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伝統的金融とDeFiの融合が加速、業界大手が語るステーブルコイン拡大の現在地|MoneyX 2026

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

伝統的金融とDeFiの融合が本格化

2月27日に東京で開催された次世代金融カンファレンス「MoneyX」のセッション「SCにおけるDefiエコシステムの拡大」では、Visa・Chainlink Labs・Alpacaの幹部が登壇し、ステーブルコインの現状・課題・今後の展望を議論した。

登壇者は以下の通り。

  • Nischint Sanghavi(Visa、Head of Digital Currencies, Asia Pacific)
  • Fernando Vazquez(Chainlink Labs、President, Capital Markets)
  • 原田 均(Alpaca、共同創業者・CTO・CPO)
  • Angelina Kwan(Stratford Finance、CEO)※モデレーター

Visaのステーブルコイン決済、累計45億ドル規模に

VisaのSanghaviは、同社がデジタル資産分野に約7〜8年にわたって取り組んできたと説明し、近年の主要施策としてUSDCを活用したネットワーク内決済を挙げた。イシュアーやアクワイアラーとのUSDC建て決済は今年累計約45億ドル(約7,000億円)規模に達しており、「Visa Direct」を通じたステーブルコイン建て送金・払い戻しへの拡張も進んでいる。

機関採用の現状については「大手銀行との取り組みは現時点ではパイロット段階で、スケールには至っていない」と率直に認めつつも、「昨年以降、あらゆる大手機関がステーブルコイン戦略を真剣に検討し始めており、徐々に緩やかな段階から急激な段階へ移行しつつある」と述べた。

また日本について「主要市場の中でステーブルコインを理論から規制された現実へ最初に移行させた国の一つ」と評価。「今この議論を東京でしていることはまさに絶好のタイミングだ」とした。

Chainlink Labs、規制上の相互運用性が「本当の課題」

Chainlink LabsのVazquezは、EVMチェーン(イーサリアムと互換性を持つブロックチェーン)上のDeFiロック資産の70%以上を同社が担保する存在として、伝統的金融との融合を主導してきたと説明。技術的な相互運用性はすでに解決済みとした上で、「真の課題は規制上の相互運用性だ」と強調した。

「日本の規制は香港や米国・英国とは異なり、トークン化証券の定義も国ごとに違う。それを無視してトークンを跨いで転送すれば、コンプライアンス違反を助長しかねない」と述べ、同社が開発したコンプライアンスエンジン「ACE(Automated Compliance Engine)」の役割を説明した。

また、ステーブルコインの準備金管理についても課題を提起した。「米国で発行したステーブルコインを日本で使う際、準備金を二重に積む必要が生じる。この問題の解決なしに真のグローバル流動性プールは実現しない」とし、規制の標準化に向けた民間・公的部門の連携の必要性を訴えた。

関連:片山財務大臣、ステーブルコインの「社会実装」推進を表明|MoneyX 2026

Alpaca、米証券取引の80%以上を仲介

AlpacaのCTO・CPOである原田均は、同社が米国の証券取引機関の80%以上にサービスを提供していると紹介し、ステーブルコインを使った証券決済の実用化が着実に進んでいると述べた。

トークン化株式については「Xstock(テスラ、フォード、GMなど)は登場から1年も経たずに数十億ドルの取引量に達している」と指摘。これはあくまで中央集権型取引所の数字であり、分散型取引所を含めればさらに大きいとした。

また米SEC(証券取引委員会)が先週、ブローカーディーラーによるステーブルコインの顧客代理保管に関するガイダンスを発表したことにも言及し、「かつては100%の準備金が必要だったが、現金と同等に扱えるようになれば業界全体の使い勝手が大きく変わる」と話した。

何が機能し、何が課題か

セッションでは「現在実際に機能しているもの」についても議論が行われた。

Sanghaviは「ステーブルコインや仮想通貨に連動したカードサービスは世界規模でうまく機能しており、ユーザーからの評判も良い。一方で、銀行口座内でステーブルコインを保有し、法定通貨との間で柔軟に変換できる仕組みはまだ実現していない。今後12〜18カ月での実現を期待している」と述べた。

Vazquezは「技術は整っている。足りないのは、法域をまたいだコンプライアンスの仕組みだ」とあらためて強調した。

関連:SBI北尾会長兼社長、円建てステーブルコイン「JPYSC」を解説 米国の規制整備や日本の税制改革にも強い期待|MoneyX 2026

「スタートから設計できる規制環境を」

各登壇者は今後の業界に向けた要望や予測を述べた。

VazquezはグローバルなJPYC準備金の二重積み問題を挙げ、「コンプライアンスこそが最優先課題だ。セクシーな話ではないが、これが整わなければ自然な成長は望めない」とした。

原田は「ドバイのDIFCのように、既存の法律を改正するのではなく、現在利用可能なテクノロジーに合わせてゼロから設計できる特区が日本にも生まれてほしい」と述べた。

Sanghaviは「アジア太平洋には規制が細分化された国が多く、ステーブルコインの扱いも様々だ。共通基準の整備が進めば、送金をタップ一つで完結させるという目標に近づける」と期待を示した。

関連:JPYC×LINE連携で日本円ステーブルコインを日常決済へ|MoneyX2026

今年の予測、ステーブルコインが「日常」に近づく年

セッション最後に各登壇者が今年の予測を述べた。

Sanghaviは「アジア太平洋を中心に、強力なローカルステーブルコインが複数登場する年になるだろう。規制の整備が進んでおり、条件は整いつつある」と述べた。

Vazquezは「自分の家族がステーブルコインを日常的にやり取りする時代がくる。子どもへのお小遣いもステーブルコインで渡せるようになる」とした。

原田は「ステーブルコインが投資対象ではなく、実際の決済手段として使われる局面が今年から本格化する。いつかアルパカのエサもステーブルコインで買える日が来るかもしれない」と笑いを交えながら語った。

MoneyXについて

MoneyXは、ステーブルコインの正式認可が切り拓く「通貨の新時代」をテーマとした次世代金融カンファレンス。国内外から金融業界の有識者、大手金融事業者、スタートアップ、投資家、規制当局が集結し、技術革新・制度設計・社会実装をめぐる議論を展開する。

参加登録は無料・承認制。日本最大のWeb3カンファレンス「WebX」を主催するWebX実行委員会が主催し、JPYC、Progmat、SBIホールディングス、CoinPostが企画・運営に携わる。

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