2026年に入ってビットコインが1,000万円台前半まで調整するなど大きく動くなか、「メタプラネット」をはじめとする仮想通貨関連株が注目を集めています。新NISAでの関心も高く、株なら使い慣れた証券口座で売買できるのが特徴です。
ただ、ひとくちに「仮想通貨関連株」と言っても、仮想通貨との関わり方は企業ごとに大きく異なります。
本記事では仮想通貨関連株を4つのタイプに分け、価格との連動から代表的な銘柄、事前に知っておきたい点までを解説します。
仮想通貨関連株とは?4つのタイプと価格との連動について
ここでは、仮想通貨関連株の基本から、4タイプの分け方、価格との連動、取り上げる銘柄の基準までを紹介します。
そもそも仮想通貨関連株とは
仮想通貨関連株とは、ビットコインなどの仮想通貨と関わりを持つ上場企業の株式です。次のような特徴があります。
仮想通貨関連株の特徴
- 仮想通貨の値動きの影響を受ける:仮想通貨を直接買わなくても、株を通じて間接的に値動きの影響を受けられる
- 関わり方は企業ごとに異なる:仮想通貨の保有から事業での活用まで幅があり、株価への影響度も一律ではない
関連度で分かれる4つのタイプ
仮想通貨関連株は「仮想通貨に関係する会社」と示されることも多いです。ただし、関わりごとのタイプに分けると、違いを理解しやすくなります。
関わりの深さで分ける4タイプ
仮想通貨価格とどれくらい連動するのか
気になるのは「仮想通貨が動いたとき、株価はどれくらい連動するのか」でしょう。連動度合いは、先ほどの4タイプによって変わります。
タイプ別に見た価格連動の強さ
連動が最も強い財務保有型では、仮想通貨と株価が一緒に動く傾向が、過去の値動きにも表れています。実際にメタプラネットは、ビットコイン高騰を背景に2025年6月に時価総額が一時的に1兆円を超えました。
その後は調整が続き、2026年6月8日時点の株価は235円台と、ピークから9割近く下げています。仮想通貨の動きを増幅する形で、大きく振れた一例です。
ただし、この連動はあくまで傾向です。たとえば、株価が保有資産の価値を上回る「プレミアム」が剥がれたり、本業の業績が悪化したりすると、仮想通貨が上がっても株価が下がる場面もあります。
思惑銘柄の見分け方
仮想通貨関連株のなかには、一時的な人気で急騰する「思惑銘柄」もあります。2018年の仮想通貨バブルでは、社名や事業計画に「ブロックチェーン」と付けただけで株価が乱高下し、急落した例も多くありました。
こういった銘柄かどうかを見分けるときは、以下の3点に着目しましょう。
思惑銘柄を見分ける3つの目安
- 収益・保有の実績があるか:仮想通貨の事業から収益が出ているか、保有の実績があるかを確認する
- 開示で確認できるか:IRや適時開示で関わりが説明されているかをチェックする
- 計画が動いているか:「検討中」・「発表しただけ」で止まっていないかを確かめる
本記事では、仮想通貨との関わりが確認できる銘柄に絞って解説します。
仮想通貨関連株で投資するメリット・始める前に気を付けたいポイント
ここでは、仮想通貨を直接買う場合と比べた株の強みと、買う前に気を付けたい点を解説します。
仮想通貨を直接買うより、株で持つ3つのメリット
「仮想通貨を買いたいなら直接買えばいいのでは」と感じる方もいるかもしれません。しかし、株式という形だからこそ得られる利点があります。
- 1. 税制で有利になりやすい:仮想通貨の利益には最大55%の税率がかかりますが、上場株式の譲渡益や配当は一律20.315%です(2026年6月10日時点)。たとえば、100万円の利益なら、税額は最大約55万円と約20万円で、手取りに大きな差が出ます。
- 2. 株主優待や配当を受け取れる:GMOインターネットグループのようにビットコインで優待を受け取れる銘柄や、配当を出す銘柄もあります。詳しくは、「仮想通貨がもらえる株主優待」をご覧ください。
- 3. 証券口座でまとめて管理できる:使い慣れた証券口座で売買から保有まで完結し、ウォレットの自己管理や秘密鍵の保管が不要です。
なお、仮想通貨と株式の税率の差は固定ではありません。暗号資産の申告分離課税への移行が令和8年度の税制改正で決まり、一定の条件を満たせば株式と同じ20.315%が適用される見込みです。
