仮想通貨大手企業DCGとジェネシス債権者が暫定合意 貸し手グループは反対姿勢
暫定合意も、貸し手グループから反対の声
暗号資産(仮想通貨)コングロマリット企業デジタルカレンシーグループは(DCG)は29日、仮想通貨レンディングを行っていた子会社ジェネシス・グローバル・キャピタルの債権者との間で破産計画について、暫定的な合意に達した。
しかし、ジェネシスの貸し手グループはこの合意には反対を表明している。
DCGは無担保債権者委員会と大筋合意に達したことを嬉しく思うとして、次のように述べた。
合意によって、ジェネシスの米連邦破産法11条(チャプターイレブン)破産手続きにおける債権請求の包括的な解決の枠組みが提供された。債権者には、資産回収への道筋が提供されることになる。
大筋合意は文書化され、チャプターイレブンに基づく破産計画の最終承認を得る手続きの一環で、破産裁判所に提出される。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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債務を再編成
現在の計画が承認された場合、無担保債権者は、市場の動向にも依存するが米ドルで70~90%、仮想通貨で65~90%の割合で、資産を回収できると見積もられている。
DCGが、関連企業間融資としてジェネシスから借りていた約919億円(約6億3,000万ドル)のローンは、2023年5月が支払い期限となっていたが、DCGはこれを不履行としていた。
また、DCGは2032年までに債務者に約1,458億円(10億ドル)を支払う約束手形を提供している。
暫定合意でDCGは、これら5月期限だった無担保ローンと2032年期限となる負債について、部分的な返済に合意した形だ。
DCGは債務の再編成を行い、貸し手に対して2年を満期とする融資枠約479億円(3億2,880万ドル)と、7年満期の融資枠約1,210億円(8億3,000万ドル)により、部分的に返済を行う計画である。
また、2023年5月満期のローンの一部について、4回の分割払いで約401億円(2億7,500万ドル)を支払うという合意を結んだ。
貸し手グループは承認しない姿勢
しかし、ライアン・ローゼン弁護士らが代理を務めるジェネシスへの貸し手グループは、こうした暫定合意は「まったく不十分」な内容であると述べ、反対の姿勢を示している。グループは29日に破産裁判所に提出した書類で次のように申し立てた。
満期を迎え、3か月前に支払われるべきだった6億3,000万ドルに対して、DCGは合意ですぐには2億7,500万ドルしか支払おうとしていない。3億2,880万ドルは2年後となる。
こうした返済額は、第三者債権者の請求についてはもちろん、資産請求の免除に値するほど多額であるとは考えにくい。
この貸し手グループは、DCGとそのCEOであるバリー・シルバート氏を将来的に法的な請求から免除するという条項にも反対している。このような計画を盛り込んだ取引は阻止するとも警告した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します