WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「トランプ政権の優遇策でも普及せず」米政府元高官らが仮想通貨の実用性を疑問視

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 「本質的に無価値」と元高官が寄稿
  • 実用性や金融大手の採用には触れず

本質的価値に疑問

ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は26日、前バイデン政権で大統領経済諮問委員会(CEA)議長を務めたジャレッド・バーンスタイン(Jared Bernstein)氏と、同委員会エコノミストのライアン・カミングス(Ryan Cummings)氏による寄稿論評を掲載した。

タイトルは「Crypto Is Pointless. Not Even the White House Can Fix That」(暗号資産は無意味だ。ホワイトハウスですらそれを救えない)。バーンスタイン氏らは、トランプ政権の前例なき暗号資産(仮想通貨)優遇策にもかかわらずビットコインが昨秋の高値から約50%下落した事実を起点に、「暗号資産の失敗は政治的支援の有無ではなく、技術・経済両面での本質的な無価値さに起因する」と論じている。

記事の主な論点は以下の通り:

  • 技術的欠陥:ブロックチェーンは「低速で高コストなデータベース」に過ぎない。大手テック企業がこの「革新的技術」を採用していない事実を強調。
  • 経済的に無価値:民間通貨の一種であり、財政破綻に陥った事例多数。投機的でボラティリティが高く、実用性はほとんどない。米国での普及率はこの4年間30%で停滞し、消費者への浸透は進んでいない。
  • 政治戦略の失敗:FTX崩壊後の「暗号資産の冬」を経て業界は規制主導権の奪取に方針転換し、2024年選挙に1億ドル超を投じてトランプ政権を誕生させた。「史上最も暗号資産に友好的な政権」を手に入れ、業界関係者のホワイトハウス顧問登用、準備金創設構想、ステーブルコインの法制化などで普及を支援したが、市場は反落した。
  • 犯罪行為との親和性:バイナンスの社内調査で、同社口座から17億ドル相当の暗号資産がイランのテロ関連組織に流出していた疑いが浮上するなど、マネーロンダリング対策の実効性に根本的な疑問が残る。

著者らは、「規制さえ整えば普及する」という業界側の最後の言い訳が、最も暗号資産に友好的な政権のもとで崩れたと指摘し、「言い訳は尽きた」と結論づけている。

カミングス氏は、LinkedInで記事を紹介し、「業界は合法的なユースケースの欠如を、バイデン時代の過剰規制のせいだと言い訳してきた」と補足した。規制が緩和され、言い訳がなくなった今でも、暗号資産の主なユースケースは「取引と犯罪行為の助長」に限られていると強調。「基盤となるブロックチェーン技術が、既存の手法に比べて極めて非効率であることに市場が気づき始めている」と締め括った。

反論の要素は

この論評に対するSNS上の反応は様々だ。支持派、中立派、反対派がそれぞれの立場から意見を述べている。

一方で、近年の暗号資産インフラの進展や、新興国での需要増を考慮すると、この論評に対する反論の余地も見えてくる。

実用性という観点では、近年のステーブルコインの急速な普及を無視することはできない。イーサリアム上のステーブルコインは、すでに年間数兆ドルの取引に利用されている。

2026年BVNKステーブルコイン実用性レポートによると、ステーブルコインは「日常のお金」として特に新興国で需要が高まっている。

  • フリーランサー/ギグワーカーは収入の35%をステーブルコインで受け取っている
  • 27%が食料品、請求書、日常的な購入にステーブルコインを使用
  • 送金手数料が6%以上から1%未満に低下し、数分で送金完了=高速で安価、グローバルな決済手段として拡大中

これらの利用は投機目的ではなく、実際の経済活動や日常的な決済に直結している点が注目される。

関連:ステーブルコインは「日常のお金」になれるか? 4600人調査が示す普及の実態と課題

バーンスタイン氏らによる「遅くて高価なデータベース」という批判についても、2025年以降のイーサリアム・アップグレード(特にFusakaやPeerDAS)により、レイヤー2(L2)技術が成熟したことで、手数料の大幅低下とトランザクション速度の向上が実現し、劇的な改善が進んでいる。イーサリアムは単なる暗号資産のエコシステムから、中核的な金融インフラへと確実に進化しつつある。

関連:イーサリアム共同創設者ジョセフ・ルービンが語る|金融インフラとしてのイーサリアムとWeb3の未来

また、多くの伝統的金融機関が、すでにブロックチェーン技術の導入を本格化している。

JPモルガン・チェースはブロックチェーンを基盤にした決済ネットワークを運用しており、Siemensやデジタル資産マーケットメイカーのB2C2 が、24時間365日のリアルタイム外国為替決済にこのプラットフォームを採用している。

ブラックロックは、米ドル建ての機関投資家向けトークン化ファンド「BUIDL(USD Institutional Digital Liquidity Fund)」を展開。オンチェーン上で現金同等の流動性を提供する新たなスタンダードを確立した。

さらに大手銀行による暗号資産のカストディ(保管)業務の提供も進んでいる。シティバンクは、2026年中にビットコインをはじめとするデジタル資産の保管サービスを本格開始すると発表した。

