2023年、仮想通貨とNFTに5つのトレンド=PwCレポート
仮想通貨市場の5つのトレンド
世界4大会計・コンサルティング会社の一つ、プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)は12月、暗号資産(仮想通貨)とNFT(非代替トークン)市場について展望するレポートを発表した。
特に、以下の5つのトレンドを取り上げて予測し、解説している。
- 信頼性が鍵になる
- 規制が強化される
- 従来型金融機関のチャンス
- NFTやWeb3は様々な場所に普及する
- 新たな仮想通貨擁護者の登場
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
▶️仮想通貨用語集
「信頼性」が鍵に
まず「信頼性」について、レポートはFTXなど大手仮想通貨関連企業の破綻に触れ、「信頼性を取り戻さない限り、仮想通貨はそのポテンシャルを十分に発揮できないだろう」と述べている。
このため、信頼性を築いた企業が市場で成功することになると論じており、具体的な方法としては、安全なカストディを提供することや、第三者機関による監査などを挙げた。仮想通貨企業は、従来の金融業界の慣行から指針を得られるとしている。
FTX破綻後、信頼性回復のために、準備資産の開示を行う取引所が増えているところだ。これについてレポートは、「支払能力、資産・負債、管理体制」などより広範に第三者機関から監査を受けることでさらに前進できる可能性があると指摘した。
規制強化や、従来型金融機関のチャンス
次に「規制強化」についてレポートは、まずどの仮想通貨が商品(コモディティ)であり、どれが証券であるかについて定義が進むと予測。また、ステーブルコインの規制にも進展が期待されるとした。
その他には、2022年に大手仮想通貨企業が破綻した原因ともなった、リスクの高い融資慣行(受け取った担保をもとにして融資を受けるなど)を制限するための動きが見られるかもしれないと述べている。
「従来型金融機関の動き」の項目では、スタートアップの他に「先進的な少数の従来型金融機関」も、仮想通貨分野の「真の勝者」となる可能性が高いと予測した。
こうした企業は、「リスク管理能力、顧客ベース、強力なブランド力」などを活用することが可能だと指摘する。逆に、仮想通貨ネイティブの企業は、こうした従来型企業から、カウンターパーティや集中化リスクの管理などの面で学ぶことができると続けた。
メタバースとNFT
次に、「メタバースとNFT」については、ますます様々な場所で普及が進むと予想。まず、NFTはこれまで投機的側面に注目されていたものの、ビジネス上の機能を持つものであり「収益増加、顧客とのつながりを深めること、様々なプロセス改善」などで役立つと論じている。
さらに、NFTの普及が進めば、Web3の普及にもつながると述べた。Web3の恩恵については次のように説明している。
Web3は、個人が自分のデータや資産を管理できるようにしながら、その個人の時間、データ、入力に対して報酬を与えることができる。
例えば、ある個人は、明確で持続する報酬と引き換えに、どれだけのデータを共有するかを選択することができるようになる。そして、そのデータや対価を他のプラットフォームに持っていくことも可能だ。
こうしたWeb3が進化すれば、NFTが社会のいたるところで使用され、特にそのことについて意識されないほど広まることも期待されると主張した。
ソーシャルメディア企業などが回復牽引
最後に、仮想通貨業界を新たに擁護し、最終的な回復をリードするのは、「マーチャント(商社)、ソーシャルメディア、通信会社」などの企業だと論じている。
例えば、ソーシャルメディアの中には、仮想通貨の決済プラットフォームとなることが可能な企業もあり、そのような企業が、仮想通貨に関して、若い世代の消費者層の成長を後押しできる可能性があると説明した。デジタルアイデンティティをトークンの形にしてユーザーに提供するような試みもできるという。
現在、大手ソーシャルメディアの中ではツイッター社やDiscord、Redditなどに、仮想通貨導入を巡る動きが見られるところだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します