20倍のレバレッジを採用した「新たな現物決済ビットコイン先物」が発表|米ブルームバーグも仮想通貨市場への影響を分析
- 新たな現物決済ビットコイン先物市場
- イギリス最古の仮想通貨取引所に属していたCoinfloorEXは、公式サイトにて、新たに【CoinFLEX】という取引プラットフォームとして、今年の2月より開業すると発表した。Bakktと同様で、ビットコインやイーサリアムでの現物受け渡し先物取引となり、レバレッジ最大20倍。
新たな現物決済ビットコイン先物市場
イギリス最古の仮想通貨取引所Coinfloorに属していたCoinfloorEXは7日、新たに【CoinFLEX】という取引プラットフォーム名に改名、先物および信用取引の機能を追加したことを発表した。CoinFLEXは、今年の2月よりオープンするとしている。
CoinFLEXが提供するビットコイン先物は、2018年末にBakktやErisXも発表した『現物ビットコイン受け渡しの先物取引』と同様の仕組みであり、Bakkt(レバレッジ不可能)のBTC先物ではできない、レバレッジ取引が最大20倍で利用可能となる。米有力誌ブルームバーグの報道では、ビットコインだけでなく、ビットコインキャッシュとイーサリアムも先物取引の対象となるとしている。
加えて、CoinFLEXの先物取引は米ドルUSD建てだけではなく、テザーの米ドルステーブルコインUSDT建てを採用している。先物契約が満期となれば、ショート側はビットコイン等の現物を渡し、USDTを受ける。またローングの場合はその逆となる。
同氏はUSDT建てのメリットをこのように語った。
テザーは最も流動性の高いステーブルコインであり、最近では今までの銀行預金疑惑も晴れつつあり、信頼が回復しているため、この通貨に決定した。
なお、USDTだけでなく、サークル社開発のステーブルコインUSDCも近いうちに導入する予定だ。
現物受け渡しの重要性とは
CoinFLEXの出資企業には、ビットコインキャッシュ(ビットコインABC)陣の提唱者であるロジャー・バー氏やトレーディングソフトウェア開発の専門企業Trading Technologies International Incが名に挙がっており、香港本拠地のCoinFLEXのCEOを務めることとなるMark Lamb氏(Coinfloorの共同創設者)は今回の事業に関して以下のようにコメントをしている。
仮想通貨のデリバティブ市場の規模は、現物市場よりもはるかに大きくなる可能性が高いが、現物受け渡し先物取引の欠如が成長の足止めとなっている。
現金決済の場合、信用の問題で取引高も減少してしまう。
全仮想通貨の現物市場の取引高を見てみれば、仮想通貨のデリバティブ市場とほぼ同等で約30億ドルだが、仮に現物決済受け渡しに紐付けされていれば、今の20倍ほど大きくなり得るだろう。
ブルームバーグ誌は、これまでの先物決済は米ドル(Cboe・CME)か、ビットコインのみ(BitMEX等)しか存在しておらず、このようなインデックスレベルは複数の現物市場の相場と照合しているため、トレーダーが契約満期直前まで、決済価格に影響しうる各取引所での現物売買を行う可能性を指摘した。これは「バンギング・ザ・クローズ」と言われる市場操作の一種に晒される傾向を示している。
これまでの仮想通貨現物受け渡しの動向
仮想通貨市場に参入している大手企業は他にもいる。昨年8月にはニューヨーク証券取引所を手がけるICE(インターコンチネンタル取引所)が新たな仮想通貨取引所Bakktを開始すると発表した。
Bakktにはマイクロソフトやスターバックスといった有名企業が複数出資しているため、市場操作や不正にかけられている仮想通貨のイメージ回復につながると期待視されている重要ファンダメンタルズ要因だ。
しかし、Bakktは「毎日決済のビットコイン現物受け渡し先物取引」の取引開始をする事が明らかになったものの、現在は米CFTCとの規制面における連携の関係上、開始が予定の12月から延期になっている状況下にある。
Bakktは現在CFTCからの申請認可、ErisXは現在デリバティブ清算機関としての認可をそれぞれ待っている途中ではあるが、現在アメリカ政府はトランプ大統領が発令した政府閉鎖が続行している観点からも、審査への影響が懸念される。
なお、Bakkt以外にも、昨年10月には仮想通貨取引所ErisX(時価総額上位通貨の現物受け渡し先物契約を提供予定)が同様に注目されている動きであり、ErisXにもビットメインやフィデリティ、日本からもマネックスグループ等21社の大手機関が出資、現物と先物の両方を取り扱う仮想通貨取引所として期待が高まっている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します