ビットコイン価格の驚異的な上昇に8つの理由|米投資アナリストが解説
- 米投資アナリスト、ビットコインの上昇要因を説明
- 米投資運用企業Fundstrat社の投資アナリストであるトム・リー氏がビットコイン高騰の背景にある複数の要因を解説した。
米投資アナリスト、ビットコイン上昇の背景を語る
仮想通貨相場の上昇について米国の投資ファンドFundstrat社の投資アナリストであるトム・リー氏が言及し、相場が上がった複数の要因を米経済番組CNBCに対して語った。ビットコインのトレンド転換や現在開催されている大型カンファレンス「コンセンサス」などを挙げている。
ビットコインは昨日1日で約10万円以上の騰落率を示すなど仮想通貨市場の最近の盛り上がりが注目を集めているがトム・リー氏は「11月から徐々に上昇の兆しを見せていた」と発言。今月に入ってからBTCの動きがパラボリック的(放物線状の推移)な動きを見せている。
このような上昇の背景には以下の要因があるとリー氏は指摘した。
- 大型イベント「コンセンサス」の開催
- 米中間の貿易摩擦による金融市場に対する不安
- ビットコインがリスクオフ資産である点
- 200日移動平均線の突破
- 仮想通貨に興味の無かった投資家からの注目・資金流入
- 先週発覚した「アジアの取引所」におけるハッキングと付随するBTCの入出金停止
- 来年のビットコイン半減期
- 1万ドル(100万円)ライン突破への期待
大型カンファレンス「コンセンサス」
「コンセンサス」は大手仮想通貨メディアCoinDeskが主催する大型仮想通貨・ブロックチェーンカンファレンスで毎年5月頃に開催される業界最大級のイベントである。仮想通貨企業やブロックチェーンを活用している大手企業や投資ファンド、また規制当局の関係者などが多く参加するほか、重大な発表が多く行われる傾向があるため、相場への影響も少なくないことで有名だ。
過去5年間のコンセンサスが市場に与えた影響は以下の通りである。
データ提供:Fundstrat | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 |
---|---|---|---|---|
コンセンサス中のBTC価格 | +23% | +10% | +69% | -4% |
コンセンサス中のアルト価格 | +95% | +9% | +176% | +1% |
コンセンサス後のBTC価格 | +121% | +78% | +138% | -28% |
コンセンサス後のアルト価格 | +56% | +78% | +552% | -40% |
また昨年と違い、今年のコンセンサスは詐欺の可能性もあったICOプロジェクトが多かったが今年は例年に比べさらにクオリティーの高いカンファレンスになっていると言及。仮想通貨業界の成長と発展が見られていると述べた。
米中間の貿易摩擦|リスクオフ資産としてのビットコイン
さらに米国と中国の間での緊迫感の高まりも仮想通貨市場に間接的に影響を及ぼしているとリー氏は述べている。株式市場だけではなく世界的な金融市場にも緊張したムードをもたらした先週のトランプ大統領のツイートが大きな材料となっていたが、仮に「メルトダウン」が発生した際に、株式などと相関性を持たないビットコインがリスクオフ資産としてのポテンシャルを発揮すると見た投資家の資金移動が要因の一つとして考えられるとしている。
200日移動平均線の突破
またリー氏はビットコインのテクニカル要素も価格に影響を及ぼしていると言及。4月末にBTCチャートの50日移動平均線が200日移動平均線を突破してゴールデンクロスを形成したことがトレンド転換を示唆したことが投資家からの注目を集めた要因となったと見ている。
そしてこのようなテクニカル面の上向きと価格上昇が発生したことでこれまで仮想通貨やビットコインに対して無関心だった投資家の注目を再び呼び寄せたと予想。仮想通貨に今まで投資していなかった層からの資金流入でビットコインの需要がさらに増え高騰につながったとリー氏は述べた。
取引所の入出金停止
さらにリー氏は先週発覚した仮想通貨取引所のハッキングとそれに伴う入出金の停止がビットコインの供給に影響を及ぼしたことで価格高騰の買い圧力を多少高めたのではないかと予想している。
ほかにも来年中旬頃に予想されているビットコインの半減期、またビットコインが1万ドル(約110万円)ラインに復帰していることが投資家心理に影響を及ぼしているのではないかとリー氏は分析した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します