ミームコインPEPEの価格暴落、16兆トークンのダンピングは内部犯行と発表 創設メンバー3人がマルチシグウォレットを操作

多額の不正送金

暗号資産(仮想通貨)Pepe Memecoin(PEPE)の創設メンバーは26日、24日にプロジェクトのマルチシグ(マルチシグネチャー)ウォレットから約16兆PEPE(約1500万ドル)を引き出し、複数の取引所で売却したのは、3人の元開発チームメンバーによる内部犯行だったと公式アカウントで発表した。

この計画的な犯行を終えた後、3人はマルチシグに必要な署名数を変更するとともに自身らを署名者から削除。SNSアカウントも全て削除し、プロジェクトとの関係を解消したという。

Xの公式アカウントに投稿された創設メンバーの説明によると、ウォレットのマルチシグはセキュリティ対策のため複数の秘密鍵が揃って初めて承認されるように設定されていたが、悪意を持った元関係者らが結託して犯行に及んだものと見られる。

元メンバーらはこのウォレットにログイン後、26兆あったトークンのうちの60%(16兆トークン)を不正に引き出し、バイナンスやOKX、Kucoin、Bybitといった取引所に送金し売却した。

その後、必要な署名数は5/8から2/8(8つの秘密鍵のうち、2つの鍵で署名が必要)に変更された。

現在、マルチシグウォレットには10兆トークンが残されており、その全ての管理権は、この匿名の創設メンバーに委ねられているという。当人は、残りの10兆トークンは新しいウォレットに転送され、使用するかバーンするかが確定するまで保管されると主張。このトークンはPEPEの新たなWebドメインおよびユーザー名の購入に使用され、一部を寄付するが、その残りはバーンされる予定だと述べている。

マルチシグ

マルチシグとは、複数の「秘密鍵」で署名を行わないと取引が実行されない仕組みや技術を指す。「複数」を表す「multi」と「署名」を表す「signature」を組み合わせた「multi-signature(マルチ・シグネチャ)」の略。秘密鍵が1つ漏洩した場合でも、別の秘密鍵がないと取引ができないため、セキュリティを向上させることができる。必要な署名の数は「2 of 3」や「2/3」のように表され、この場合「3つの秘密鍵の内、2つの鍵で署名が必要」という意味になる。

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PEPEと内部抗争

24日にマルチシグウォレットからの大量の送金が発覚すると、PEPEの価格は約20%暴落した。

PEPEは、いわゆるミーム文化と仮想通貨が結合した「ミームコイン」の一種であり、アメリカの人気漫画キャラクター「Pepe the Frog」からインスピレーションを得ている。

PEPE Memecoinの公式ウェブサイトによると、PEPEは「最もミーム性の高いミームコイン」を目指す一方で、本質的な価値を持つものでないことを明言していた。

公式のチームやロードマップは存在せず、このコインは完全に無用で、エンターテイメントの目的のみに使われる

ジョークを前面に押し出したこのミームコインは、ローンチからわずか3日間で21,000%以上上昇。今年5月には時価総額約2,198億円(15億ドル)とピークに達した。

しかし、順調に進展しているかに見えたプロジェクトの背後では、一部の開発チームメンバーの「大きなエゴ」により、内紛に悩まされる状態が続き、今回の騒動につながったことが明かされた。PEPEの公式Xアカウントの声明によると、内部では頻繁に衝突が起こり、開発チームの大半はプロジェクト開始から1週間後には距離を置き始めたという。

また、公式サイトによると、プロジェクトチームのウォレットに保管されているトークンは、取引所への上場や、ブリッジ、流動性など特定の用途のために保有されることを意図したものであり、市場で販売され、チームが利益を享受するためのものではなかった。しかし、開発者チームではウォレットの管理をめぐって意見の相違が生じていたようだ。

残された創設メンバーは、今回の騒動と損失についてコミュニティに謝罪した上で、PEPEは現在、このような「荷物」から完全に解放され、進むべき方向は明確になっていると主張している。

関連:OpenSea ProがPEPE Memecoinに対応、ミームコインのエコシステム拡大へ

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