豪政府機関、ブロックチェーンを利用したスマートマネーアプリの試行に成功|障害者支援に大きな一歩
- オーストラリア政府研究機関、スマートマネーアプリの試行を完了
- オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)と商業銀行最大手CommBankが、ブロックチェーンを活用した「スマートマネー」アプリの試行を成功させたと発表した。この試行には、障害者と家族のための全国サポートネットワーク(NDIS)から参加者が協力したという。
- スマートコントラクトとは
- 主にイーサリアムプラットフォーム上で使用されており、ブロックチェーンの記録だけで、自動契約・債務履行まで行うことができるプロトコル。
オーストラリア政府研究機関、スマートマネーアプリの試行を完了
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)と同国商業銀行最大手のCommonwealth Bank of Australia (CommBank)が、ブロックチェーンを活用した「スマートマネー」アプリの試行を成功させたと発表した。
CSIROのData61部門とCommBankが取り組んでいた「スマートマネー」は、保険金の支払い管理や家計予算管理、信託や慈善活動のマネジメントなどを補助するスマートコントラクト技術だ。
この技術を利用したアプリの試行には、CommBankのイノベーションラボで国民障害者保険制度(NDIS)から10人の参加者と介護者が協力したという。
NDISとは、オーストラリアの障害者とその家族のためにサポートを提供する全国ネットワークで、この試行を通じ、「スマートマネー」アプリが事務処理コストを削減し、詐欺や偶発的な浪費を防ぐといった機能によって、より豊かな障害者支援サービスを提供できることを証明したという。
アプリ内では、事前設定した条件に基づいて、支払い手続きをサービス業者に行うことも可能だ。
この成果は、「Making Money Smart」と題されたレポートにまとめられ、公開されている。
オーストラリアで続くブロックチェーンを活用した事業展開
CISRO Data61の上級主席研究員であるMark Staples博士(以下Staples博士)は、
「NDISの様な、条件の付いた支払い状況下におけるブロックチェーン技術の恩恵と限界を理解するためにも、この取り組みは重要な研究プロジェクトだった」
と述べ、ブロックチェーンを活用することで決済環境の多くが革新され、ネットワーク効果の利点を生かされるようになると説明した。
CSIROとCommBankの考えでは、このプロトタイプがオーストラリア全土で実装されると毎年「数億ドル」を減軽することができ、アプリのユーザーは週1〜15時間と0.3〜0.8%の年間収入を節約可能だという。
CommBankの政府・ADI責任者であるJulie Hunter氏は
「家計予算管理を簡素化し、書類仕事を無くしながらも、NDISからの参加者にとっては、障害支援サービスの選択肢を広げて管理可能となることに対し、私たちは非常に興奮している」
と述べた。
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が革新的なスマートコントラクトプラットフォームを構築しようと取り組んでいることは、これまでにもお伝えしてきた通りだ。
産業の枠を超えた「オーストラリアン・ナショナルブロックチェーン(ANB)」など、ブロックチェーン技術を採用した革新的な取り組みが続けられている。
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