イーサリアムからビットコインへのNFT移行を実現する規格「BRC-721E」がローンチ
BRC-721Eのローンチ
イーサリアム上で流通するNFT(非代替性トークン)を、ビットコイン・ブロックチェーン上に移行可能にする新トークン規格「BRC-721E」が29日にローンチされた。この新機能は、ビットコイン上でのNFT実装を推進するOrdinalsの重要な節目となる。
BRC-721Eは、イーサリアム上のNFT(ERC-721規格)をバーン(焼却)し、その特性を保持したままビットコインネットワーク上で再構築する能力を備えている。これは、他チェーンのNFTをビットコインの世界へ橋渡しする一歩となる。
そのための特別なトークンブリッジプロトコル「Bridge any NFT to Ordinals」も同時に提供されている。このプロトコルを用いることで、イーサリアムのNFT所有者は自分のトークンを焼却し、その情報をビットコインネットワーク上の最小単位、サトシに書き込むことが可能となる。この書き込み(インスクリプション)が完了すると、各トークンは自動的にBTC版NFT市場「Ordinal Market」のコレクションページに掲載される。
NFTの魅力はそのユニーク性だが、その特性はメタデータと呼ばれる情報によって決まる。メタデータはブロックチェーンに保存され、それが各トークンが一意である証となる。例えばデジタルアートのNFTであれば、作者、作成日、作品の詳細(色、形、サイズ等)がそれに当たる。
BRC-721Eでは、全てのメタデータがブロックチェーンに保存されるわけではない。例えば、高画質の画像や動画といった大容量のデータは、分散型ストレージであるIPFS(InterPlanetary File System)などに保存されることになる。
BRC-721Eは、OrdinalsをベースとするOrdinals Market、そして NFTコレクション「Bitcoin Miladys」、ビットコインウォレットXverseと共同で立ち上げられた。
この規格は今後も進化を続け、より多様なメタデータを扱えるようになる見通し。これはゲームアセットやアート作品といったより詳細な、または複雑なメタデータを必要とする領域への対応を意味する。また、異なるブロックチェーンとの連携(マルチチェーン対応)、ブロックチェーンに保存するデータサイズの削減といったアップグレードも視野に入れている。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。イーサリアムでは、ERC-721を採用することで、開発者が簡単にNFTを作成できる。
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Ordinalsの成長
OrdinalsはBitcoin Coreの元貢献者であるCasey Rodarmor氏が設計したプロトコルであり、ビットコインの最小単位であるサトシに一意の番号を割り当て、サトシに特定の情報(例:画像や動画、テキスト形式)を関連付け、それらの追跡を可能にする。
Dune Analyticsのデータによれば、2023年1月に導入されて以来、Ordinalsの作成件数は1030万となっており(執筆時点)、5月初旬の300万から大幅に上昇した。またCryptoSlamのデータプラットフォームによると、ネットワークごとのNFT取引量でビットコインは先週2位に躍り出ている。
5月末には、メンプール(未承認のトランザクションプール)に待機している取引が再び増加し、優先順位を確保するためにネットワーク手数料が急上昇した。The Blockによると、5月29日現在でビットコインの取引手数料は2021年4月以来の最高水準となっている。
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