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元日銀 岩下氏が語るビットコインの問題点:非中央集権は幻想に過ぎない

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

元日銀 岩下直行氏が仮想通貨とブロックチェーンについて講演
同氏は講演でビットコインの問題点を多く語り、「非中央集権は幻想に過ぎない」など発言しました。また、取引所の体制についても厳しく批判し「取引所は銀行並みのセキュリティを導入しなければならない」と述べました。
岩下直行氏とは
金融庁で現在行われている仮想通貨交換業等に関する研究会のメンバーであり、また初代日銀Fintechセンター長を務めた経験からも、日本のFintech界隈では抜群の知名度を誇ります。現在は京都大学公共政策大学院教授を務めてらっしゃいます。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

元日銀 岩下直行氏が仮想通貨とブロックチェーンについて講演

CoinPost撮影

5月12日、千葉商科大学経済研究所の丸の内サテライトキャンパスにて開催された「岩下直行氏(京都大学)講演 テーマ:仮想通貨とブロックチェーン」にCoinPost編集部も参加いたしました。

金融庁で現在行われている仮想通貨交換業等に関する研究会のメンバーであり、初代日銀Fintechセンター長を務め、日本のFintech界隈では抜群の知名度を誇る岩下氏の講演は、テック、金融、レギュレーターの観点の様々な角度から仮想通貨を捉えて、非常に興味深いお話が多かったです。

今回のイベント内容をご紹介いたします。

世界のビットコインノード数について

フィアット建てのビットコイン取引高では世界の6割で円が占めており、日本人がフィアット建てでトップシェアを誇っているにもかかわらず、ビットコインのノード数で見た時に国別で日本は11位。それは何故かという点について、岩下教授は

ほとんどの日本人は自らノードを構成し、形づくる中には参加していないのです。

日本人のビットコインユーザー、参加者というのはほとんどが2016年ぐらいから増えたレイトカマーであり、既存ノードの下にぶらさがっている間接参加者の状態にあります。

それは、bitFlyerやZaifといった仮想通貨取引所が開設しているクライアントサーバーに繋がっていて、そこからその取引所ごとのノードがビットコインのネットワークに繋がっているという二段階の構造になっている為です。

その為、ビットコイン・ネットワークから間接的な参加者は見えない、あたかもいないようになっています。」

と、ビットコイン保有者があたかもノードになっていると勘違いされやすい現状について、解説されていました。

マイニングによる環境問題

出典:shutterstock

岩下教授はマイニングによる環境問題についても問題提起しました。

マイニングの為だけにスイス1カ国分の電力が使われており、今やその消費量は世界全体の2%に匹敵する電力にもなっているとのことです。

まだまだビットコインのマイニングが儲かるという事もあり、この消費量は止まるどころか今後も増えていくだろうと説明した上で、岩下教授は以下のように述べ、マイニングによる更なる地球温暖化の加速を示唆しました。

「今のままいくとマイニングは地球温暖化を進行させ、地球のサステナビリティを失わせるでしょうし、実際にこれは既に現実の問題として起こっている事です。

消費電力については、いろんな計算方法があり、先ほど述べたようにスイスぐらいという人もいれば、アイルランド、オーストリアなど様々な意見もありますが、とんでもない消費量である事は違いありません。」

取引所のセキュリティについて

CoinPost撮影

また、岩下教授は取引所のセキュリティについても厳しい意見を投げかけました。

「元来ビットコインはナカモトサトシが築いた非中央集権的な第三者がいないトラストレスな世界でした。

しかし、取引所はトラストレスな世界の中に従来型のトラストな世界、中央集権的な世界作ってしまっている、すなわち取引所が第三者機関(=取引所)になってしまって、銀行預金のような形でやっているのです。

銀行やネット銀行は非常に強固なセキュリティを組んでいて、不正アクセスによる流出事件は起きなていない一方で、そのようなトラストな世界を作っているにも関わらず取引所側は、AWSのようなクラウドベースのセキュリティシステムで構築しています。

AWSのセキュリティ自体が低いというわけではなく、リモートでアクセスできてしまうような環境下で管理されていた事が問題なのです。

そう考えると、第三者機関として顧客の資産を預かっている取引所に対して、銀行並みのセキュリティを導入しなければならないのではないでしょうか。

先日の金融庁の研究会で、私が同じような指摘をしたところ、仮想通貨交換業者で構成される自主規制団体会長の奥山さんが「いやうちはベンチャーなので…」とおっしゃっていましたが、ベンチャーかどうかに関わらず、数千億円の顧客資金を預かっているわけなのだから、預かっている額に見合った、匹敵したセキュリティにしなければならないのではないかと思います。

逆に言えば、ベンチャーが何千億円も預かるようなビジネスをする事はダメなのではないでしょうか。

無理であるのであれば、信託銀行に預けて、仲介業だけ行うなどの措置をとった方がいいのではないかとも思います」

非中央集権の幻想

現状では上記のような状況ですが、一般的利用者でも簡単に管理できるコールドウォレットの普及課題、秘密鍵管理の難しさなどを理由に、岩下教授は

非中央集権は幻想にすぎず、ビットコインを構築するための技術的選択に過ぎません。非中央集権であることに価値がある訳ではありません」

といった非中央集権イデオロギーに対する厳しい発言がなされていた他、ブロックチェーンについても「秘密鍵の管理という責任に耐えられる利用者だけが使いこなすべき技術と考えるべき」と述べていました。

まとめ

岩下教授が日本銀行を退行される際には、「日銀はFintech分野においてトップクラスの人材を失ってしまった」といった辛辣な内容が新聞等で報道されていた程、Fintechの業界では有名な方でありますが、気さくな話し方に印象がガラっと変わりました。

また、この場を借りて、掲載許可を下さった岩下教授、千葉商科大学経済研究所の皆様にお礼申し上げます。

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