今後の仮想通貨・ビットコイン市場に影響する5つの要因|投資ファンドが事業説明会で解説
- 投資家層の世代交代による投資対象の変化
- 仮想通貨投資ファンド大手グレイスケール社の最高経営責任者が、仮想通貨投資を取り巻く環境と今後の市場に影響を与える5つの要因を解説。金を捨ててビットコインを買えと題したCMの背景も語った。
投資家層の世代交代による投資対象の変化
仮想通貨投資ファンド大手グレイスケール社の最高経営責任者、Barry Silbert氏は、投資家を対象とした同社の中期報告説明会で、仮想通貨投資を取り巻く環境と投資に影響を与える主な要因について解説し、ビットコインの将来性に自信を持っていることを強調した。
グレイスケール社は、ビットコイン投資促進の一環として「Drop Gold =金を捨てよう」キャンペーンを行っていることでも知られている。歴史的に「有事の金」として信頼されてきた金投資だが、ビットコインの登場により、デジタル世代の投資の選択肢としては優位性に陰りが出るだろうとSilbert氏は指摘する。
1976年生まれのSilbert氏の世代(X世代)やそれより若いミレニアル世代は、その上の世代(ベビーブーム世代)が金を有力な投資対象として認識しているのと対照的に、ビットコインに代表される仮想通貨投資に積極的だという。
Silbert氏は金が伝統的体制派だとすると、ビットコインは、革新派、改革派であり、将来のシステムや起業家精神への投資だと表現し、若い世代が投資対象として魅力を感じる理由だと述べた。
そして今後25年の間に、アメリカだけでも68兆ドル(約7340兆円)という大きな富が、ベビーブーム世代やその上の世代から次世代へと受け継がれていくことにより、それまで金に投資されていた資金の一部が、仮想通貨に流れ込むだろうと予想している。
さらに、現在、逆イールドが起きている国際債券の時価総額が13兆ドル(約1400兆円)という記録的な額に達している状況は、仮想通貨投資に資金流入を促す可能性もあるという。
つまりビットコインが今後、現在と同じ価格に留まることに確信を持てたなら、債券投資よりも安全だというわけだとSilbert氏は説明した。
また、仮想通貨に対する機関投資家からの関心の高まりも、仮想通貨の普及を促すと述べ、米インターコンチネンタル取引所が手がける仮想通貨取引所BakktやFidelityの事業参入、JPモルガンやゴールドマン・サックスのステーブルコインプロジェクトをその具体例として挙げた。
仮想通貨投資の今後に影響を与える五つの要因
セミナーでは、仮想通貨投資の将来に影響を与える要因として、次の五つを挙げている。
そして、それぞれの要因が、ビットコインおよび仮想通貨相場にプラスの影響を及ぼす可能性が大きいことを強調した。
1.リブラ プロジェクト
- 世界の意識を覚醒させ、教育するきっかけとなる
- 世界中どこでも暗号資産を保有できるインフラ作りを促進する(=リブラ トークン以外の仮想通貨も所有できるウォレットの開発)
- ネットスケープブラウザがインターネットの普及に革新を起こしたことと同様の効果が見込める
2. 世界的規制環境の整備
- 仮想通貨の定義がより明確化される
- SECがETF承認に向けて本格的な検討を行っている
3. 米IRS(内国歳入庁=国税庁にあたる)による仮想通貨課税の明確化
4. 不透明な国際情勢
- 貿易戦争、軍事対立など
- ビットコインに有利になるかは不明だが、その可能性も十分考えられる
5. ビットコインの半減期
- これまでの半減期では、ビットコイン価格の暴騰が起こっている
- 来年5月に起きるビットコインの半減期の影響は、現在の価格に織り込み済みではないように見受けられる
- 今年の秋から年末にかけて、価格に反映される可能性があるが、遅くとも来年5月までには価格に織り込まれるだろう
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します