米仮想通貨・株投資アプリ「ロビンフッド」、FTXサム前CEOらの所有していた株式を買戻し完了 6億ドル相当

5,500万株以上を買い戻し

米大手投資アプリのロビンフッドは1日、破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリード前CEOらが所有していた同社の株式5,500万株以上を買い戻したと発表した。

この株式は、フリード氏とFTXの共同創設者ゲーリー・ワン氏が、その持ち株会社であるエマージェントフィデリティ・テクノロジーズを通じて22年5月に取得していたものだ。

米国司法省は、これを米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づく破産申請を行ったFTXの資産整理の一環で押収していた。

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米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは

日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。

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ロビンフッドは1月、ニューヨーク州南部地区地方裁判所から、5,500万株の大部分または全部の購入を求める権限を承認されたと発表。これにもとづいて、米国政府から買い戻したことになる。

この取引を承認したルイス・カプラン連邦地裁判事は、ロビンフッドによる株式買い戻しは、適切なものであり、関連する利害関係者の最善の利益になると述べていた。

ロビンフッドは8月31日に、総額約880億円(6億ドル)、1株あたり約1,600円(約10.96ドル)で合計55,273,469株すべてを購入完了した。同社のジェイソン・ワーニック最高財務責任者(CFO)は、次のようにコメントしている。

私たちは、株式をすべて買い戻せたことを喜ばしく思っており、顧客と株主のために当社の成長計画を実行していく。

ロビンフッド株(HOOD)の価格は、ナスダックで購入後に約4%上昇しており、現在は約1,620円(11.1ドル)前後を推移している。

裁判延期となる可能性

FTXのサム・バンクマン=フリード前CEOは8月、ニューヨーク州南部地裁に出廷し、詐欺やマネーロンダリングなどの容疑についてふたたび無罪を主張したところだ。フリード氏は8月11日より、証人へ干渉しようとした疑いでふたたび収監されている。

関連FTXサム前CEO、ふたたび無罪を主張 再収監後の初出廷で

フリード氏に対する裁判は当初、10月3日より開始する予定だったが、現在その延期が検討されている。

背景にはフリード氏の弁護士の申し立てがある。弁護士は、フリード氏は裁判に向けて証拠を検討する必要があるが、メトロポリタン拘置所がそうした証拠を収めたハードドライブをまだフリード氏に提供していないと指摘した形だ。

これを受けて、カプラン判事は、オンライン審理が5カ月間延期となる可能性があるとの見方を示した。ただし、確認すべき証拠書類の量が多いというだけでは理由にならないとも付け加えている。

「被告が良心に基づいて延期が必要だと感じたのであれば、延期を要請することができる」と述べた。ただ、そのためにはフリード氏側は、証拠の量という問題だけではなく、「真に予期されていなかった必要性が生じた」ことを証明する必要があるとしている。

FTXとは

バンクマン=フリード被告が率いていた仮想通貨取引所。2019年の創設後、急速に頭角を表し、業界最大手バイナンスに次ぐ大手取引所へと成長していた。その後に経営破綻し、昨年11月に破産申請を行なっている。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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