BitMEX CEO「将来的な価値が疑問視される12の仮想通貨プロジェクト」を公表
- BitMEX CEO「将来的な価値が疑問視される12のICOプロジェクト」を公表
- 香港を拠点とする仮想通貨取引BitMEXのアーサー・ヘイズCEOが、「将来的な価値が疑問視される12のICOプロジェクト」を公表した。 ICOからSTOなどに潮流が移り変わりつつある仮想通貨業界だが、BITMEX CEOは、巨額資金を集めたプロジェクトに疑問を呈している。
将来的な価値が疑問視される12のICOプロジェクト
香港を拠点とする仮想通貨取引BitMEXのアーサー・ヘイズCEOが、巨額の資金を調達した一部のICOプロジェクトの見通しに対する不信感を自社のニューレターで明らかにした。
ヘイズCEOがリストアップしたのは以下の通り。
- Telegram
- Filecoin
- DFINITY
- Polkadot
- tZero
- Basis
- Orchid Protocol
- Rootstock
- Algorand
- Cosmos
- Oasis Labs
いずれも5000万ドル以上の資金を調達したICOプロジェクトだが、未だ流通市場に上場していない。
ヘイズCEOは、自身の考えではあるものの、これらのトークンのほとんど、またはすべてが、将来的な価値を持たないと確信しているようだ。
これらの取引は巨額の評価額を受けており、最も崇拝されるトークンファンドは多額の資金を調達した。
(しかし)これらの取引が流通市場に上場することがあるとしても、いつになるかは不明だ。
ヘイズCEOはこれらのトークンを大量に購入したファンドが、上場前に割引ベースでトークンを売却することを検討しているとの「事例報告」を受けたとも宣言し、話題になっている。
通常巨額ICOへの投資には、ロック期間が設けられるなど、大口が一気に売却できない仕組みが設けられているが、その期間後の売却を危惧しているものと思われる。
Q3のICOは「絶望的なパフォーマンス」
ヘイズCEOの発言は単なる懸念によるものではない。
ICOの信頼性を評価する「ICORating」の最新版によると、2018年Q3の資金調達総額は18億ドル強とわずか3カ月で前年を上回る金額を調達したQ1(63億ドル)や、継続的な成長を記録したQ2(83.5億ドル)とは比べ物にならない「絶望的なパフォーマンス」だったと記載された。
Q3に発表されたICOのうち10万ドル以上の資金を調達したプロジェクトは57%で、76.15%のプロジェクトは「アイデア」の段階であり、実際に上場したのはたった4%にとどまったようだ。
Q3のパフォーマンスが急激に落ち込んだ原因は多数挙げられているが、総体的にはリターンの大幅な低下も大きな要因になった可能性があり、Q3の投資リターンの中央値は22%で、79%のトークンがICO 価格を下回る価格で取引された。
一方で、優良なプロジェクトは、SECなどに認可をもらう形での「STO」へ変わりつつある動きもある。業界全体の動きが、新たな方向へ変化しているという見方もできるだろう。
SECによる規制強化も影響
もう一つ、米国証券取引委員会(SEC)によるプロジェクトを対象とした介入と圧力が増したことも市場を敏感にさせているようだ。
SECは2018年9月、資金を調達するだけでプロジェクトを実行しないICOを厳重に取り締まる方針を発表した。
仮想通貨市場の注目を集めていたICOの有価証券問題に関しては、11月に入り、2つのICOプロジェクト(AirfoxとParagon)を未登録証券違反との判断し、罰金支払いと投資家への返金、有価証券の登録を命じるなど、ICO規制に本腰を入れている。
またトークン発行の際証券性を判断するための「仮想通貨ICOガイダンス」を作成中であることも、企業金融部長であるウィリアム・ヒンマン氏の発言から明らかになっている。
しかし、ヘイズCEOは大量のトークンが市場に出回ることで、需要が減退する可能性を懸念しているが、ICO市場そのものが消える運命にあると結論付けるのは極端過ぎるといえるだろう。
ビットコインのサイドチェーン「Rootstock」のように、開発者がトークンを必要とするものもあるため、技術面にフォーカスするプロジェクトなど、一概に投機面だけで測れないものもあるのが実状だ。
これまでの動きを見ていくと、厳しい見方もされているのは事実ではあるものの、仮想通貨の動きも各国政府の動きによって大きく潮流が変化しており、業界においていい方向に向かっていることは言うまでもないだろう。
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します