コインチェック事件:日本円補償の場合は課税所得になりうると閣議決定
- コインチェック事件の税金問題
- コインチェックから不正流出した仮想通貨「NEM(ネム)」を保有する約26万人に対し、日本円で返金された場合の税金問題について、日本政府は2月27日、「仮想通貨交換事業者から返金を受けた場合は課税所得になりうる」と閣議決定しました。
- 今後の焦点
- 金融庁による仮想通貨取引所への立入検査の結果を始め、3月19日より開催される「G20財務大臣・中央銀行総裁会議」での仮想通貨の国際的な規制強化の動き、盗難事件発生時点と補償予定レートとの差額問題、被害に遭った顧客による集団訴訟問題、コインチェックの(NEM/XEM)以外のアルトコイン凍結中の顧客資産がいつ返却されるのか、といった動向にも大きな関心と注目が集まっています。
日本政府が閣議決定
今回の件は1月26日にハッキングされた仮想通貨の大手取引所「コインチェック」から、顧客の仮想通貨約580億円分が不正流出した事件についてです。
日本政府は2月27日、「仮想通貨交換事業者から返金を受けた場合は、課税所得になりうる(非課税所得(*1)にはならない)」といった見解を答弁書にて閣議決定しました。
また、日本円で返金・補償された場合、課税に関する法律関係の回答は、現時点では明言できない、としました。
しかし、たとえ損害賠償金(*2)であっても、本来所得とすべきものや、失った利益への賠償であれば、非課税所得にはならない、といった見解も示しました。
閣議決定とは、首相及びすべての閣僚を含む日本政府の最高意思決定機関であり、全閣僚の統一見解が原則となります。
(*1)非課税所得とは
非課税とは、「税金が課されないこと」です。
消費税では、学校教育、医療、福祉にかかる費用などが非課税となります。
また、所得税が非課税となる前提条件は、以下の条件などが挙げられます。
- 前年度の所得が低い
- 生活保護を受給している
- 障害者
- 未成年者
- 寡婦または寡夫(配偶者と死別または離別し、再婚していない独身者)
(*2)損害賠償金とは
代表例として、交通事故による損害賠償などが挙げられます。
損害賠償金の詳細は、国税庁のタックスアンサーをご確認下さい。
2 不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金など
具体的には、事故による車両の破損について受ける損害賠償金などです。
3 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金
非課税となる見舞金は、社会通念上それにふさわしい金額のものに限られます。また、収入金額に代わる性質を持つものや役務の対価となる性質を持つものは、非課税所得から除かれます。
参照「国税庁HP:治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき」
論点
所得税法9条に定められている「心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するもの」を適用し、「損害賠償金」という扱いであれば非課税になるのでは?という専門家の見方もありました。
しかし、今回の政府の閣議決定では、「課税所得になりうる」という方向で一致しています。
また、事件発生時のネム(NEM/XEM)の時価総額(約580億円)と、コインチェックの売買が停止した”1月26日12時9分から1月27日23時まで”の間の加重平均とする、補償予定のレート(約460億円/88.549円)では開きがあります。
よって、差額分を「盗難による損失」として、「雑損控除」扱いで計上できるのか、といった点も専門家から指摘されており、注目が集まっています。
コインチェック事件に関する「税金問題」についての詳しい情報は、齋藤雄史公認会計士・税理士事務所:代表「齋藤雄史」氏による記事↓をご確認下さい。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します