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「オンチェーン金融インフラ」を目指す ハッシュキー・オンチェーン事業群の邱維芸COOに聞く、事業戦略と日本市場への展望

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ハッシュキーグループ(Hashkey Group)は、7月13日・14日に東京で開催されたWeb3カンファレンス「WebX2026」に参加し、オンチェーン金融インフラとして位置づける方針を強調した。

伝統的な金融・実業とブロックチェーンの融合が進み、機関投資家の参入や規制対応が業界全体の課題となる中、同社は発行・流通・決済を横断する事業基盤の構築へと軸足を移しつつある。

ハッシュキー・グループ商業開発責任者兼オンチェーン事業群最高執行責任者(COO)の邱維芸(Rachel Qiu)氏がCoinPostの取材に応じ、その構想と日本市場戦略について語った。

邱維芸(Rachel Qiu)
ハッシュキーグループ オンチェーン事業群COO/グループBD統括
金融・コンサルティング・フィンテック領域で20年以上の経験を持つ。キャリア初期はマッキンゼー、ベインで戦略コンサルティングに従事した後、Mastercardや平安グループで要職を歴任。平安グループでは個人向けフィンテック事業を担当し、数十人規模だったチームを約1000人規模へ拡大するとともに、赤字事業を黒字化に導いた実績を持つ。近年はWeb3・ブロックチェーンエコシステムの構築にも深く関与し、機関投資家・金融機関とのパートナーシップ構築やクロスボーダー事業展開を推進してきた。

オンチェーン金融インフラという構想

今回のWebXでは、単に一つのチェーンを作るだけでなく、オンチェーン金融インフラを構築すると強調される予定と伺いました。その構想について教えてください。

例えば、飛行場を建てるだけでは意味がありません。私たちがやるべきは、この飛行場を中心とした空港業務全体の経営・運営です。

Web3の発展を見ると、最初期のWeb3ネイティブから、現在は伝統的な実業・金融との統合、つまりオンチェーン上でのデジタルツイン化へと向かっています。

もう一つの重要なトレンドは、機関投資家によるブロックチェーン採用です。純粋な個人向けの受容から、企業や金融機関がブロックチェーンを既存のビジネスモデルに組み込む段階へと移行しています。

3つ目のトレンドは、業界全体が規制対応を避けられなくなっていて、規制の面も徐々に、ますます明確になってきていることです。

伝統的金融の規模は暗号資産(仮想通貨)の100倍に上ります。この成長の観点から見ても、より多くの機関投資家をチェーン上に呼び込むことは避けられない方向であり、一連のオンチェーン金融インフラへの需要も不可避です。

もちろん、まず飛行場を建てる必要があります。しかし建てた後は、旅客便や貨物便の運航、地上業務の運営、さらには飲食・ホテルまで、その全体が付いてこなければなりません。

これが、私たちが定義する未来のオンチェーン金融インフラの発展方向です。純粋な技術型の基盤整備から、一連のオンチェーン金融業務の支援・拡張へと発展していく、という意味です。

3つの事業の柱:発行・流通・決済

具体的に、オンチェーン事業群の次の重点はどの領域になりますか。

現在、私たちには3つの大きな事業があります。

一つ目は、オンチェーンの一次発行市場を担う事業(HashKey Issuance Platform、HIP)です。現実資産(RWA)の上場に加え、この事業で扱う商品カテゴリーも急速に拡大しています。

特にアジア、中でも中華圏を重要な基盤とする私たちにとって、サプライチェーンファイナンスはこの地域における非常に大きな事業です。

オンチェーンの貿易決済プラットフォームを通じて、ブロックチェーン技術により貨物決済・資金決済を加速し、資金効率を高めています。

一次発行だけでは十分ではなく、自然と二次流通、つまりトレード事業(HashKey Trading Platform、HTP)へとつながっていきます。

香港でここ数ヶ月、一連の関連政策が打ち出されたことを受け、当社はETF製品や固定利回り型製品のサポートに加え、貴金属を基礎とした関連製品の拡大にも取り組んでおり、株式製品についても継続的に検討を進めています。