ただし、適用の開始時期はまだ確定しておらず、対象も特定の暗号資産に限られるとされています。「すべての仮想通貨が一律20%になる」わけではないため、現時点では仮想通貨関連株の税制面の利点もあると見られています。
適用の開始は、関連する金融商品取引法の改正に合わせて2028年1月以降になる見通しです。今後の動向によっては、株式との税制の差が縮まる可能性もあります。
直接購入・関連株・海外ETFの3択で比べる
仮想通貨への投資には、主に次の3つの方法があります。
仮想通貨への投資方法の比較
仮想通貨そのものを保有したい場合は直接購入、手軽さや税制を重視するなら仮想通貨関連株、というように目的で選び分けるとよいでしょう。
米国のビットコイン現物ETFは、2026年6月10日時点でも日本の証券会社では取り扱いがなく、買うには海外の口座が必要です。国内での解禁が検討される一方、仮想通貨関連株であれば、現状国内の証券口座でそのまま売買できます。
始める前に気を付けたいポイント
仮想通貨関連株にはメリットがある一方で、注意したい点もあります。
仮想通貨関連株のなかでも財務保有型は、仮想通貨そのもの以上に値動きが大きくなる傾向があります。
※値動き・希薄化・本業の影響といった具体的な注意点は、記事の後半で詳しく取り上げます。
カテゴリ別での代表的な国内仮想通貨関連株
ここでは、4つのタイプごとに代表的な国内銘柄を紹介します。
※各銘柄の時価総額は2026年6月10日終値ベースのおおよその金額です。株価により日々変動するため、目安として参考にしてください。
① 財務保有型(トレジャリー)
仮想通貨を会社の資産として保有するタイプです。保有資産の価値が株価に直接影響するため、仮想通貨が上がれば株価も上がりやすくなります。仮想通貨相場に最も感応する反面、下落局面では株価が仮想通貨以上に落ちることもある、値動きの大きいタイプです。
財務保有型の代表銘柄
メタプラネットは、2024年4月にビットコインを軸とした財務戦略へ転換した元ホテル運営会社で、国内のトレジャリー企業の代表格といえます。2026年6月には社債プラットフォームのSiiibo証券を約21億円で完全子会社化すると発表し、ビットコイン関連の金融サービスへ事業を広げています(クロージングは7月13日予定)。2026年6月8日時点の株価は235円台と、2025年6月のピーク(時価総額1兆円超)から9割近く下落しており、ビットコインの値動きが株価に大きく増幅された事例です。
リミックスポイントは、電力・ガスを主力とするエネルギー事業の傍ら、2024年9月から自社でビットコインなどを保有しています。本業の安定収益と仮想通貨保有の二本柱で運営する点がメタプラネットとは異なりますが、保有量の増加に伴い株価の感応度も高まっています。
財務保有型を見るときは、「mNAV」も参考になります。時価総額が保有する仮想通貨の価値の何倍かを示す指標で、1倍より高いと割高、低いと割安である目安です。1倍を割り込むと新株発行での買い増しが難しくなり、ビットコインが下がっていなくても株価が下落しやすくなるため、注意が必要です。詳しくは、「DAT企業とは」をご覧ください。
② 取引所運営型
仮想通貨取引所をグループに持ち、取引が活発なほど業績につながるタイプです。仮想通貨相場との連動はありつつも、本業の収益基盤があるため値動きは財務保有型より穏やかな傾向があります。相場だけでなく本業の安定も重視したい人に向いています。
取引所運営型の代表銘柄
マネックスグループは2018年にコインチェックを買収し、仮想通貨を主要な事業のひとつに位置づけています。2026年5月にはKDDIがコインチェックグループへ資本参加(株式14.9%取得)を発表し、6月の実行が予定されています。コインチェックは国内最大規模の口座数を誇る取引所で、相場活況時にはマネックスグループ全体の業績を押し上げる存在です。
