「まもなくアルトコインシーズン到来」トム・リー氏が語る価格上昇に欠かせない条件とは

アルト銘柄、全面上昇に必要な動きとは
米著名投資家のトム・リー氏がアルトコイン相場の上昇、いわゆる「アルトシーズン」到来に必要な条件を解説した。過去事例を振り返りながら、次のアルト銘柄の上昇シナリオを展望。

トム・リー氏、アルトコイン相場の上昇に必要な条件を説明

米投資ファンドFundstrat社の創設者であるトム・リー氏が2019年に入ってから上昇しつつあるアルトコインの強気相場が始まる条件について解説。

リー氏は過去チャートなどを例に挙げながら、「アルト・シーズン」到来はビットコインとの相関性低下が発動条件になっていると述べた。

下記図の上にあるチャートはアルトコイン相場の上げ幅、下の図はアルトコインとビットコインの相関性をそれぞれ示している。

2015年以降、アルトコインが上昇するいわゆる「アルトシーズン」は4度確認されており、その内アルトコインとビットコインの相関性が下がるとアルトコインの上昇が見られることが伺える。

2016年2月のアルトコイン相場が上昇した際にはBTCとの相関性が60%以上から一気に半分以下の割合まで低下。2017年春(3月から6月)と2017年後半(11月から18年1月)にアルトシーズンが見られた際もビットコインとの相関性が急激に下がる傾向が見られていた。

2018年1月以降、弱気相場が継続して2018年末には特に苦しいキャピチュレーション(Capitulation)とも称される急落を記録していた仮想通貨市場だが、2019年に入ってから2月と3月に一時的なアルトコインの上昇が観測されている。

特に頻繁に市場の話題となっているのは仮想通貨バイナンスコインとライトコインなどだ。そこでリー氏は今月に入ってから再びアルトコインとビットコインの相関性低下の兆しが見られていると指摘、今後再び「アルトシーズン」が到来するかもしれないと述べた。

長期的な下落相場が続いた2018年には特にアルトとビットコインの相関性が高かった。これは仮想通貨市場におけるビットコインのドミナンス(市場占有率)が常時50%を超えていたことも伺えたが、今後ビット主導の相場からアルトコインが独自の活発な動きを見せれば1年以上ぶりとなる「アルトシーズン」到来が実現するかもしれないとリー氏は予想している。

「アルトシーズン」が期待視される理由

「アルトシーズン」は仮想通貨の「冬」や「春」と並び、頻繁に話題となっているが、なぜアルトコインの上昇は注目されているのだろうか。

一つの要因はアルトシーズン時の高い上昇率が挙げられる。

リー氏は過去データを以下のように説明した。

過去のアルトシーズンでは平均して1100%の上昇を記録している。次のアルトシーズンは過去より高い上昇幅が見られるだろうか。

現在アクティブウォレット数が5000万以下しかなく、ビザやマスターカードが50億以上抱えていることを踏まえると仮想通貨市場は普及曲線の早い段階にあると言える。そのためこれまでと同等の上昇率が期待できるだろう。

このように述べたリー氏は今後アルトシーズンが到来すれば、2017年から2018年初頭と同等の上昇率が見られるだろうと見解を示した。

ちなみに過去2回のアルトシーズンを除き、2017年と2018年の上昇のみで計算すると上昇の平均は2136%となっているため、リー氏は間接的にアルトコインが平均2000%以上高騰することを予想していると言えるだろう。

本稿執筆時点でビットコインのドミナンスは52%台だが、価格の相関性が低下すればアルト銘柄における価格上昇に再び勢いが見られるかもしれない。

ビットコインの寡占化防止にもつながる

またアルトシーズンの到来はアルト相場の上昇以外にもビットコインの寡占化防止にもつながると見る意見もある。

ビットコインは現在も最も人気な仮想通貨だ。そのため、昨年のような下落相場ではビットコインに資金が戻る傾向が見られたが、長期的な市場の成長のためには下落相場の度に投資家の資金がビットコインに戻っていては仮想通貨の普及(アドプション)は向上しない。

そのため、アルトコインがビットコインに依存しなくなれば、仮想通貨業界全体に前向きな発展だと見る声もあるのだ。

普段はビットコインの価格予想が目立つリー氏だが、今回は珍しくアルトコインに関する見解を示した。果たして今後アルトシーズンは到来するのか、今後もアルトコイン市場の動向とビットコインとの相関性に注目していくべきだろう。

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
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