コロナ禍でヘッジファンドが軒並み苦戦、仮想通貨ファンドと明暗
仮想通貨を扱うファンドの運用成績好調
2020年の運用成績について、暗号資産(仮想通貨)を運用するファンドが、従来型ヘッジファンドよりも好成績を上げていることが分かった。
Financial Timesによると、一般的なヘッジファンドの達成したリターンは、2020年の始めから8か月間で、わずか2%であった。一方、ヘッジファンド調査会社ユーリカヘッジの提供する「Eureka Crypto HF Index」によると、仮想通貨を運用するヘッジファンドは、同期間で50%を超える収益を上げた事例もみられた。
仮想通貨ファンドの規模は従来のヘッジファンドよりも比較的小さく、より大きなリターンを提供しやすくなる。また、流動的戦略やベンチャー戦略など様々な形で運営が可能であるなど、単純比較はしにくい。
仮想通貨ファンド「Cambrian Asset Management」のMartin Greenは、「今回明らかになったリターンの差は、仮想通貨ファンドが、株式などの運用企業よりも勢いがあることを示す」と述べる。
Greenは、この勢いの理由を次のように語った。
概して、仮想通貨は新興の株式市場に似ていることがある。 小口取引が支配的で、研究も十分に行われていない。こうした特徴は、体系的な方法、または秩序立ったファンダメンタル戦略からアプローチしている人々にとって、仮想通貨市場を非常に魅力的な場所にする。
Greenによると、仮想通貨のボラティリティはクォンツ・ファンド(定量分析を基本として運用するファンド)やアクティブ運用(ベンチマークを上回るリターンを目標とするファンド)のリターンを高めるのに役立っている。
ビットコイン価格は通常、株式相場の概ね3〜5倍の変動性があり、リスク調整後リターンも3〜5倍高くなり得るという。
コロナ禍がヘッジファンドを直撃
3月、Covid-19のパンデミックが市場に影響を与え、ウォール街の恐怖ゲージは2008年の金融危機以来で最高レベルまで急上昇、株式市場のボラティリティも歴史上最大レベルまで高まった。
Financial Timesによると、米国カリフォルニアを拠点とするThe Voleon Groupが60億ドルを運用する「AIクォンツ・ファンド」は、2020年初から9%以上の価値を失った。
また著名ファンドであるルネサンステクノロジーズの、「Renaissance Institutional Diversified Alpha fund」も年初から20%以上減少したと報告される。
ちなみに今年4月には、ルネサンステクノロジーズが、その運用するメダリオンファンドに「ビットコイン先物取引を許可する」旨記した書類を提出したことが報道されているところだ。
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3月には仮想通貨市場も大幅下落し、Tetras Capital、Neural Capitalなど閉鎖された仮想通貨ファンドも多い。
しかし一方で、仮想通貨市場は株式市場よりも競争が少ない成長中の資産クラスであることが投資家の間で魅力として語られている。
The Blockによると、一部のトークンの構造が、仮想通貨の高収益を生み出しているとの声も聞かれた。
歳入、利益、追加トークン、割引、ロイヤルティポイントなど様々なものを、コミュニティに分配することのできるトークンが登場しており、このことが非常に高く迅速なリターンに繋がるという。
参考:The Block
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します