自動車業界、今後3年間で「ブロックチェーン分野」への積極投資を検討|IBM調査

自動車業界でのブロックチェーン技術
ブロックチェーン技術の実用化を模索する自動車業界。IBMが実施した上級管理職1314人へのアンケートでは、約62%が2021年までに同業界でブロックチェーン技術が多大な影響力を持つようになると回答した。

IBMの自動車業界調査

IBMの経営戦略部門であるIBM Institute for Business Value(以下、IBM)は、Oxford Economicsと共に、自動車業界の上級管理職を務める1314人へのアンケートを実施し、同業界がブロックチェーン技術に対してどのような見解を持っているのかを調査した。

その調査報告書は、”Daring to be first”と称され、12月12日にプレスリリースが公開されている。

調査対象となった自動車業界の上級管理職の人々は、38%が納品先のブランド名を使用して製造を行うOEMs(Original Equipment Manufacture)で、62%が自動車部品などを製造するサプライヤーといった内訳となっており、中国、日本、アメリカ、イギリスなどの10カ国、そして、上級管理職の部門も自動車業界の中でもIT、マーケティング、金融など多岐に渡っている。

注目すべきは、自動車業界の上級管理職の内、約62%が2021年までに同業界でブロックチェーン技術が多大な影響力を持つようになると回答したことだろう。

次に、IBMは調査対象者をAuto Pioneers(15%)、Other OEMs(26%)、Other Suppliers(59%)の3つのグループに分けた。

中でも特筆すべきは、ブロックチェーン技術に対する明確な戦略を持っている、または同技術の実験、試用、採用のいずれかの段階に属するAuto Pioneers(自動車業界のパイオニア)と呼ばれるグループだ。

そのAuto Pioneersに属する95%の上級管理職の人々は、驚くべきことに今後3年間においてブロックチェーン分野への投資を積極的に行なっていきたいと回答している。

そして、Other OEMs(その他のOEMs)が56%、Other Suppliers(その他のサプライヤー)が26%と続いている。

そして、サプライヤーの10%、OEMsの僅か32%ほどがブロックチェーン技術を受け入れる準備が整っていると語り、ほとんどの企業において、未だ新しい技術を取り入れる環境が整っていないことが示唆された。

その大きな理由として、スキルの欠如、規制の不透明性が挙げられている。

今回の発表において、IBMの自動車業界リサーチ部門に属するBen Stanley氏は、ブロックチェーン技術の可能性を以下のように言及している。

自動車業界において、ブロックチェーン技術は未だ黎明期にある。しかし、その可能性は計り知れない。そして、2019年には、安全なデータ共有、自動車、運転シェア取引、自動車内でのショッピング市場などの分野で、ブロックチェーン技術が実際に適用されていくことを期待している。

Mobility Open Blockchain Initiative(MOBI)という組織も、自動車をより速く、手頃にし、さらに広い普及を目指すため、ブロックチェーン技術の実用化を模索している。

同機関の創業者でCEOのChris Ballinger氏も、自動車業界ではさらなる効率化が求められており、同技術がビジネス、消費者、自動車などの間で信頼を屈強にすることができると述べている。

自動車業界でのブロックチェーン使用

実際、自動車業界ですでにブロックチェーン技術が試用化されている例も多くある。

リトアニアのスタートアップcarVerticalは、自動車の自己診断機能とGPS、そして、仮想通貨IOTAを組み合わせたプラットフォームcarVerticalCITYを開発し、駐車料金の支払いや電気自動車などでの自動化を目指して取り組んでいる。

ラグジュアリー自動車で有名なポルシェもベルリンのブロックチェーン関連スタートアップXainと提携を結び、ブロックチェーン技術と自動車を結びつける取り組みが行われている。

車両はブロックチェーンの一部となり、オフラインでの接続や、キーの開閉が行える他、将来的な自動運転も視野に入れていることが示唆された。

さらに、中国大手電気自動車メーカーのBYDもVeChain技術を使用し、走行データやCO2排出量データをトラッキングすることで、カーボンクレジットの取引を可能にしようと試みている。

そのデータは、将来的に、保険、補助金、メンテナンスなど、ユーザーにとって利便性の高い様々な用途に使われる可能性も秘めている。

このように、金融業界やサプライチェーン業界で特に注目されていたブロックチェーン技術だが、IBMの調査によって、自動車業界でもその注目度が着実に高まってきていることが明らかになった。

そして自動車業界だけに止まらず、さらに多くの業界でブロックチェーンが注目されていくことが期待される。

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BMWや、ゼネラルモーターズ、Ford、Renaultなどの自動車メーカーが、自動車業界にブロックチェーンを取り入れるべくMOBIと呼ばれる共同体を発足しました。その共同体は30以上のメンバーで構成され、Hyperledgerや、IBM、IOTAなどが含まれています。
同社は、独自仮想通貨である「MobiCoin」を発行するプロジェクトを発表しました。ベンツを擁するダイムラー社だけでなく、BMW、ポルシェ、フォルクスワーゲン、ボッシュといった主要メーカーもブロックチェーン技術へ大きな関心を寄せています。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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