11年ぶりに控える「FATF」の対日審査、金融庁が頭を抱える「仮想通貨業界」のマネロン対策

FATF審査が今秋:「仮想通貨業界」のマネロン対策は
今回は、銀行や証券業界のほか仮想通貨業者も大きな焦点になり、各国で対応が急務とされる。日本の金融業界が、2008年同様の低評価を受けると、国際取引にも影響を及ぼすリスクもある。
FATFとは
金融活動作業部会のこと。マネー・ロンダリング対策における国際協調を推進するため設立された政府間機関。仮想通貨も監視対象に含まれる。

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FATF審査が今秋:「仮想通貨業界」のマネロン対策は

ダイヤモンドオンラインの報道によれば、金融業界が今、マネーロンダリング(資金洗浄)対策に躍起になっているという。

銀行が頭を悩ませているのが、先日CoinPostでも紹介した、今秋に控える金融活動作業部会(FATF)の第4次対日審査だ。

FATFの第4次対日相互審査における、日本へのオンサイト審査は、2019年10月-11月頃を予定している。

前回(第4次対日審査)は2008年に行われており、実に11年ぶりとなるが、前回(2008年)に公表されたFATF第3次対日審査において、銀行を含む金融機関全体のAML/CFTで、49項目中25項目で要改善(不備10項目、一部履行15項目)という厳しい評価を受けるなど、惨憺たる結果(27ヵ国中18位)に終わっている。

2011年には、FATFの評価を受け、「犯罪収益移転防止法(犯収法)」を改正したが、2014年6月に「FATFが日本の金融業界にまだ問題がある」と声明を出し、同年11月に再び「犯収法」を改正に至った経緯がある。

日本の金融業界が、2008年同様に再び低評価を受けると、国際取引にも影響を及ぼすリスクがあるとされる。

審査の重点候補

FATFによる主な審査対象は、以下の通りだ。

  • 銀行・証券・信用協同組合
  • 仮想通貨交換業者
  • 資金移動業者

  • 証券会社
  • 保険会社
  • 資産運用会社

重点候補とされるのは、資金の流出入が集中する「銀行などの金融機関」、少額決済を担う「資金移動業者」、新しい資産クラスである「仮想通貨交換業者」だ。

2017年には、愛媛銀行で数億円規模のマネロン疑惑のある海外送金を見過ごす大失態が報じられており、金融庁は「低レベルの金融機関が一つでも存在すると、金融システム全体に影響し、対策が脆弱であると批判を浴びる恐れがある」と警鐘を鳴らしたことからも、危機感が現れている。

マネロンではないが、2018年には、地銀の星とされたスルガ銀行で、審査書類の改ざん問題など横行していたことが発覚し、「業務停止命令」を発令するなど大きな社会問題に発展した。

審査の重要ポイント

今回初めて、仮想通貨交換業者が”FATFの審査対象”となることは、特に大きな重要ポイントだ。

金融庁は例年、各国の法整備や企業の取り組みを審査し、改善策を図るよう指示している。

2月22日、国内最大手の三菱UFJ銀行は、マネーロンダリング(資金洗浄)対策が不十分だと米通貨監督庁(OCC)から、同銀行のニューヨーク支店などでマネーロンダリング防止に関する内部管理体制不十分との指摘を受け、改善措置を講じることで同庁と合意したことを発表した。

制裁金こそないものの、「改善できなければ、一部業務停止もあり得るという重い内容」(関係者)だという。

このように、大手メガバンクでさえ、マネロン対策不足で指摘を受ける中、銀行と比較して金融ノウハウがまだまだ不十分な「仮想通貨交換業者」は、日本市場(金融庁)にとっても頭の痛い問題だ。

東証1部上場企業であるマネックスグループの資本の入ったコインチェックや、SBIホールディングスのSBIバーチャルカレンシーズのような最大手はともかく、資金力や経営・管理体制の規模の違いから、市場規模が急拡大する中で人材不足を露呈している実態もある。

ただし、今回の対日審査を無事通過すれば、「健全な市場」に向けて大きく前進することになり、国際的な日本市場の存在感を示すことになるだろう。

日本国民による海外取引所利用

また、今回のFATFの第4次対日相互審査に向けて、規制強化が及ぶ可能性のある範囲として、注目されているのが日本国民の海外取引所利用だ。

現段階では憶測の範疇にあるものの、海外取引所の実質的規制が行われていない状況は、マネーロンダリングの温床となり得るとの見方も出ており、今回の審査へ向けて、規制の矛先が向く可能性も無視できない。

過去にも金融庁は、無登録仮想通貨交換業者に対して、仮想通貨交換業者関係Ⅲ-1-4(2)②に基づく警告書を3度発出。

2018年3月には、仮想通貨取引所最大手バイナンスに対しても、「日本国居住者を相手方とする、交換業を行なった」として警告をを発出している。

日本円など法定通貨のトラッキング(追跡)のみでは把握しきれない仮想通貨取引の実態。海外取引所の利用にも厳格な規制体制が取られることのなるのか、ユーザーにとっても極めて重要な動きとなりそうだ。

金融庁が主導する仮想通貨業界の自主規制団体(JVCEA)が中心となって、どこまで整備を進められるかは最重要課題であり、業界としても注視すべき事態だと言えよう。

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今年6月に仮想通貨規制を勧告するFATFは、仮想通貨を「財産、収益、資金、その他の資産」とみなすべきと主張。約10年ぶりとなる日本への「対日相互審査」は、10-11月頃を予定している。
マネーロンダリングを監視する金融活動作業部会(FATF)が2019年6月に、仮想通貨規制のルールを発表し、世界各国にその法的執行を求める意向を明らかにした。 世界における規制基準が見込まれ、市場の健全化にも繋がるとされる。
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