもので、10%を下回ったのは2021年7月以来初めて。
GBTCは株式の償還ができないクローズドエンド型の、ビットコインに連動した投資信託で、米国の非上場株式市場「OTCマーケット(OTCQX)」で取引される。投資家はこの信託を通じて、物理的にビットコインを売買・保有することなく、証券口座を通してビットコインへの投資を行うことができる。
強気相場では純資産価値よりも高い価格(プレミアム)で取引されていたGBTCだが、弱気相場では割引価格で取引されることがあり、特にFTX.comの米国での破産法適用申請後の2022年11月19日には、一時最大-45%のディスカウントを記録していた。
グレースケールは米SECと面談
グレースケールは、GBTCをオープンエンド型「ETF」に転換する申請案で、米SEC(米証券取引委員会)と対立してきたが、今年8月の裁判で、SEC側の姿勢が「恣意的かつ気まぐれなもの」と指摘され、グレースケール側に有利な判断が示された。SEC側は上訴せず、今月20日に両者が会議を行ったことが報じられた。
ETF上場承認への期待が高まっており、GBTCの株価は過去1ヶ月で約25%上昇し、24日の米市場終了時点で30.45ドルの終値を記録した。
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アークはリバランスを図る
一方、キャシー・ウッド率いるアーク・インベストメント・マネジメントは、GBTCの株式配分を縮小している。同社は22日、アーク・ネクスト・ジェネレーション・インターネットETF(ARKW)から36,168株(1.64億円相当)を売却した。これに先立ち、21日には32,980株(1.49億円相当)を売却し、合計約3億円を得た。
アーク・インベストメントは、ビットコインと仮想通貨市場への投資に戦略的なアプローチを続けている。今月初めには、ARKWから139,506株(約5.67億円相当)のGBTC株式を売却しビットコイン販売手数料収益が第3四半期に22%増加したブロック社の株式113,326株(約8.37億円相当)を3つのファンド全体で購入した。
10月23日以降の1ヶ月間で、ARKWは合計69万7768GBTC株を売却しているが、依然として430万GBTC株(約1億3180万ドル相当)を保有している。ARKWのポートフォリオでGBTCは米取引所CoinbaseとストリーミングサービスRokuに次ぐ3位を占め、全体の9.2%を構成している。
市場では、SECによる現物ビットコインETFの上場承認に向けた期待が高まっている。複数の資産運用会社が申請しており、SECは今週初めにブラックロックとも面談を行った。ビットコイン(BTC)の価格も好反応を見せており、過去1か月で9.1%上昇し、5,649,194円で取引されている。年初来では160%上昇している。
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