マネックスG会長:仮想通貨市場はデリバティブ市場のように発展していくだろう
- 仮想通貨市場はデリバティブ市場のような成長を遂げる?
- マネックスグループ取締役会長兼代表執行役社長CEOの松本大氏は規制の目が厳しかった1980年代のデリバティブと仮想通貨市場の状況が酷似していると述べ、仮想通貨は新しい資産クラスとして発展していくとも考えています。
- 一方で「仮想通貨が一般的になるのは時間を要する」ともコメント
- 同氏は「日本の一般消費者が仮想通貨にその資金の大半を移動させるのには時間がかかるでしょう。」と述べています。
全米随一の規模を誇り、100年以上の歴史を持つ日米交流団体である、ニューヨークのジャパンソサエティで、5月1日、マネックスグループ取締役会長兼代表執行役社長CEOの松本大氏(以下、松本氏)が、「株、預金、それとも仮想通貨:日本の一般消費者のお金はどこへ」と題した講演を実施しました。
その講演では、1980年代初頭のデリバティブと今日の仮想通貨のおかれた状況を比較しながら、仮想通貨市場のこれからの有望性について説明しました。
デリバティブ市場のような成長を遂げるか
巨額なネム(XEM)の不正流出事件が発生し話題になった、仮想通貨交換業者のコインチェック社を、買収、完全子会社化して大きな話題を呼んだネット証券大手のマネックスグループ。
その子会社で1999年に設立されたマネックス証券の共同設立者である松本氏は、米ソロモンブラザーズを経て、ゴールドマンサックス投資銀行でデリバティブ取引をはじめとする投資に長年携わってきた、ウォールストリート出身のベテランです。
日本においては、マネックス証券創業時に金融庁と「議論しながら」、ネット証券とデリバティブ市場の法制や規制を作り上げることに貢献した経験を持っています。
その松本氏は、講演の中で、38年前、規制当局から疎まれていたデリバティブ取引がたどった道と同じように、全世界の規制当局からの抵抗にも関わらず、仮想通貨は、新しい資産クラスとして軌道に乗り発展していくだろうとして、次のように述べました。
「規制当局は、1980年代に、デリバティブのことを心底嫌っていましたが、その後間もなく受け入れていきました。
今、仮想通貨の世界で起こっていることは、1980年代のデリバティブの状況と大変似ていますし、いずれは、規制の枠組みも整えられていくことでしょう。」
1980年代を振り返ると、デリバティブは革新的であると同時に賛否の分かれる金融ツールで、当時、規制当局からの著しく否定的な感情に直面していました。
そのような規制側からの抵抗にも関わらず、この金融革新の新たな波に乗り遅れまいと、次々に多くの金融機関が参入し始め、 この分野は取引量を増大させていったのです。
今日、デリバティブ取引は、推定時価総額が数百兆ドルという世界で最も大きな市場に成長しています。
松本氏は、当時の状況について、次のように付け加えています。
「(ロケット科学者のような人々が少数であるように)ほんの一握りの人しかデリバティブを理解していませんでした。
でも、5年後には、世界中の主要な大学すべてでデリバティブについて教えるようになりました。」
しかし、松本氏は、仮想通貨投資が一般的になるようなパラダイムシフトが起こるには、まだ時間を要するとしています。
「日本の一般消費者が仮想通貨にその資金の大半を移動させるのには時間がかかるでしょう。」
現在日本では、仮想通貨は総合課税の対象で、最高税率が55%と高いため、一般投資家にとっては大きな障壁です。
しかし、一方で、トレーダーはそれほど憂慮していないと松本氏は言います。
「次の日の二日酔いを気にしながら、お酒は飲まないでしょう。」
ブロックチェーン技術に注目し、個人的にも早い段階から仮想通貨に投資してきた松本氏の長期的な仮想通貨市場に対する見方は大変楽観的です。
他の大手が二の足を踏んだコインチェック社買収によって、マネックスグループの株価が暴騰した事実にみられるように、日本の伝統的な投資家も、仮想通貨業界の一挙一動に関心を払うようになってきているようです。
これから世界の規制当局がどう動くかなど、仮想通貨の未来には、まだまだ不透明な部分が多いものの、マネックスグループをはじめとする大手機関の仮想通貨への参入により、引き続き日本が世界の仮想通貨業界でも、重要な役割を果たしていくことは間違いなさそうです。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します