欧州連合がブロックチェーン技術応用に関する報告書を公表:自己主権型IDや法定通貨のトークン化を模索

EUがブロックチェーン技術応用に関するレポートを公表
12月7日、ブロックチェーン技術に関する調査報告書が、欧州連合より発足した機関「EUBOF」により公表され、欧州における、ブロックチェーン基軸のIDや法定通貨のデジタル化のメリットが示されている。

欧州連合:ブロックチェーン技術導入対象分野とそのメリット

12月7日、ブロックチェーンに基づいたデジタルID、法定通貨のデジタル化に関する調査レポートが、EUBOF(European Union Blockchain Observatory and Forum)により公表された。

EUBOFとは、欧州連合により発足した、ブロックチェーンの発展の観測とそれに関連した政策や方針を提供していくことを目的とした機関である。

なお、同調査レポートは、政府と国民双方の利益と利便性の追求を目的としており、イーサリアムに焦点を当てたブロックチェーン技術関連企業ConsenSysによって実施されたという。

ConsenSysの創設者Joseph Lubin氏が同社の大規模な組織改革を表明。「新たな方向性」に向かう為、3つのパフォーマンス指標と5つの柱から成る「ConsenSys 2.0」に基づき進められる格好だ。

そして、当レポートは、主に法定通貨のデジタル化と、自己主権型アイデンティティ=ID 2つの分野に焦点を当てたものとなっている。

まず、以下が調査レポートの重要点。

  • 個人情報保護の観点から自己主権型アイデンティティの導入が政府に求められる。
  • 自己主権型アイデンティティの実現は、中央集権型のシステムでは実現困難。
  • 中央銀行や国際銀行による分散台帳技術の利用は、銀行間における取引の透明性、耐性、コストパフォーマンスを高めることになる。
  • 法定通貨のデジタル化(CBDC)により、直接送金などが可能となるスマートコントラクトが実装できるため、既存の仮想通貨よりも有用性が高い。

自己主権型アイデンティティとは、情報登録KYCの際などに必要最低限の情報開示に限定し、なおかつ、第三機関の関与なくユーザー自身が個人情報を管理するといった考え方。

その例として「誕生日を明かさずに18歳以上であるのを証明すること」が挙げられている。

現在の、ID確認における必要最低限度以上の個人情報提供や、それらの情報の漏洩といった問題への一つの対抗策であるとされている。

また、報告では、政府がブロックチェーンを利用し、金融とは無関係のトークンを発行することにより、政府サービス と引き換えられる電子引換券などを提供することもできるという。

今回、EUが政府と国民の間に見られつつあるブロックチェーンの実用性とそのメリットに関して模索していることは、先日カナダ銀行、シンガポール金融庁(MAS)、イングランド中央銀行(BoE)共同で、中央銀行のブロックチェーン基軸のデジタル通貨(CBDC)を推奨する報告書を発表したことに加え、今後EUなどの主要国だけでなく、より多くの国・地域におけるブロックチェーンに対する関心、研究にも追い風となりうるだろう。

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カナダ銀行、シンガポール金融庁(MAS)、イギリス中央銀行(BoE)が、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)を推奨する報告書を発表。国際送金等、法定通貨が抱える課題の解決策としての中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)への注目が高まりつつある。
EUの政策執行機関「欧州委員会」は、複数の主要銀行と提携し、ブロックチェーン協会の発足を発表した。EUブロックチェーン基準を国際的に推進することを目的としており、スペイン大手銀行のBBVAやサンタンデールも参加する。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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