「暗号資産は無意味だ」という主張の根拠は、技術の成熟や実世界との統合が進むにつれて、徐々に揺らぎつつあるのではないだろうか。

関連:米シティ銀、ビットコインを「銀行資産」として既存金融システムと統合へ

関連:カントンネットワーク、トークン化した英国債のレポ取引を実施 ロンドン証券取引所Gなどが参加

Google Newsでフォロー
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/09 金曜日
17:57
ビットコイン短期保有者、含み損での取引所送金が6月以来最大=クリプトクアント
オンチェーン分析企業クリプトクアントによると、ビットコインの短期保有者が24時間で4万5,600BTCを取引所へ送り、うち2万9,100BTCが損失状態だった。米政府の送金を下落の契機としつつ、含み益の積み上がりを本質的な要因とみる。
17:50
ソニーや三井物産ら4氏が語る、実業資産をトークン化する狙い
ソニーグループ、三井物産、Toyota Blockchain Lab、OP Labsの4氏が登壇。エンタメIP、貴金属・不動産、ST社債の事例から、実業資産をオンチェーン化する狙いと顧客とのつながり方を語った。
16:18
ビットコイン、利益確定が年内2番目の規模に 1日約10.3億ドル=サンティメント
オンチェーン分析企業サンティメントによると、ビットコインの実現利益が1日で約10.3億ドルに達し、2026年で2番目の規模となった。8万7000ドル超えまでの上昇を受けた利益確定の集中が、短期的な売り圧力として意識される。
15:42
シトリニ・リサーチ、伝統金融と仮想通貨の「壁」が崩れ始めたと指摘
米調査会社シトリニ・リサーチは8日、伝統金融と仮想通貨を隔てる壁が崩れ始めたとするレポートを公開した。AIエージェントの普及と株式・国債のトークン化を契機に挙げ、SEC特例やハイパーリキッドの事例から投資家の論点を整理する。
14:40
量子攻撃受け得るビットコイン、現在供給量の31.2%に増加=グラスノード
グラスノード共同創業者は8日、公開鍵がオンチェーンで露出したビットコインが626万BTC(供給の31.2%)に上ると集計した。量子コンピューターへの備えとして資産移行を求める声が出るなか、取引所や政府保有分ごとの露出割合も示した。
14:30
トークン化株式の保有者は何を持つか Backpack共同創業者らが解説
トークン化株式の保有者は何を持つのか。ApyxとBackpackがThe Great Rotationで登壇し、米国法の下での権利の中身や原株への交換、24時間取引といった利点を語った。
13:45
JPYC、公取委に情報提供──「決済導入店の割引は消費者利益」
JPYCは9日、ステーブルコイン決済の登場を踏まえ、9月14日に公正取引委員会へキャッシュレス決済市場の競争環境を情報提供したことを明らかにした。導入店の割引・送料無料と加盟店規約の関係についての考え方も公表した。
13:30
ネットフリックス、FTX破綻を描く新作ドラマ「アルトリスト」の予告編公開 
Netflixは10月8日、FTX破綻を描く新作ドラマ「アルトリスト」の予告編を公開した。FTXの元CEO、サム・バンクマン=フリード氏とキャロライン・エリソンの関係を軸にした全8話で、配信は11月19日に予定されている。
12:55
「量子コンピュータは脅威だが仮想通貨業界は対処可能」ユーロポールが予防策提示
ユーロポールは仮想通貨の量子脅威に関するレポートを発表。主なリスクはブロックチェーン自体ではなくウォレットの公開鍵暗号にあると指摘。耐量子暗号への段階的な移行を提言した。
12:06
金融庁、書類画像の漏えい受けIC読取前倒しを要請 暗号資産交換業者も
金融庁は9日、本人確認書類の画像を含む顧客情報の漏えいが相次いでいることを受け、金融機関等に対策の点検を要請した。2027年4月の画像送信方式廃止を待たず、ICチップ読取への移行を前倒しするよう求めた。暗号資産取引所の口座開設にも影響する。
11:45
ビットコインコア、送信元を隠す機能の修正を次期版に反映|現行版は未反映
ビットコインコアは、オプション機能のプライベートブロードキャストの接続が通常の接続と関連付けられうる問題の修正を、10月1日に32.x系へ反映した。31.x系向けの反映は未了で、リリース日は決まっていない。
11:35
バイナンス、ブラジルで22の仮想通貨銘柄取引を終了|規制対応で8サービスも制限
バイナンスは9日、ブラジル中央銀行の新たな仮想通貨規制に対応するため、10月27日からブラジルサービスでXVGを含む22銘柄の取引を終了し、ローンを含む8サービスを制限すると発表した。対象ユーザーは10月29日までに現地法人へ移行される。
11:08
トークン化株式取引の約8割が1株未満、IMFが拡大条件を分析
国際通貨基金(IMF)は8日、資産トークン化の拡大に必要な条件を分析した。法的確実性や規制の明確化、相互運用性、決済資産の4点を挙げ、レポ中心の市場規模やトークン化株式の取引実態、拡大に伴うリスクを示した。
10:16
財務省、国債オンチェーン化の3類型を提示 新形態の国債発行も類型に
財務省は8日、国債のオンチェーン対応に関する研究会の初会合で国債トークン化の3類型を示した。MMF受益権の授受から日銀の振替口座簿の対応、制度外での新形態の国債発行まで含む。BUIDLなど海外事例も整理した。
10:05
ビットコイン採掘事業者による売り圧力は緩和傾向=クリプトクアント
クリプトクアントは8日、仮想通貨市場の週間レポートを発表。ビットコイン・マイナーをめぐる収益などの状況が回復し売り圧力が和らいだと分析している。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