これにより、全資産クラスの製品を対象とした相対取引(OTC)事業を拡大していきます。

3つ目が、決済・清算インフラを担う事業(HashKey Settlement Platform、HSP)です。以前私たちは、共同で認可される決済プロトコルを発表しており、一連の他の製品や運用能力を組み合わせることで、これをB2B企業のクロスボーダー決済を支えるプラットフォームへとアップグレードしました。

これらの事業の今後のロードマップについて、具体的な時間軸はありますか。

先ほどお話しした内容は、業界全体の発展から見れば、まだ起点・早期段階にあります。

金融インフラを手掛ける立場として、これらを一つに連結させる取り組みにおいて、私たちは比較的早い段階でポジションを確立していると考えています。

多くの企業は断片的・単発的な取り組みにとどまりがちですが、規模を形成できなければ効果は限定的です。

技術・製品面ではすでに準備が整っており、さまざまなエコシステムパートナーと連携しながら事業を推進しています。

現在は香港・シンガポールを中心に展開していますが、顧客基盤の拡大に伴い、日本市場、中東、さらにはアフリカ・ラテンアメリカへの展開も視野に入れています。

今年は基盤構築が重要で、来年一定の基盤ができれば、その後は非常に速く進むと確信しています。

「7ステップ・オンチェーン化」

HIP(HashKey Issuance Platform)について、今回のWebX 2026で正式発表される予定でしょうか。

はい、私たちのブースにもHIPを紹介する専用ページを設けています。この事業には大きく2つのタイプがあります。

一つは、業界大手企業を基盤とした業界標準ソリューションです。海運、航空、物流といった特定業界向けに、それぞれの業界に共通する課題をHIPで解決するというアプローチで、影響力のある企業と一緒に業界全体のソリューションを構築していきます。

もう一つは、業界を問わず存在する中小企業向けの「7ステップ・オンチェーン化」プラットフォームです。

多くの企業は、オンチェーン化すべきだと分かっていても、実行が難しいのが現状です。どうすればいいか分からないこと、そしてプロセス全体が複雑で、どこに頼ればいいか分からないことが障壁になっています。

この7ステップの流れを、具体的に教えていただけますか。

HashKey Issuance Platform(HIP)の「7ステップ・オンチェーン化」は、資産定義、コンプライアンス評価、発行構造設計、オンチェーン発行、ライフサイクル管理といった複数のステップをカバーし、現実資産がオンチェーン市場に参入する際の複雑さを低減する。

その中でプラットフォームへの登録、基本情報の提供が第1歩です。第2歩は、これらの情報に基づき、AIが専門家によるコンサルティングを支援し、企業向けに一つの方案を策定することです。

この方案は、いわば企業のオンチェーン化に関するビジネスプランのようなものです。

これは従来、多くの中小企業が自力では対応できず、時間もかかっていた部分ですが、私たちのプラットフォームを使えば非常に簡単になります。

さらにAI機能も導入しており、このプロセスをより速く、より精緻にしています。

第3歩・第4歩からは、弁護士など外部の専門家との連携に入ります。弁護士には弁護士固有の業務がありますが、私たちのエコシステム上には、オンチェーン化に特化した提携弁護士のネットワークがあり、企業側は自分で弁護士を探す必要がありません。

すべての手続きが完了した後、最終的な自動デプロイ(第7歩)へと進みます。

しかし第7歩に到達すれば、そこから先はすべて私たちの領域です。前の6ステップで共に取り組んできたプロセスがあるからこそ、第7歩は非常に速く進みます。

第7歩の段階では、私たちはお客様をより深く理解しているため、より適切な流動性の確保や、その後の流動性強化戦略についてもサポートできます。私たちはお客様にとって、非常に信頼できる発行プラットフォームになれると考えています。

