仮想通貨イーサリアム年初来最高値更新|次期大型アップデート、二つの新提案を承認
- イーサリアム、二つの新提案を承認
- 次期大型アップグレード「イスタンブール」に向け、二つの提案が承認。プリコンパイルとEVMのバージョン管理に関した機能となっている。ETH2.0に向けたプロセスが着実に前進。
イーサリアム、二つの新提案を承認|300ドル突破
仮想通貨イーサリアムは、本日のビットコインが主導する相場意識と勢い、なお「イスタンブール」に関する提案の承認などを燃料に高騰しており、前日比+8.3%で300ドル大台(32200円)を突破した。現在305ドルのラインを推移。
なお、300ドル台は2018年9月1日以来の到達であるため、実に9ヵ月ぶりとなる。
そして、年内予定の次期大型アップグレード「イスタンブール」に向け、二つの提案が承認された。
昨日行われた週間会議で、開発者らが議論を行い、30通に及ぶEIP(イーサリアム改善提案)が議題に上がった。その中で承認された項目が以下の二つとなる。
- EIP 2024
- EIP 1702
EIP 2024は、新たなプリコンパイルをイーサリアムのバーチャルマシンに追加するというものだ。既存のプリコンパイルの場合、ガス代などでイーサリアムのブロックチェーン上において費用のかかる部分となる。
今回承認されたプリコンパイルでは、新たなハッシュ関数「Blake2」を採用しており、ブロックチェーンデータの承認速度や信頼性の向上につながるという。
様々なBlake2が存在するが、例えば、このハッシュ関数は匿名通貨であるZCashにも採用されている。EIP 2024で提案されたBlake2は「Blake2B」と呼ばれる。
一方で、EIP 1702では、よりスムーズなスマートコントラクト機能の向上を目的としたものとなっている。
具体的には「アカウント・バージョニング」と呼ばれるバージョン管理機能を追加することで、イーサリアム・バーチャルマシンの導入や管理を簡単化することが可能になるという。
「イスタンブール」はいわゆる「セレニティ」=イーサリアム2.0のPoS実装に向けた最終アップグレードに位置するという。
なお、EIPのリストとともに発表された今後のタイムラインは以下の通り。
PoSへの移行
イーサリアム財団は今月13日、「イーサリアム2.0(ETH2.0)の実装をめぐる電話会議」を開催し、イーサリアム2.0の初期段階にあたるフェーズ0の実装仮日程として2020年1月3日との提案を行なった。
コンセンサスアルゴリズム「PoS」への移行後の第一段階となる「ビーコンチェーン」の実装日程が仮提案され、これまで開発内容ベースの報道がメインであったイーサリアム2.0が、遂にローンチに向けて動き出す。(フェーズ0、開発自体の完了めどは今年6月中を予定)
「ビーコンチェーン」を実装するフェーズ0では、投資家からも最も注目されているイーサリアムのコンセンサス・アルゴリズムの変更「PoWからPoSへの移行」にも関わる開発工程に関わるもので、イーサリアム2.0における重要フェーズとなる。
「2020年1月3日」はあくまで提案ベースであるが、実際この日程に向けて、財団とコミュニティが開発・テストのペースを引き上げていく可能性は高い。
また、ビーコンチェーンを利用したステーキングが開始される可能性は市場における重要指標にもなる可能性がある。将来的なイーサリアムへの投資判断で重要になるステーキングによる影響(報酬や流通量制限など)の判断で注目が集まるだろう。
実際5月より、ビーコンチェーンの公開テストネットはコミュニティーを対象に開始された。
イーサリアム2.0、3.0のロードマップ
イーサリアム2.0
フェーズ0:シャード未実装のビーコン・チェーン
- Casper FFGを用いた、決済ファイナライズのための「PoS」ビーコンチェーン
- バリデータがブロックを提案する際に、RANDAOを利用し、RNGを作成する
- RNGのアウトプットからProposerとattestation committeeを組織化する
- バリデータがクロスリンクを生成
- フェーズゼロの詳細
フェーズ1:EVM未実装の基本的なシャーディング
- 取引をせずに、シャードにバイナリ・ラージ・オブジェクト(Blobs)が集められる
- 提案者はバイナリ・ラージ・オブジェクト(Blobs)を提出する
- 公証
- より詳しい内容はphase 1 specとimplementationsを参照
フェーズ2:EVMのステート移行機能
- フルノードのみ
- 非同期のクロスコントラクトコールのみ
- アカウントアブストラクション
- eWASM
- TBC
- ストレージ使用料
フェーズ3:ライトクライエントステートのプロトコル
- Executor
- 最小ステートのクライエント
フェーズ4:クロスシャード・トランザクション
フェーズ5:チェーンのセキュリティ強化
- データ可用性証明
- 内部フォークフリー・シャーディング
- マネジャーシャード
フェーズ6:指数関数的シャーディング
- 再帰的シャード
- 負荷分散
イーサリアム3.0
- Casper CBCの導入
- zk-STARKs
- ヘトロジーニアス・シャーディング(他のシャードの照合頻度に影響を与えずに、あるシャードにおいて、gasあたりに捌くトランザクション量が増加する)
- Sharding実装を超える、ポテンシャルを秘めたアイデアはあるのか?
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します