第3回金融庁研究会:発行主体・中央管理者が存在する通貨への規制提言など論点まとめ
- 仮想通貨交換業等に関する研究会(第三回)重要論点まとめ
- 仮想通貨やブロックチェーンにはどんなリスクがあるのか、仮想通貨交換業者に対する規制枠組みのあるべき姿について話し合われたほか、ウォレットの議論に関する提言や、発行主体及び中央管理者が存在する通貨への規制提言なども議論されました。
みずほにおける取り組み
事務局の説明後、みずほ総合研究所金融庁調査部長の三宅氏より「日本におけるリテール決済とブロックチェーン技術等を巡る動向」についての説明がありました。
その中でも、「ブロックチェーン技術を利用した貿易金融の実取引の実行」ならびに「国際証券決済・サプライチェーン管理等における同技術の活用に向けて、昨年夏2017年7月から行われているみずほの取り組み」が最も興味深い内容でした。
貿易業務は本来、関係者で色んな書類が飛び交い、事務が非常に煩雑なものです。
しかし今回、日本とオーストラリアにおける貿易においてブロックチェーン活用スキームに変えたところ、従来数日かかっていたやりとりが数時間で済んだと報告がされました。
(※下線については聞き取りづらい部分もありましたので、議事録等も確認して下さい)
議論内容
岩下京都大学公共政策大学院教授「取引高のシェアのわりに、日本人のノード数は少ない」
研究会メンバーである京都大学公共政策大学院 岩下教授は、今回の研究会でも先日CoinPost編集部が参加した千葉商科大学経済研究所での講演と同じように、「日本人がビットコインにおけるフィアット建て取引高でトップのわりには、ビットコインのノード数で見た時に国別で日本は11位とノード数は大した数ではないのだ」といった旨の指摘をしておりました。
また、同教授は、先日の講演の内容と同様にマイニングによる電力の問題にも触れていた他、日本のキャッシュレス化について、それぞれ経産省や金融庁とバラバラで管轄省庁としての政府内の司令塔が明確ではない事も指摘しておりました。
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森下上智大学法科大学院教授「発行者や中央管理者がいるような通貨も規制すべきでは」
同研究会のメンバーである森下上智大学法科大学院教授は、過度な警戒よりも、ブロックチェーンや仮想通貨といった新しいイノベーションに対する積極的な取り組みを支持する旨の意見を述べられました。
しかし、法律家である同氏からは「法律の専門からブロックチェーンにどのようなリスクがあるのか、そのリスクに対してどう対処していくべきか不明瞭であり、疑問。」「しっかりとブロックチェーンの仕組みに関して分析がされ、それらに対する情報開示がされる事が重要ではないか。」という旨の発言もありました。
また、規制に関しては「交換業社に様々なリスクが溜まり得る構造になっている為、交換業者に着目して規制をする事は良いと思われる。(中略)しかし、交換業者が規制の議論の中心となってはいるが、発行者及び中央管理者が存在する通貨に対しても規制の対象とすべきではないか。」といった指摘がありました。
坂弁護士「ウォレットに関しても議論をすべきである」
同研究会のメンバーである坂弁護士(東京合同法律事務所)からは、
「発展途上国など金融システムが不安定である国等に対して仮想通貨はメリットがある一方で、日本のような先進国では仮想通貨のプラスの側面は限定的であり、今後もそのような状況が続くのではないか」といった旨の指摘がありました。
また、「ウォレットに関しても(仮想通貨交換事業者と同様に)不正アクセスがされる可能性は十分あり、今後普及していくに従って、利用者保護の観点からウォレットに関しても対応をする必要もあるのではないか」と、現在規制が進んでいないウォレットについても言及もしました。
まとめ
今回の研究会は、仮想通貨やブロックチェーンにはそもそもどんなリスクが存在するのか、その観点から仮想通貨交換事業者をどう規制していくか、そして規制とイノベーションのトレードオフの関係をどう位置づけていくかについて議論が交わされました。
特に今まで議論の中心には無かったウォレットの話や、発行主体や中央管理者が存在する仮想通貨への規制などが議論に上がったことは印象的です。
今後どのように研究会の議論が進展していくか、今後もCoinPost編集部でも追っていきたいと思います。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します