トヨタ自動車とNTTが異例の資本提携へ スマートシティの開発で連携
トヨタ自動車とNTTが資本提携へ
トヨタ自動車とNTTが、資本提携する方針を固めたことが分かった。国内の複数のメディアが報じた。
本提携では、両社が相互に出資を行って株式を持ち合い、スマートシティの開発で連携するという。本日開催の取締役会で協議し、公式に発表を行うとみられている。
スマートシティの開発とは、AIやIoTといった先端技術を活用して、都市の機能やサービスを効率化・高度化して、快適性や利便性を高める取り組みだ。トヨタが持つ自動車運転などの次世代技術とNTTの高い通信技術を相互に活用し、スマートシティの構想を加速することが目的とみられる。
トヨタのメリットとしては、次世代通信規格「5G」を使った次世代車の開発を加速することができる。自動車産業は、つながる車(コネクテッドカー)や自動運転、シェアリングや電動化といった「CASE」と呼ばれる分野で開発の競争が激しくなってきた。NTTとはつながる車の共同研究開発で2018年12月から実証実験を進めており、今回の提携で関係をさらに深め、開発を加速する狙いがあるとみられる。
また21年からトヨタは、静岡県裾野市で実証都市「ウーブンシティ」を作り始める。これは未来型の新しい都市で、自動運転の電気自動車を走らせたり、室内用ロボットなど様々な技術を検証する計画だ。どの技術でも高速通信技術は不可欠なため、NTTの技術を活かすことができる。自動車のデータなどを即座に処理できる大容量の通信インフラの整備やデータの取り扱いなどの課題解決を目指す。
一方NTTも、スマートシティ構想を成長戦略の柱の1つに据えている。例えば米ラスベガス市とは、監視カメラや音響センサーを組み合わせ、通行する車両や人の状況を検知・予測するシステムを開発。交通事故の減少などに役立つ取り組みだ。
また千葉市とは自動運転の実証等を進めているという。NTTにとっては、このように自動車が関わる取り組みにトヨタの知見を活かすことができるメリットがある。スマートシティでは様々なセンサーを連携させるため、NTTグループが保有する通信技術を活かし、収益増加にもつなげたい。
トヨタの取り組み
トヨタは移動に関わるあらゆるサービスを提供する企業へ転換しようとしている。NTTだけでなく、2018年にはソフトバンクグループと事業を提携。共同で移動サービス企業を設立した。市販車ではKDDIと通信分野で技術提携をしている。
また新しい技術を積極的に取り入れる姿勢も見せている。先週はブロックチェーン技術に関して、「情報の信頼性の保証」や「分散性」が「100年に一度の変革期」ともいわれる自動車業界において大きな鍵を握ると紹介した。
ブロックチェーンの研究部門「トヨタ・ブロックチェーン・ラボ」が、ブロックチェーン業界のコンサル・開発などを手がけるBUIDLと「ヒトとクルマのID連携」を目指した実証実験を完了したことも発表している。
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