SBIホールディングスは、証券・銀行・保険を主力とする総合金融グループです。仮想通貨では子会社のSBI VCトレードが取引所を運営し、積立やステーブルコインまで手がけています。リップル社との連携も進めており、金融事業として仮想通貨に幅広く携わっています。グループ全体の規模が大きい分、仮想通貨の影響は相対的に小さいですが、配当を出す安定性を重視する投資家に選ばれやすい銘柄です。
③ マイニング・ブロックチェーン基盤型
マイニング(採掘)や交換・決済など、仮想通貨のインフラを手がけるタイプです。ビットコインの採掘採算や手数料収入が業績に影響するため、相場の動きとある程度連動しますが、財務保有型ほど直接的ではありません。仮想通貨を支える裏側の事業に関心がある人に向いています。
マイニング・基盤型の代表銘柄
GMOインターネットグループは、インターネット事業のひとつとして仮想通貨事業を展開しています。マイニング・GMOコインの運営・ステーブルコイン発行まで関わり、株主優待でビットコインを受け取れる点も特徴です。時価総額は約3,800億円と国内仮想通貨関連株のなかでも大型で、インターネット事業全体の収益がベースにあるため、仮想通貨相場が低迷しても業績が大きく崩れにくい構造になっています。
④ Web3・関連サービス型
本業を持ちつつ、Web3や仮想通貨サービスに間接的に関わるタイプです。仮想通貨への連動は最も小さく、株価は本業の業績に左右される面が強いのが特徴です。普段使うサービスを通じて仮想通貨に触れたい人や、リスクを抑えながら間接的に業界の成長を享受したい人に向いています。
Web3・間接型の代表銘柄
メルカリは、フリマアプリの利用者基盤を生かし、子会社メルコインがアプリ内でビットコイン取引を提供しています。仮想通貨事業は本業に付随する位置づけのため、株価への連動は小さく、国内最大規模のフリマサービスとしての事業動向が株価を左右する傾向があります。
セレスは、ポイントサイト「モッピー」を主力とするフィンテック企業です。大手取引所ビットバンクへの持分法適用出資(約22%)により仮想通貨相場との連動が生まれつつ、株主優待で仮想通貨を受け取ることも可能です。時価総額は約300億円とこのタイプでは小ぶりで、相場の影響を受けやすい面もあります。
仮想通貨関連株は証券口座で購入が可能
上記で紹介した銘柄は、1株から買える単元未満株を利用することで、国内の証券口座から少額でも購入できます。
投資をする前に押さえておきたい注意点
仮想通貨関連株ならではの注意点もあります。ここでは、買う前に知っておきたい3つの点を紹介します。
仮想通貨が下がると、株価も下がる
財務保有型は値動きが大きくなりやすく、相場が下がる局面では株価が仮想通貨以上に下がることもあります。メタプラネットの株価が大きく振れたのも、仮想通貨の値動きが株価で増幅された一例といえます。
上昇時の値上がりが大きい分、下落時の値下がりも大きくなる点には注意しておきましょう。
新株を発行すると、1株あたりの価値が薄まる
財務保有型は、新株発行などで集めた資金でビットコインを買い増すことがあり、1株あたりの価値が薄まる「希薄化」が起こることがあります。確認する際は、次の点を参考にしましょう。
- 具体例:たとえばメタプラネットは、新株予約権や社債を活用した資金調達を重ね、その大半をビットコインの取得に充当してきた。株数が増えるペースに対してビットコイン保有量が追いついているかを確認することが重要
- 見ておきたい目安:「1株あたりのビットコイン保有量」が株を増やすペース以上に増えているかを確認する。増えていれば1株の実質価値は高まっているといえる
- 確認できる場所:保有量や資金調達の状況は、各社のIR資料や決算短信で開示される
本業や経営判断によって、株価が動く
仮想通貨関連株は企業の株なので、本業の業績や経営判断によっても株価は動きます。取引所運営型は取引が減ると業績に響き、Web3・間接型は本業が振るわないと株価に表れます。
仮想通貨は過去にハッキングや流出の例もあったため、各社の保管方法(カストディ)やセキュリティ体制も確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
仮想通貨関連株について、よく聞かれる質問をまとめました。
Q1 仮想通貨関連株はNISAで買えますか?
