ビットコインETF承認後の年初相場をプロが解説|寄稿:仮想NISHI
*本レポートは、暗号資産取引所SBI VCトレードのクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
ビットコインマーケットレポート(1月17日~1月23日)
ビットコインは1月11日午前6時ごろ(日本時間)米SEC が現物スポットETFを承認したことにより、ビットコインの価格が急上昇、翌12 日の取引開始時付近には4万9千ドルまで連騰した。
しかし、これまで償還手段が無かったGBTCから13日までに5.79億ドルの売却があったこと等により、価格は4万1千ドル付近まで急落した。その後、価格が自律反発し4万2千~3千ドル付近で安定して推移している。執筆時点では4万3千ドル 付近。
関連:初歩から学ぶビットコインETF特集:投資のメリット・デメリット、米国株の買い方まで解説
足もと
ビットコインの成行注文のアクティブOI(未決済建玉)はロング寄りのポジションに強く偏っていたが、直近ではファンディングレートがマイナスとなる取引所が出て来る等、ポジションの偏りに是正が見て取れる。
現物市場
成行売買を見ると、現物は継続的に買われ続けていること(下画像赤枠)が見受けられる。
デリバティブ市場
直近のデリバティブ市場の無期限先物は、全体的に現物より低い価格で推移しており、売られすぎとなっている(下画像赤枠)。
オプション市場
現物渡しで取引されるオプション市場では、現在価格より高い価格帯である 5万ドルに建玉が集中(下画像赤枠)しているが、直近では4 万ドル台半ばの価格帯の建玉が増えている(下画像赤枠)。
PCRレシオも絶対水準自体は高くないものの上昇(下画像青枠)しており、市場参加者の態度はやや弱気に変化していると捉えることができる。
先物市場
先物市場(CME)のOIは、ETF承認前後に急騰し(下画像赤矢印)、資金流入が続いていることが分かる。
内訳を見てみると、「Asset Manager」はロング比率が100%を昨年10月下旬より継続している(下画像青枠)のに比べ、価格差益を狙う「Leveraged Funds」はショートポジションの割合が11月から上昇している(下画像黄枠)。
外部環境
他アセットとの相関は、S&P500(+0.87)など米株指数との相関が非常に高くなっている。一方、原油との相関は▲0.82と逆相関となっている。(下画像赤線)。米国債の利回り差(10年-2年)が昨年12月中旬以降狭まり逆イールドが解消されつつあり、ビットコイン上昇の追い風となっていることが見受けられる(下画像黄枠)。
オンチェーン環境
ハッシュレートは大きく低下しており、次回難易度予想は▲11.56%の易化予想。
直近のクリプト指標
◼️1月17日
米小売上高
米鉱工業生産指数
◼️1月18日
米フィラデルフィア連銀景気指数
◼️1月19日
米ミシガン大消費者信頼感指数
◼️1月23日
日銀政策決定会合1月
総括
今回の米SECの現物ETF承認は、ビットコインにとって歴史的なイベントであった。
ETF承認による急騰後の急落が一服し、ビットコイン市場はデリバディブ市場でやや売らすぎの状態となっている。加えて、外部環境から見ても逆イールドが解消されつつあることがビットコインの追い風となっている。
画像出典:Tainoko Lab
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