「もう仮想通貨には”投資”しない」心変わりしたマカフィー発言の真意
仮想通貨に投資しない?
今年に入り、ビットコインが「2020年末までに100万ドル」という自身の発言を撤回したジョン・マカフィーだが、新たに「仮想通貨に投資しない」と発言し、論議を呼んでいる。
「私は仮想通貨には投資しない。仮想通貨を使う。大きな違いだ。」
マカフィー、ビットコイン離れか
ウイルス対策ソフト「McAfee」の開発で名を馳せたマカフィーは、かつて自身の大胆なビットコイン価格予想の正当性に「自分のイチモツ」を賭けるなど、仮想通貨に強気の発言を繰り返してきた。しかし、今年1月、あの発言は新規ユーザーを引き入れるための策略だったと述べ、予測を撤回した。
また、今までビットコイン価格を気にしていたことなど一度もなく、常々「ビットコイン過激主義者(maximalist)」が癪に障っていたため、冗談で100万ドルという破格値を口にしたところ、大きな反響があったことに驚いたという。
しかし最近、ビットコインは既に「疲弊し老朽化してしまった」技術であり「2015年以降は価値がなくなった」など、否定的なコメントを発している。その最も重要な理由の一つに、マカフィーはプライバシーの欠如をあげている。
仮想通貨は使ってこそ価値を発揮する
マカフィーは、そのエキセントリックな発言や行動から、物議を醸し出すことに事欠かない人物で業界の中では真剣に受け止められない向きもあるが、仮想通貨に対する信念は揺らいでいないようだ。
仮想通貨は取引するものではなく、使うもの。そう主張するマカフィーは、銀行口座もクレジットカードも所有しておらず、何を買うにも仮想通貨を、その中でも、DAIとMoneroを「機会があれば常に」使っているという。
一風変わった主張だが、マカフィーは、歴史的にみると犯罪組織が最も早く先端技術を受け入れてきており、現代ではダークウェブで何が使われているかを観察すると、次にどの技術が普及するかが読み取れると指摘する。この論理に基づき、ダークウェブでもビットコインに代わり「99%の取引で受け入れられている」MoneroとDAIが有望だと考えているという。その理由は、ずばりプライバシーで、個人情報が保護される新しいお金の形に注目している。
プライバシーコインとして知られるMoneroと異なり、分散型金融MakerDAOのステーブルコインであるDAIは、プライバシーとは直接関係ないが、一旦DAIを保有したのちに別の通貨に交換することで、同じような効果があるとマカフィーは主張している。
取引履歴が公開されているビットコインは、ユーザーのプライバシー保護の度合いが低く、また政府がAMLや対テロ資金対策を理由に、仮想通貨取引所に義務付ける「顧客確認」や取引履歴の公開など、仮想通貨を使っても人々の経済活動の秘匿性を守ることが困難な状況が生まれてきていると、マカフィーは警告している。
「これらのコインは、不換紙幣の経済的奴隷制から人々を解放するために設計された。金融奴隷制度の檻から解き放つ黄金の鍵のようなものだ。」
しかし、人々はその「黄金の鍵」を使うのではなく、その鍵を取引している、つまり投資に躍起になっている。それこそが悲劇だということがわからないのかと、マカフィーは嘆く。
新たなプライバシープロジェクト
マカフィーは、4月、PoSアルゴリズムを採用した新たな匿名通貨「Ghost」の開発に取り組んでいることを発表した。 マカフィーが立ち上げた分散型取引所「McAfeeDex」で、本人確認手続きなし(メールアドレス登録さえもなし)に、アトミックスワップにより主要な仮想通貨(基本ペアETH、DAI、WBTC、TUSD)と取引が可能になるとのことだ。
さらに、マカフィーはプライバシーを守る活動の一環として、スマートフォンを介しての位置情報などが知られることのない、新しい「Ghost」携帯電話データネットワークを開発していることを、YouTubeのインタビューで明らかにした。 従来のSIMカードを使わずに、eSIMとQR技術で対応する規格だという。
これらのプライバシーを重視したプロジェクトが成功するかどうかは未知数だが、大胆な「マカフィー節」は健在なようだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します