これまで150社超の企業と話してきましたが、オンチェーン化を目指す企業が直面する問題の6割から7割は共通しています。

この過程を経た結果、一部の企業は「自分たちは今はまだオンチェーン化に適していない」と気づくこともあります。

それでも、ブロックチェーンのデータを通じて自社の不足点を把握し、次の1〜2年で何に取り組むべきかを理解できることには意味があると考えています。

この基盤全体は、業界大手であっても中小企業であっても、迅速にオンチェーン化を実現できるプラットフォームだと理解してよいでしょうか。

その通りです。私たちが「オンチェーンネイティブからオンチェーンデジタルツインへ」という表現を使うのはまさにこの理由です。

より多くの伝統的な資金・資産がチェーン上へ移行していく一方で、現状ではオンチェーン化のハードルはまだ高いのが実情です。

一度オンチェーン化を果たせば、その優位性、たとえばボーダーレスな取引などが発揮されますが、最大の困難は「まずオンチェーン化すること」自体にあります。

私たちが取り組んでいるのは、資産と資金の両側がよりスムーズにオンチェーン化し、その流動をさらに加速させることです。

それこそが、将来のオンチェーン金融の発展にとって、より健全で持続可能、スケーラブルな道だと信じています。

プライバシー保護技術

同じ記事の中で、前回の波(Web3第一段階)で十分に解決されなかった課題として、プライバシー保護や本人確認を挙げられていました。今後の解決策を詳しく教えてください。

正確に言うと、前サイクルでプライバシー保護がうまく実現できなかったというわけではありません。

前サイクルの発展はWeb3ネイティブなものであり、分散型ブロックチェーンはもともとプライバシー保護を重視する性質を持っています。

しかし今は次の発展段階に入り、より多くの伝統的な金融・企業・資金が参入する中で、安全性・安定性・プライバシー保護、そしてコンプライアンス要件への適応をバランスさせる必要があります。

つまり、Web3ネイティブな時代の一部のニーズは、今回の新しい発展段階に合わせて調整・適応が必要だということです。

プライバシー保護とコンプライアンス、そしてKYC/AMLを含む一連の課題を解決しながら、決済や清算、取引促進における優位性も損なわないバランスをどう取るか。

これが、今回の段階で私たちが解決すべき課題です。

技術的には、これらの要素はもともと別々の場所に散在していました。技術自体はすでに存在しており、重要なのは、第一にその方向に進むかどうか、第二にこれらの技術をどう統合して、サービス対象のニーズを満たすかです。

これは、空港そのものにも変化が必要だという話にもつながります。入ってくる飛行機にも、航空会社にも要件があり、安全性の確保も含めてすべて対応していく必要があります。

私たちは従来、あらゆるパブリックチェーンへの接続をサポートしてきましたが、現在は許可制チェーンへの対応も進めており、これは金融顧客をはじめとする顧客固有のニーズに応えるためのものです。

AIとオンチェーン金融の融合

AIが金融活動に本格的に参加するのは、まだ早期段階にあると思います。今後、ブロックチェーンやオンチェーン金融とどのように融合していくとお考えですか。

現段階では、AIは多くの破壊的技術の初期段階と同様に、方向性は明確だが、具体的な道筋はまだ模索中です。

しかしブロックチェーンと異なる点は、AIはすでに複数のシーンで実際の価値を証明していることです。私たちが今探っているのは、むしろ「この価値をどう自社の具体的な事業シーンに最大限応用するか」であって、「この技術に果たして意味があるのかどうか」ではありません。

この中で、第一のステップは実際にはデータ連携であり、第二のステップはAIによる意思決定、そして次のステップは実行の完了を支援すること、例えばAI決済などです。

これは大きな方向性ですが、各プロセスには固有の課題があり、AI決済のフロー全体は従来の決済フローとは根本的に異なります。

既存の決済フローの課題をそのまま転用してAI決済を最適化することはできません。私たちは、AI決済のエコシステムとフロー全体を作り直しているところです。

日本市場戦略とアジアの優位性

日本の企業や金融機関のオンチェーン金融参入を、今後どのように支援していく計画ですか。

これは非常によい質問です。私たちも日本市場に強く注目しており、今回のWebXを通じて、より多くの日本のパートナー企業と対話し、ニーズを伺いたいと考えています。現時点で重要だと見ている視点は2つあります。

