最大手仮想通貨デリバティブBitMEXでKYC導入か、流動性低下懸念も
求人情報からKYC導入の憶測
大手仮想通貨取引所BitMEXでKYC(Know Your Customer : 顧客確認)が導入されるかもしれない、という憶測が広がっている。
著名仮想通貨関連アカウント「I am Nomad」氏の22日のツイートでは、BitMEXはKYC導入のためのAML(アンチマネーロンダリング)オペレーションマネージャーと、KYCシステムのためのJavaエンジニアの求人を公開したとされる。
求人に掲載されているAMLオペレーションマネージャーの職務は大きく2つで
- 既存・新規の顧客に対してCDDを実施するためのプロセスの開発・管理
- AMLのオペレーションチームの管理
となっている。CDD(Customer Due Diligence:顧客管理)はKYCと同義で、マネロン規制の文脈ではCDDを使うのが一般的なようだ。
BitMEXは、日本円や米ドルなど法定通貨ペアを取り扱わず、BTC建の取引のみに限定することで、KYCのない取引所としてシェアを急拡大してきた。ビットコイン(BTC)が暴落した13日には、過去最大級のロスカットに伴うサービスの緊急停止措置が講じられた。
関連:ビットコイン大幅下落で一時停止したBitMEX、過去最大級19万BTCのロスカット発生
関連:仮想通貨取引所BitMEXに2回DDoS攻撃、13日の緊急停止も同じ原因
なお、求人サイトLinkedinでこの求人が掲載されたのは3月19日となっているが、同内容の求人が別のサイト(AngelList)にて、約2ヶ月前から公開されている。
KYC導入が取引所の健全化に寄与する一方、「KYCが実装されたらBitMEXを利用する理由はなくなる」とするトレーダーもおり、流動性低下、および独自の保険金制度ゼロカットシステムへの影響などが懸念される。
23日には、BitMEXの市場シェアが1位から陥落、Binance Futuresがシェアを拡大していることが判明した。
BitMEXの場合は原資産の証拠金がBTC建のため、ビットコインの上昇局面では利益を最大化できる反面、下落局面では預け入れていた資産価値を毀損する。Binance Futuresでは、米ドルにペッグされたステーブルコイン(USDT)を証拠金に出来るため、原資産の変動リスクを考慮せずトレードに専念可能なメリットがある。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します