Zaifハッキング事件から始まるビットコイン価格の攻防戦とその裏側|仮想通貨市況
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- Zaifのハッキング事件、bitFlyerのメンテナンス、米Cboeの先物SQ日と、仮想通貨業界はかなり慌ただしい1日となった9月20日。ハッキング流出事件後に起きたビットコイン価格の攻防と、他の被害通貨BCH、MONAの動きを解説します。
仮想通貨市場
本日の仮想通貨業界はかなり慌ただしい1日となったといっても過言では無いでしょう。
まず9月20日の明朝から、Bitflyerのメンテナンス、Cboeのビットコイン先物SQ日、と現在盛んに取引されるビットコインFXを中心に、ビットコイン価格が大きく動く警戒感が強まっていた中で、20日未明に日本の仮想通貨取引所Zaifから突然のハッキング報道、被害総額も計67億円相当と大きな額に及んだことが発表されました。
ビットコインの値動き
では、早速当時の状況をチャートを交えて見ていきます。
まず上記のチャートを時系列に整理すると以下の通りです。
2時59分(オレンジライン):Zaifのハッキング被害告知
4時00分(青ライン):bitFlyerメンテナンス明け
4時45分(ムラサキライン):CboeのSQ日時
SQ日の注目度
まず、この中で最も注目されていたのはCboeのビットコイン先物の期日となるSQ日(4時45分)から見ていきます。
先読みビットコイン情報でも掲載した様に、2017年12月から米国のシカゴ・オプション取引所(Cboe)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で開始された「ビットコインの先物取引」は、公開当初より大きく取引高を伸ばしており、コントラクトの限月(先物期限の満期日)が近付くにつれて、機関投資家など大口を含む投資家の「ポジション解消」が盛んに行われ、仮想通貨市場が動く可能性がより増している状況になってきています。
過去のSQ日を振り返ると、前月のCboeのビットコイン先物決済日も、思惑買いで、1:30頃に830,000円まで上昇していたビットコイン相場の中で、SQ時間に当たる4:45以降に警戒感が高まっていた買い戻しの上昇がないと見るや、売り仕掛けに遭う格好で700,000円まで急落しています。
また、9月1日のCMEのSQ日に価格が動いた際も、同時刻に取引所Bitfinexが緊急メンテを行なったことで、より価格に影響した可能性が指摘され、価格操作の疑惑がうまれるなど、より注目度が増している過去があります。
突如発表されるハッキング被害報告とbitFlyerのメンテ明け
警戒感が高まる中で、予期せぬ報道が発表され、ビットコインはZaifのツイッターでの報告から相場が下落に傾きました。
上記で記載した様に警戒感が高まる中で、日本時間の深夜に当たる2時(SQの3時間前)にハッキング被害に関する公式発表を行なったZaifは、日本だけでなく海外コミュニティからも大きく問題視されても仕方がない状況と言えますが、幸いにもSQ日に備え待機していた日本のビットコインFX勢がより多くいたことは不幸中の幸いかもしれません。
結果として、発表された2時59分から、下落に転じたビットコインは、bitFlyerの71万から68万8000円まで3万2000円幅、3.8%の瞬間的な下落を記録しています。
この下落に歯止めがかかったのは、bitFlyerのメンテナンス明け10分後に当たる4時10分で、約1時間10分で4%弱とかなり大きな影響があったことがわかります。
ではbitFlyerのメンテナンス明け後の状況を見ていきます。
コインポストと提携をしていただくことになりました、「ハル様(@kasou365)」も当時の状況を動画で追っており、その一部始終を相場を先導したBitfinexと、bitFlyerの状況を収録しています。(音量注意)
動画でも明確にわかるように、Zaifのハッキング報道で大きく下落に転じた相場は、海外取引所Bitfinexの強い買いが先行し、大きく値を戻し始めています。
ハル氏の見る注目ポイントは以下の3点です。
・BF乖離がマイナス1.2%からプラス0.2%へ
・BFFXツッコミショーターの連続ロスカット
・Bitfinex $200幅急騰。BFは後追いで上昇(7分30秒頃~)
Twitter:@kasou365
結果、この急反発によって、急落相場が転換(30分、1時間足でパラボリックも転換)し、ハッキングといった大きな売り材料を一時払拭する状況に至ったことになります。
執筆現在(20時)でも大きな値崩れはなく、一定水準を保った相場を継続しています。
BTC以外のハッキング被害にあったアルトコイン通貨の価格は?
