米シルバーゲート銀行、ビットコイン担保融資の新サービス好調
シルバーゲートの仮想通貨決済ネットワークが好調
米シルバーゲート銀行が、第2四半期決算(4月~6月)を発表、前期に続き前年同期比で大幅な成長を遂げたことがわかった。中でも、仮想通貨企業に特化した自社の決済ネットワーク「Silvergate Exchange Network(SEN)」と新たな関連サービス、SENレバレッジが銀行の成長を牽引しているようだ。
シルバーゲートの第2四半期決算報告
1988年創業のシルバーゲート銀行は米カリフォルニア州に本拠を置く商業銀行で、多くの銀行が取引を敬遠する中、2013年からいち早く仮想通貨業界へサービスの提供を開始した。昨年11月にニューヨーク証券取引所(NYSE)へ上場を果たした同行の顧客には、米大手仮想通貨取引所のコインベース、ジェミニ、クラーケン等が名を連ねている。
第2四半期決算報告では、純利益が550万ドル(約5億7900万円、第1四半期:440万ドル、前年同期:520万ドル)と発表されたが、週7日24時間、顧客(機関投資家)間での資金(米ドル)の移動が可能なSENの業績が好調だ。以下がその詳細となる。
1. 仮想通貨顧客数が増加
2020年6月30日:881 (3月31日:850、前年同日:655)
2. 取引処理件数が前期比で28%、前年同期比128%増加
第2四半期:4万286件(第1四半期:3万1405件、前年同期:1万2254件)
3. 送金処理額が前期比29%、前年同期比160%増加
第2四半期:224億ドル(第1四半期:174億ドル、前年同期:86億ドル)
4. 仮想通貨関連手数料収入が前期比41%、前年同期比120%増加
第2四半期:240万ドル(第1四半期:170万ドル、前年同期:110万ドル)
新規サービス「SENレバレッジ」も好調
さらに、顧客が保有するビットコインを担保にドル建ての融資を受けることが可能な新規サービス「SENレバレッジ」でも大きな伸びを記録。前四半期の1250万ドルから第2四半期には2250万ドルへと拡大し、80%を超える成長となった。
同行は今年1月に老舗取引所のBitstampと提携しSENレバレッジを開始していたが、6月16日、サービスの拡大を発表した。その背景には、機関投資家向けのデジタル資産カストディ企業Anchorageとの提携があり、カストディで保管している顧客の資産にレバレッジをかけることで、顧客が取引可能な資産へのアクセスを提供する仕組みとなっている。
シルバーゲートのAlan Lane最高経営責任者は、SENレバレッジのパフォーマンスに満足しており、今後、このサービスが同行の成長を牽引することを期待していると語った。
プライムブローカーとなる可能性は
仮想通貨市場でも、機関投資家向けに仮想通貨取引の総合的なサービスを提供するプライムブローカーの役割を果たす企業が登場してきた。米大手取引所コインベースや業界最大級のカストディ企業BitGoなどだ。
仮想通貨関連業界への銀行サービス提供で、大きな収益をあげているシルバーゲートが、プライムブローカー・サービスへ移行するのは自然な流れとも思える。その点について、質問を受けた Laneは「デジタル通貨業界にとってのプライムブローカーの意義は、まだ発展途上にある」と答えた。
Laneによると、プライムブローカーの提供するサービスの中で最も重要な要素の1つが、「与信やレバレッジを提供する能力」であり、これまでBitstampやAnchorageとの提携を通して注力してきた分野だという。
取引所のBitstampとカストディアンであるAnchorageとでは、シルバーゲートのサービスとの統合の方法は異なるが、常に顧客へのレバレッジ提供を主眼に置いていると主張し、SENレバレッジの提供を推進していくと述べた。
今後、シルバーゲートは、新製品の開発、戦略的パートナーシップ、並びに既存のインフラ提供事業者等の買収などにより「摩擦を低減させ、資本効率を創出すること」に取り組み、顧客に最適なソリューションを提供していくという。
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