ゴールドが7年ぶりの高値更新、リスクヘッジ手段としてビットコインにも白羽の矢
ゴールド、再び高値更新
米ニューヨーク金先物相場は3日続伸。新型コロナ第2波を懸念した資金逃避目的の買いが入り、7年ぶりの高値を更新した。外国為替市場でドルがユーロなどに対して下落し、ドルの代替投資先とされる金先物の買いも後押ししている。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心にある8月限は0.9%高の1オンス=1782ドルで取引を終えた。中心限月の終値としては2012年10月4日以来の高値となった。
過去のデータを確認すると、2011〜2012年にかけて反落した1790〜1800ドルのレジスタンスラインを抜けた場合、2011年9月に記録した1920.8ドルの史上最高値更新が現実味を帯びてくる。
ここ最近のゴールド価格は、ドル高や株高といった下げ材料になり得る場面でも高水準を維持しており、根強い中・長期の投資需要が市場を支える。
新型コロナ感染症に関する世界経済の後退や投資家心理の悪化など、市場の不確実性は当面払拭できないものと思われる。株高を支える中銀の資金供給の影響が続くかどうかも含め、懐疑的な見方が投資のリスクヘッジ需要を後押ししている。
ゴールドマンサックスが示す、ゴールド価格2000ドルのシナリオ
大手投資銀行の米ゴールドマン・サックスは19日、金価格の見通しを11%引き上げ、1年後には史上最高値の2,000ドル水準に達するとのレポートを公表した。
ゴールドマン・サックスは、先進国がコロナウイルスに伴うロックダウンを解除し経済再開に動くことを受け、市場センチメントはリスクオンに向きつつある一方で、低金利と通貨安への懸念が、今後も金価格を後押しするとの見方を示した。
また、これらの影響は、経済回復の初期に増える傾向があり、経済不安に伴う先進国の投資拡大も金価格のシナリオを引き上げた理由にあると説明した。
12ヶ月(1年)の見通しをこれまでの1800ドルから2000ドルに引き上げ、3ヶ月、6ヶ月の見通しも上方修正した。
3ヶ月: 1,600ドル→1,800ドル
6ヶ月: 1,650ドル→1,900ドル
12ヶ月: 1,800ドル→2,000ドル
低金利については、米連邦準備理事会(FRB)が10日のFOMCで「22年末まで現状のゼロ金利政策を続ける方針」を示したばかり。金利を生まない金市場にとって追い風になる。
プライベートバンク(PB)も
金市場でプラスの見通しを示すのは、ゴールドマンだけではない。世界の富裕層に投資助言するプライベートバンク(PB)が、金の持ち高をさらに増やすよう勧めていることをロイターが報じた。
ロイターによると、取材に応じたPB9社はいずれも顧客に金への配分増加についてアドバイスしているといい、コロナ危機前にほぼ見られなかった金の保有比率を「10%台」まで引き上げるPBも出てきているという。
デジタルゴールドと目されるビットコイン
ノーボーダーで国籍がなく、どこの国でも同じような価格で換金できる。中央集権が埋蔵量をコントロールできないという意味では、発行体が存在せずアルゴリズムで採掘上限が定められ、「デジタル・ゴールド」としての性質を有するビットコインにも同様のことが言える。
米資産運用会社VanEckは今年1月、The Investment Case for Bitcoinと題したレポートを公開。恒久性、希少性、匿名性を有するビットコイン(BTC)は、すでに貨幣的価値を持っており、デジタル・ゴールドとしてのポテンシャルを秘めていると指摘した。
また、ヘッジファンド業界の伝説Paul Tudor Jonesは、歴史的な金融緩和による法定通貨のインフレヘッジを理由にビットコイン先物の取引を公表した。チューダーBVIグローバルファンド(Tudor BVI Global Fund)を通じて、現在のビットコインは、第1次オイルショックに伴う高インフレに見舞われ、大きく上昇した70年代の「金(ゴールド)」を彷彿とさせる、などと言及している。
24日のビットコイン(BTC)は、前日比0.25%安の102.6万円(9630ドル)で推移。
相場の過熱感を示す4時間足のRSIが80%を超えるなどしていたこともあり9800ドルの上値抵抗線で一服したが、9550ドルでレジサポ転換して再び10,000ドルの上値を追えるかどうか注目される。
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