今回ビットコイン以外にハッキング被害にあった通貨は、ビットコインキャッシュ(BCH)とモナコイン(MONA)となります。
ビットコインとは異なり、テックビューロ社が、ハッキング事件を犯罪事件として財務局に提出したことで、その流出量など多くの詳細は明きらかにされていないことから、明確な被害状況はわからずにいます。(ユーザーによるアドレスからの推測はされている模様)
発表内容(被害総額と流出ビットコイン数)から算出すると、被害総額67億円が3通貨の合計、BTCの被害額(1BTC:721,000と仮定する)約43億円相当となることで、MONAとBCHを合計すると24億円相当に及ぶ計算となります。
まずハッキングの公式発表当初からの状況を見ていきます。
上記は、コインベースのビットコイン/米ドルを基準とした、BCH/USD:ムラサキ(bitfinex)、MONA/USD:青(bittrex換算)を比較したチャートとなりますが、オレンジの縦線で表示したハッキング被害報告時刻までは、共にビットコインの値動きに追随しているのに対し、報告後にMONAのみBTCの値動きから離脱し、急落していることがわかります。
一方で、ビットコインキャッシュはビットコインの反発に合わせて値を戻し、現在こそBTCより下落に傾いていますが、概ねBTCの値動きに沿った動きをしています。
ここで両者に大きな差が出たと考えられる要因は時価総額の差です。
通貨名 | 時価総額 | BTCとの比率 |
---|---|---|
BTC | BCH | MONA |
1110億5347万USD | 74億8370万USD | 5691万USD |
/ | 6.73% | 0.051% |
上記は、データサイトCoinMarketCap を参照したものとなりますが、その時価総額に大きな差があることがわかります。
BCHは時価総額4位に位置する一方で、MONAは93位と時価総額ランクでも差こそありますが、圧倒的な時価総額の差が、ハッキング被害額が公表されていない状況の中でも、その売り圧力を警戒する動きがでてきているのではないかと推測することができます。
この警戒感をより強めたのは、コインチェックの流出事件後、値を崩したXEMの値動きも多少関係していると考えられ、独自のコミュニティ形成を行なっているMONAの強い意志に反して、痛い形で流出事件の被害が出てしまっているかもしれません。
なお、コインポストの記事でも紹介した様に、海外のトラッキングサイトを中心に、被害ビットコインとそのウォレットの追跡やタグ付けが行われている様です。
仮想通貨業界が再度盛り上がろうとしている中での、大きな痛手となってしまった仮想通貨流出事件ですが、早期解決への動きと、被害にあったZaifをはじめとする日本の仮想通貨取引所団体の動きが望まれていることは間違い無いでしょう。
仮想通貨(ブロックチェーン)関連株
20日未明、日本の大手取引所Zaifにて、67億円相当(BTC、MONA、BCHを含む)のハッキング被害が発覚、取引所Zaifを運営するテックビューロ社の支援要請を経て、株式会社フィスコのグループ企業が「50億円の金融支援と資本提携」を発表したことで、フィスコ(3807)が、一時+20%以上の高騰を見せ、10.00%高で引けました。
金融関連情報をネットで提供している、ジャスダック銘柄のフィスコは、仮想通貨系にも注力しており、業容拡大を期待した買いが集まった模様です。
また、セキュリティ向上を目的とした技術提供を発表されたカイカ(2315)が9.09%高。コインチェックのハッキング事件同様、需要増の思惑から、セキュリティ関連セクター全体が買われ、テリロジー(3356)やエルテス(3967)などが大幅上昇しています。
有望視されている仮想通貨(ブロックチェーン)関連株の最新情報は、以下の記事でまとめているので参考にどうぞ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します