
仮想通貨で観光業を活性化
タイ政府は18日より、外国人観光客が暗号資産(仮想通貨)をタイの法定通貨バーツに交換して決済できるようにすることで、観光業の活性化を図る。地元メディアが伝えた。
このサービス「TouristDigiPay」は、タイに一時滞在する外国人観光客のみが利用できるものだ。利用者は、タイ証券取引委員会とタイ銀行(中央銀行)の規制下にあるデジタル資産事業者と電子マネープロバイダーに口座を開設する必要がある。
また、マネーロンダリング対策庁(AMLO)の基準に従い、厳格な顧客身元確認(KYC)およびデューデリジェンスのチェックを受けることになる。
マネロンなどの金融犯罪リスクを軽減するため、取引限度額が設定されており、カード端末を設置している加盟店の場合、月間利用限度額は1口座あたり50万バーツ(約230万円)、小規模な加盟店の場合は5万バーツ(約23万円)だ。
決済はQRコードなどで行うことができる。利用者は口座を閉鎖した場合にのみ資金を引き出すことが可能で、チャージ残高に基づく現金引き出しはできない。
タイ銀行決済システム・金融技術政策局のシニアディレクター、ナフォンタワット・ポーティキット氏によると、タイ中銀は電子マネーサービスプロバイダーと協力し、外国人観光客向けのデジタルウォレットを開発した。
このウォレットは、当初は通貨両替用の電子マネーシステムとして機能し、将来的には海外のデビットカードやクレジットカードと直接連携する見込みだ。
今回の制度は、適切な監督とリスク管理を確保し、規制上のサンドボックス内で運用されている。
規制サンドボックスとは
新しい技術やビジネスモデルの実証実験を、現行の規制にとらわれずに、限定的な環境で実施できる制度。規制の壁によって事業化が難しい革新的な技術やサービスの実用化を促進することができる。
今回のプログラムは、ピチャイ・チュンハワジラ副首相兼財務大臣が主導し、財務省、証券取引委員会、マネーロンダリング対策庁、観光スポーツ省の主要関係者らが共同で発表するものだ。
導入の背景には、主に中国人観光客数の減少によって今年に入ってから観光業の収益が減速していることへ対処する必要性もあった。
タイは、世界的な仮想通貨の拠点を目指しての取り組みを始めているところだ。例えば、6月にタイ内閣は、財務省が提案した仮想通貨取引に関する税制優遇措置を承認した。
2025年1月1日から2029年12月31日までの期間に、当局が認可したプラットフォームにおける仮想通貨取引で得た収益について、個人所得税が免除される。
類似の事例ではヒマラヤ山脈に位置するブータン王国も5月、観光客向けの決済システムを導入。Binance PayおよびDK Bankと提携し、航空券、ビザ料金、ホテル宿泊、さらに果物屋台など路面店でも、100種類以上の仮想通貨による決済を可能にしている。
利用にはバイナンスのアカウントが必要であり、利用者はQRコードを使用して、取引を安全にリアルタイムで実行することが可能だ。
ブータンは仮想通貨保有とマイニングでも知られており、6月時点で約1,880億円相当のビットコイン(BTC)を蓄積している。
関連:ブータン、ビットコイン保有額が13億ドルに到達 GDPの40%相当に
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