ビットコイン今年最大のナイアガラにDumpの影、国内大手コインチェックには明るい兆しも|仮想通貨市況
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●BTC調整局面が続いた場合の下値余地は
●週足のRSIが2018年以来、およそ1年半ぶりの高水準に
金融市場と仮想通貨
17日の東京株式市場は、米トランプ大統領の「協議が順調に進んでいる」との発言から懸念が後退し、前日比187円高の21,250円と反発。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への制裁措置が取り沙汰されたことで上海株が軟調だったこともあり、上値の重さも見受けられた。
仮想通貨(ブロックチェーン)関連株では、コインチェックの口座申し込み件数が急増したことが報じられたマネックスグループが業績期待から3.59%高と反発したほか、ビットコイン市場トレンド転換の思惑買いが膨らんだことで、GMOやリミックスといった仮想通貨取引所関連銘柄も上昇を見せた。
ビットコインテクニカル分析
高値圏で三尊天井のような形状を描いていたビットコインは、昼頃にネックラインを割り込んで下げ幅を拡大(①)。急落時のロスカット連鎖に伴うパニック売りで約12万円幅の暴落を引き起こした。
落ち方が急すぎたために心理的節目である7,000ドル(77万円)を容易く貫通して74万円まで下落した(②)。フラッシュクラッシュ直後には、大口の一斉利確による急激なリバウンドで巨大な下髭を作り、19:00現在は半値戻しのラインで揉み合っている。
株式市場の格言には、世界三大瀑布を示唆する相場の”ナイアガラ”時において、『落ちるナイフは掴むな』というものがある。急落時の逆張りは諸刃の剣というものだ。スキャルピングの達人でもない限り、ボラ急上昇時に安易に手を出すと大ケガをするリスクが高いので、特にFXトレードの際の維持率には気を付けたい。
日足で見ると、買われすぎ/売られすぎを数値化することで相場強弱を示唆するオシレーター系指標の代表格であるRSI(相対力指数)が、4月2日の暴騰以来となる90近く(88.8)まで到達していた。
2018年以来、およそ1年半ぶりの水準に達していることがわかる。2017年のバブル相場でもこれを超える数値を叩き出したのは、1BTC=200万円を超えた2017年12月と、バブル初動で第一弾アルト祭りにも発展した2017年5月の2回しか存在しない。
そのほか、25日移動平均(オレンジ線)との上方乖離率も急拡大していたほか、BFやfinexなどの需給面も再逆転しかけていたことを踏まえると、100万円超えや1万ドル超えて”大相場入り”を目指すには、遅かれ早かれ相応の調整は必要不可欠だったように思われる。
相対的に過熱感の低かった週足RSIも70に到達。2018年以来最大となっている。
アルト暴騰一巡後の目先材料出尽くしに加え、BTCの上位足が厳しい形のため、しばらく上下に乱高下するなど調整局面に入る可能性が高い。このまま続落した場合の下値余地としては、6,000ドル付近の65〜66万円が挙げられる。週足で見てもこのラインは底堅いものと考えられるが、あっさりここを底抜けてしまった場合は、センチメントにも多大な悪影響を及ぼすことになりそうだ。
とは言え、直近90日間の急激な上昇は大勢の投資家を置き去りにしていた。特に急騰後に参入した後発組は「次こそは逃すまい」との心理も働くため、アルトコインを含め”買い意欲”も旺盛だ。今後短期間でさらに大きく押すようなことがあれば、現物を仕込み切れていない大口にとっては千載一遇のチャンスとなる可能性も考えられる。
大口投資家による”Dump”の指摘
今回のビットコイン価格の急落を、大口投資家の大量売りが引き起こしたものだとする見方もある。取引所Bitstampでは、1900BTC(約15億円)の売り注文など、計5000BTCに及ぶ売却が確認されているが、そこが今回の価格下落の原因であるという主張だ。
例えば、上のツイートでは、Bitstampでの売りが、非常に高い流動性をもつBitmexでの価格に影響、その余波がマーケット全体に広がったと説明している。Bitmexは価格指標の50%をBitstampを参考にしていることから、そのような推察に至った格好だ。
そして、一方で今回の価格急落後の値動きをポジティブに捉える見方もある。
取引所Coinbaseにおいて、6,600ドルまで下落後、2本の5分足(およそ10分)で急速に7,000ドルまで復帰。上のツイートでは、大量の売りを飲み込む強い買いがあったことも指摘している。
なお、大量の売りがあったBitstamp以外の取引所では、ビットコイン価格は概ね7100ドル前後で反発。心理的節目である6,000ドル(66万円)を下回るまでには達しておらず、マーケットにおいてまだ強気な目線も多くみられる格好となっている。
足元では仮想通貨関連企業に恩恵も
足元では、好調な相場に伴い、関連セクターの景況感も大幅改善傾向にある。
ロイターの取材に対し、コインチェックの広報担当者が明らかにしたところによれば、仮想通貨の価格高騰を受け、国内最大手コインチェックの口座申し込み件数が急増していることが分かった。
BTCが5,000ドルを回復し、相場が好転し始めた4月の申し込み件数が3月の2倍となったほか、ビットコインが70万円を突破した10日以降には口座申し込みが殺到し、3月実績の7倍を記録したという。
2018年1月のハッキングによる巨額の仮想通貨流出事件に伴う各国の規制強化などの影響で、長らく市場全体を覆い込んでいた”クリプトウインター”時代。苦戦を強いられていたコインチェック(仮想通貨事業)の業績であるが、2019年を迎えると規制面が一通り整備され、業登録で金融庁のお墨付きを得ることに成功した。
17日は株式市場の地合い回復と業績好転への期待から、親会社のマネックス株が買われている。
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