購入可能です。
新NISAの成長投資枠は個別の上場株式が対象なので、多くの仮想通貨関連株を非課税の枠内で保有できます。非課税枠は年間240万円、生涯で最大1,200万円までです。
ただし、以下の銘柄は成長投資枠の対象外です。
- 整理銘柄:上場廃止が決まった銘柄
- 監理銘柄:上場廃止の可能性がある銘柄
対象かどうかは、証券会社の画面で確認できます。
Q2 仮想通貨が下がれば、仮想通貨関連株も必ず下がりますか?
必ず下がるわけではありません。
連動の強さはタイプによって変わり、財務保有型は強く連動する一方、Web3・間接型では影響が限られます。また、mNAVのプレミアム水準や本業の状況によって、仮想通貨と株価が異なる動きをする局面もあります。
Q3 暗号資産の税制改正で、株の税制メリットはなくなりますか?
すぐになくなるというわけではありません。
暗号資産の申告分離課税への移行は決まったものの、適用の開始は関連する法改正に合わせて2028年1月以降になる見通しで、対象も特定の暗号資産に限られます。
将来は株式との差が縮まる可能性はありますが、現時点では仮想通貨関連株の税制面のメリットはあるといえます。
Q4 少額(単元未満株)からでも買えますか?
少額からでも始められます。
多くの証券会社が1株単位で売買できる単元未満株に対応しており、銘柄によっては数百円から数千円で購入できます。
Q5 配当や株主優待がもらえる仮想通貨関連株はありますか?
仮想通貨関連株のなかには、優待や配当を出す銘柄があります。
- 優待・配当がある例:GMOインターネットグループ(ビットコインの優待)、セレス(仮想通貨の優待・配当)
- 配当・優待がない例:リミックスポイント(無配)、メルカリ(配当なし)
優待や配当を重視するなら、銘柄ごとの内容を確認するとよいでしょう。
国内の仮想通貨関連株のまとめ
仮想通貨関連株は、関わり方の違いによって値動きの大きさも投資のメリットも変わってきます。
本記事のポイント
- 4タイプに分けて捉えられる:財務保有型・取引所運営型・マイニング基盤型・Web3間接型に分けると、各社の関わり方がつかみやすくなる
- 連動度はタイプ次第:財務保有型ほど仮想通貨の値動きに強く連動し、Web3・間接型は影響が限られる
- 株で持つメリットがある:現時点では税制面で有利になりやすく、株主優待や配当、証券口座での管理のしやすさなどのメリットがある
- 注意したい点もある:値動きの増幅や新株発行による希薄化、本業や経営判断の影響は押さえておく
自分に合う銘柄を探すときは、まず関心のあるタイプを選び、個別の銘柄を見ていくと絞り込みやすくなります。気になる銘柄があれば、証券口座で事業内容や配当・優待、業績を確認したうえで、無理のない範囲から検討するとよいでしょう。
証券口座をまだお持ちでない方は、単元未満株を手数料無料で取引できるSBI証券からはじめると、少額から試しやすくなります。
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