弱気相場でも仮想通貨市場の時価総額は1年で1.6兆円増 USD基軸のステーブルコインが大きな要因か
- 新規流通量と銘柄による時価総額の増加
- 仮想通貨リサーチ企業Diarは最新の報告で、仮想通貨市場全体の時価総額は、2018年から2019年にかけて仮想通貨のインフレや新トークンの発行により、約1兆6440億円増えたと公表。なお、米ドルを基軸にしたステーブルコインはその内8%以上の割合を占めている事が明らかとなった。
2019年、仮想通貨市場の総時価総額の増加
仮想通貨リサーチ企業Diarは21日に発表された最新報告で、仮想通貨市場全体の時価総額は、2018年から2019年にかけて仮想通貨のインフレや新トークンの発行により、150億ドル(約1兆6440億円)増えた事を発表した。
この増額において、ビットコインやイーサリアムによる流通数の増加だけでなく、11月19日の時点では、ビットコインキャッシュの分裂通貨ABCとSVによる通貨数の増加により、約50億ドル(約5480億円)が時価総額に加わった。
また、2018年における様々な米ドル基軸の安定通貨の新規発行とその流通量の増加により、2019年始には12億ドル(約1315億円)分の時価総額が増額し、既存の仮想通貨の流通量が増やされたことで、さらなる42億ドル(約4600億円)
本記事では、2018年始から2019年現在にかけて時価総額の上昇に関して、Diarの分析を詳しく見ていく。
2018年に時価総額の増加が最も顕著
同報告によると、2018年では、700銘柄以上の仮想通貨が新たに市場へ加えられ、2017年に存在したすべての銘柄を超えており、2019年始の統計では、前年比+50%の増加を記録している。
また、仮想通貨の流通数で計算すれば、前年比+35%のインフレ率が見られたという。
また、特筆すべきは、2018年の下落市場が始まってからも、様々あICOトークンの発行により、計50億ドル(約5477億円)の膨張が確認された点である。
また興味深いのは上図が示すように、2018年始に見られた相場の暴騰による時価総額の急上昇に比べ、2019年1月1日には時価総額はおよそー80%減少しているにも関わらず、新規発行の銘柄は、1.5倍以上増えてきている。
さらにこちらの図では、ビットコインの流通数が増加した点や発行数が1700万枚に到達した点から、時価総額(米ドル)は前年比で約1.9倍程の上昇を見せている。
ステーブルコインの実需増加
また2017年よりも顕著に流通量と時価総額が増加した仮想通貨の種類として、米ドル基軸のステーブルコインが挙げられるだろう。
今回の報告では、2018年だけで12億ドル(約1315億円)も新しく加わったステーブルコインがインフレ率リストの上位にも上がっていた。
2018年には、長い間独走していたテザー(USDT)以外にも、ニューヨーク州のビットライセンス認可を受けた仮想通貨取引所ジェミニが発行するジェミニドル(GUSD)やitBit発行のPaxos、取引所Coinbaseと仮想通貨企業Circleで共同開発されたUSDC等の銘柄がステーブルコイン市場へ参入した。
特に、テザー社のUSDTを巡る会計監査問題と格差をつけるべく、USDCを発行するCircle社は毎月、監査報告を公表し、銀行にある米ドルのデポジットを開示することにより、ステーブルコインの透明性とイメージの向上を高めようとしている。
ボラティリティの高い相場をヘッジするためにも、信頼性の高いステーブルコインに需要の増加が見られ、実際11月中旬に起きたビットコインキャッシュの分裂騒動による急落時、USDCを含む複数のステーブルコインの24時間取引高は200%以上の増加を記録したこともあるなど、Diarが12月に発表した統計がこの結論の裏付けとなっている。
2019年もステーブルコインの利用率に注目が必要だろう。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します