
米Bakkt日本進出の経緯
2025年8月6日、ニューヨーク証券取引所上場の仮想通貨企業Bakkt(BKKT)は、堀田丸正(東証S:8105)の株式約30%を取得し、筆頭株主になることを発表。堀田丸正は日本におけるBakktのビットコイン戦略拠点に位置付けられ、9月に「Bitcoin Japan 株式会社」への社名変更を発表した。
Bakktは6月に10億ドル調達計画を発表しており、Bakkt全体として、総供給量の1.5〜2.5%のビットコインを保有することを目標としている。
堀田丸正はビットコインを財務資産として保有する企業への転換を図る計画。発表を受けて堀田丸正(8105)の株価は急騰、8月19日時点で10倍に達した。


ビットコイン戦略|「bitcoin.jp」へ
本買収により経営陣は刷新され、Bakkt主導の新体制が発足する見込み。CEO就任予定のフィリップ・ロード(Bakkt International代表)は、ビットコイン戦略を軸とした企業成長モデルの構築を掲げ、企業価値の向上を目指す。

Akshay Naheta(co-Chief Executive Officer)
主要施策は、ビットコインおよびデジタル資産への直接投資を柱とする「財務戦略」。株主総会の承認を前提に社名を「Bitcoin Japan」へ変更し、Bakktと連携してビットコインを財務・事業モデルに組み込む。収益源の多様化と、中長期的な企業価値の向上を図る方針だ。
同氏はWebXで、日本市場の魅力について「日本は世界で最も流動性の高い市場の一つである。国内市場だけでなく、国際的にも受け入れられている市場だ。将来的に日本において極めて大きなデジタルトレジャリー企業になり、グローバル市場でもトップ企業の一つに食い込むことができると考えている」と期待を示した。

Phillip Lord(President of Bakkt International)
バックト共同CEOのアクシェイ・ナヘタ氏は声明で「日本の規制環境はビットコイン中心の成長事業に理想的なプラットフォームを提供する」とコメントした。堀田丸正チームとの連携により、ビットコインを事業・財務モデルに統合し、主要なビットコイン財務企業として確立することを目指すとしている。
Bakkt(バックト)とは
Bakktは2018年、ニューヨーク証券取引所の親会社であるICE(Intercontinental Exchange)が立ち上げた暗号資産プラットフォーム。使命は「伝統金融と仮想通貨の橋渡し」。NYSE上場(BKKT)の公開企業として、規制順守と機関投資家向けの取引・カストディ・決済インフラを提供し、ニューヨーク州のBitLicenseを保持するなど、コンプライアンスと信用力を前面に打ち出している。経営は共同CEO体制で、アクシャイ・ナヘタ氏が代表の一人を務める。
バンキングサービス「Bank Agent」を、9月のLabor Day(米国の祝日)にベータローンチ予定。世界90カ国以上の銀行口座に直接クロスボーダー送金が可能に。
沿革
- 2018年:創業。機関投資家向けカストディと市場インフラに注力。
- 2025年3月:ロイヤリティ事業からの撤退を表明し、暗号資産インフラ事業へ集中。
- 2025年6月:余剰資金や調達資金でビットコイン等のデジタル資産を自社購入できる投資方針に更新。
- 2025年6月:最大10億ドルの資金調達を可能にするシェルフ登録をSECへ提出。
- 2025年7月:株式公募により約7,500万ドルの資金調達を実施。BTC購入目的。
事業再編を進める一方、収益構造の改善にも取り組む。直近では増収基調を維持しつつ赤字幅を縮小。10億ドル調達計画について、資金はビットコイン購入、暗号資産トレジャリー戦略、企業買収などに使用予定とした。
業績スナップショット(TTM 2024/市場評価)
- 売上高:3.49億ドル(前年比 +384.3%)
- 営業利益:-0.73億ドル(赤字幅縮小・前年比 +42.3%)
- 時価総額:1.1億ドル(2025年8月22日時点) *データ元:Yahoo Finance
現行サービス(要点)
- SaaS/API型のインフラ:取引・カストディ・決済に加え、KYC/AML対応や税務レポートまで一気通貫で提供。
- カストディ:1:1準備資産の原則に基づく保管。ACH・電信送金に対応。
- 対応銘柄:BTC、ETH、USDCなど計42銘柄(地域により提供制限あり)。
日本市場では提携や資本参加を通じて事業展開を強化しており、堀田丸正(「Bitcoin Japan」)を拠点とするビットコイン戦略は、Bakktの規制対応力と機関投資家向けインフラを活かしたローカル展開の延長線上にある。
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