一つ目は、日本の金融機関のITインフラ更新に関するものです。日本の金融業界も規制の開放・発展を経験しつつあり、金融機関のITインフラ・デジタルインフラに対する要求水準の引き上げが、大きな需要を生み出すと見ています。

日本はWeb2の段階において、国内のインターネットエコシステム自体は実は相当発達していた(i-mode、Mixi、楽天など)が、世界的な影響力を持つWeb2プラットフォーム企業を生み出すことはできなかった。

これは、Web1時代における日本の電子機器/ハードウェア産業のグローバルな地位、そしてその後のWeb3/ブロックチェーン領域における比較的活発な参加とを比べると、興味深い対比をなしている。

日本は非常に成熟した金融システム、豊富な実物資産、そして強力な産業基盤を有しており、ブロックチェーン技術はさらに資産の流動効率を高め、金融サービスの境界を拡張することができる。

ハッシュキーは、日本市場のパートナー企業と共に、この新たな発展段階を共に探求していきたいと考えている。

二つ目は、日本のGDP構成における製造業・物流業の大きな比重です。この2つの業界については、ブロックチェーンで課題を解決する成熟したソリューションがすでにあります。

日本の製造業・物流業にこのソリューションを提供し、クロスボーダー取引の課題解決を支援したいと考えています。

RWAなどの分野に深く関わる海外企業が、すでに日本で実証実験を進めています。日本市場での差別化要因として、特にどのような強みがあるとお考えですか。

これは、先ほどの空港運営の比喩に戻ります。私たちはすでに一部の企業と連携していますが、そこには大きな優位性の補完関係があります。

私たちはアジア側で良い基盤を提供でき、相手側は北米で良い基盤を提供してくれる、という構図です。

その上で重要になるのが、空港運営そのものです。チェーン、テクノロジー、応用プラットフォームを持っていても、細部・ミクロなレベルでは、具体的な提携先の顧客のニーズに合わせて調整する必要があります。

この点で、アジアの顧客ニーズと欧米の顧客ニーズには大きな違いがあります。

北米は資金サイドの発展が速いですが、アジアは資産サイドの発展が速い。この組み合わせは良いのですが、この違いこそが、空港運営に求められるものがまったく異なることを意味しています。

だからこそ、市場における顧客ニーズをより深く理解することが不可欠であり、それが真の意味でより良いサービス提供、そして導入の促進につながると考えています。

日本の規制の独自性を踏まえ、規制当局との対話計画はありますか。

規制当局との交流・対話は、どの市場においても非常に重要な仕事です。市場ごとに規制の発展段階や重点は異なりますが、それは理解しています。

実際、日本市場においては、私たちのハッシュキー取引所事業をはじめとする各事業を通じて、規制当局との対話・連携をすでに進めています。

私たちは、ブロックチェーン技術とその応用が、実体経済・実生活・実際の発展にどのような利益をもたらせるかについて、継続的に対話を行っていきたいと考えています。

Web3の発展は新たな段階に入りました。規制が存在しない中で成立していた第一段階から、規制をうまく活用しながらイノベーションを損なわないという課題に、業界全体で向き合う段階に入っています。

私たちもこのプロセスに、自分たちの考えと力を貢献していきたいと考えています。

日本市場へのメッセージ

最後に、日本の投資家や業界関係者にメッセージをお願いします。

互いにもっとコミュニケーションを取り、オープンな姿勢でWeb3・ブロックチェーンの次の発展を受け入れてほしいと思います。

これは日本市場にとって、そしてグローバルなオンチェーン発展のエコシステム全体にとっても大きなチャンスです。

日本のエコシステムパートナー、規制当局、そして日本市場全体との協力を期待しています。

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