米有識弁護士が解説:SECがICOに対する「法的執行」を総括、第二段階に突入

米SECが2つの仮想通貨ICOを有価証券と判断、民事和解へ
米SECは、米時間金曜日、2つのICOプロジェクトに対する告訴にて、ICOトークンを未登録証券とみなし、投資家への返金、証券登録および罰金を課したと発表した。これは、ICOの有価証券問題における取り締まりの重要な事例となるとされている。
仮想通貨弁護士が解説:SECがICOに対する「法的執行」を総括、第二段階に突入
仮想通貨界隈の法律アナリストとしてSNS上で信頼される米国弁護士Jake Chervinsky氏は先日SECが2つのICOに対する法的和解を受け、当局の「ガイダンス段階」が終わり、「業界の清掃」という第二段階を始めようとしているのではないかと分析している。

米弁護士Jake Chervinsky氏曰く:SECはICOに対する規制の第二段階を目論む

まず、背景として、米国証券取引委員会(SEC)は11月17日に、当委員会が2つのICOプロジェクト(AirfoxとParagon)に対する告訴で、ICOトークンの発行と販売が未登録証券に該当すると判断し、民事和解を行なったことを公式で公表した。

告訴の結果に関して、以下の様にまとめた。

また、以下が今回の判断における重要なポイントとなる。

  • 2017年のDAO調査報告書発表後に行われたICOが有価証券の発行・販売とみなされる点
  • SEC初の、ICO証券における「登録違反」に対する民事処罰
  • 既存のICOプロジェクトが投資家に返金、SECに登録し直すことが可能

SECの結果を受け、仮想通貨界隈の法律アナリストとしてSNS上で信頼される米国弁護士Jake Chervinsky氏はツイッター上で、この件の意味、重要性および今後の展望を詳しく掲載している。

コインポストでは、以下の様にまとめている。

SECの第一段階=ガイダンス

まず、Chervinsky氏はSECの管轄をこのように再度説明した。

そもそも米SECとは規制関連法を立法する機関ではなく、議会が立法して裁判所が解釈したものを執行する機関である。SECに所属する弁護士は関連諸法を解釈し法的執行を行うが、SECの解釈は絶対ではなく、裁判所によって覆され、負けることももちろんある。

今回の二つのICOに対する告訴および和解は、先週、分散型取引所EtherDeltaに対する処罰から、それほど驚くことでもなく、つまり、今後もこのような取り締まりおよび告訴が行われる可能性が高いとのことだろう。

そして、罰として、「25万ドル、それだけだ。それ以上でも以下でもない」とはっきりと同弁護士は、述べている。

2社が全く違うプロジェクトではあるが、「おそらくこの罰金は一律なのかもしれない」と言及し、要するに未登録証券とみなされるICOは意外にも軽い罰をうけると済むと考えられるだろうか。

そして、Chervinsky氏は、SECの今までの動向について、この様に分析をした。

SECのHinman氏は、ビットコインイーサリアムが十分に非中央集権であるため、証券に該当しないことに加え、ここ一年ほど、戦略的にいくつかのICOを告訴してきた。つまり、これは、SECの『第一段階』となった。

これは、SECの常套手段で、『執行によるガイダンス』と知られている。

SECのこのやり方は、明確な規制を必要とする業界(ここでは仮想通貨業界)にとっては、とても悩ましい状況であるが、規制当局にとっては、非常に都合のいい戦略で、自由裁量ができるからだ。

有価証券に該当するICOとは何か

SECはこの告訴の結果に伴い、『デジタル・アセット証券および取引に関する陳述書』という文章を公開し、Chervinskyは先日、これが「現段階では最も重要で、役にたつ公式文書だ」とコメントをし、

たとえICO発行企業が過去に違法で未登録のデジタル・アセット証券を発表したとしても、改めて連邦の証券法を遵守し、改正していく方法はある。

と抜粋した。

しかし、今現在も、連邦の証券法で「デジタル・アセット」をどのように定義するか、SECの陳述書の言葉では、明確にされていないと指摘した。

なお一方では、上記の抜粋の部分から、「にしても、SECはICOを根絶しないだろう」と述べ、SECが最近開設したFinHubという窓口、または、今後発表される「仮想通貨ICOガイダンス」からより明確な方向性が見えてくるだろう、と説明した。

SECの第二段階=業界の清掃

以上の経緯から、Chervinsky氏は、「おそらく、第一段階は終了した」と見据えており、次なる段階について、このように解釈した。

SECはこれまで、すでにICOプロジェクトと取引所にも手を伸ばしており、あとは、トレーダーだけど、SECからヒントはおそらく期待できないだろう。

私が正しければ、SECはこれから第二段階を開始:告訴をもち、ゆっくりと仮想通貨界を清掃していくと考えられる。

仮想通貨業界において、証券関連の法律は単なる一つのパーツに過ぎない。今後はさらに税、マネーロンダリング、経済制裁等についての法律の整備が待っているに違いないだろう。

要するに、SECが今後どう動くかは、投資家、ICOプロジェクト、そして取引所側=業界全体にとって、極めて重要であり、目を離せないと言っていいだろう。

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SECのHinman氏が、今後ICOトークンの発行に当たる「有価証券」の判断を明確にするガイダンスを公開する予定であると発言した。今後ICOトークンの正当性にとって極めて重要なターニングポイントとなる事が予想される。

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