アジア証券会社団体「セキュリティトークンには、規制当局の支援が必要」

アジアの証券会社団体がSTO呼びかけ

アジア証券業金融市場協会(ASIFMA)が「セキュリティトークン-市場参加者および規制当局のロードマップ」というタイトルのレポートを発表した。

ブロックチェーンベース証券の利点を説明し、規制当局にその採用を呼びかけている。トークン化が市場参加者に与える影響などについても詳しく論じている。

アジア証券業金融市場協会(ASIFMA)とは、アジア地域における銀行、資産運用会社を始めとする様々な大手金融機関から構成される独立した地域貿易協会で、拠点を香港に置く。

規制当局や取引所との協議、業界基準の構築、地域でのビジネスのコスト削減などに向けた様々な活動を行っている。メンバー企業には、JPモルガン、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングスなどの金融大手が含まれる。

セキュリティトークンの利点とリスク

レポートは、トークン化された証券とセキュリティトークン(STO)の違いを説明して、トークン化された証券を「規制の元で発行される、従来の証券であるがデジタル化されている」だとし、セキュリティトークンを「発行企業や収益経路への参加、あるいは配当や利子の受給資格」を含む資産として定義している。

両方のタイプのトークンにおいて、コストを削減し、効率を高め、「従来の金融システムと新しいデジタルワールドの架け橋となる」能力があると説明する。 従来のシステムでは所有権の登録や送金に約二日かかるが、トークン化されたセキュリティの場合はこれらが即座に可能であるという。

またスマートコントラクトの採用により、配当の分配などや、規則の順守を自動化することができて管理タスクや規制対応などについてコストや時間の削減を行うことが出来るようになるという点も利点として挙げている。

同時にセキュリティトークンを採用する上で理解しておかなくてはいけないリスクについても言及、資金洗浄対策や顧客の身元確認などについての法的順守を行わなかった場合のペナルティやサイバーセキュリティ対策にかかる追加費用を把握しておく必要があるとする。

レポートは、セキュリティトークン市場の成長が妨げられないよう、規制当局による積極的な支持が望まれ、ある資産がデジタルトークン化した時に、ただそれだけの理由で、その証券の位置づけを変更しようと考えるべきではないと示唆している。

なお秘密鍵やトークンを安全に保管する独立したカストディアン機関の存在も、投資家を引き付けるのに重要であると論じた。

アジアの仮想通貨状況

香港金融庁は先日、セキュリティトークンを取り扱うライセンスに関するルールを公表し、様々な取引所が香港で運営している状況への理解を示したところだ。

またタイではSEデジタル社が同国の証券取引委員会(SEC)から正式に承認を得て、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)のポータルを運用開始することになった。

日本でも、セキュリティトークンを活用したビジネス機会の拡大を展望するため、「一般社団法人日本セキュリティトークン協会(JSTA)」が今年5月に設立された。

参考:ASIFMA

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