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仮想通貨ATMを全面禁止へ?米ミネソタ州が法案審議、高齢者詐欺被害が急増

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 2025年だけで70件超・54万ドルの詐欺被害が報告
  • 業界側は禁止でなく規制強化を訴え

仮想通貨ATM禁止を検討

米ミネソタ州議会は2月26日、州内すべての暗号資産(仮想通貨)ATMを禁止する法案「HF 3642」を審議した。HF 3642は、ミネソタ州民主農民労働党(DFL)のエリン・コーゲル下院議員によって、下院商業・金融政策委員会に同月23日に提出されたものだ。

HF3642は、州内での「仮想通貨キオスクの設置および運用」を一切禁止する内容で、現金やデビットカードで即時に仮想通貨を購入できる物理的な端末を対象としている。オンライン取引は同法案の対象外となる。

ミネソタ州では、2024年に制定された仮想通貨詐欺対策法で、すでに以下のようなATM規制が導入されているが、HF3642はこの規制も廃止する方向だ。

  • 新規顧客による利用上限:1日2,000ドルに制限
  • 72時間のクーリングオフ期間
  • 被害者への返金制度

現在、ミネソタ州内には8~10社が運営する認可済みのATMが350カ所に設置されている。

禁止法案が提出された背景には、仮想通貨ATMを悪用した詐欺被害の増加がある。2025年に州商務省に報告されたものだけで、仮想通貨ATM関連の詐欺被害事件は70件を超え、被害額は総額54万ドル(約8,400万円)以上に達した。

商務省の政府関係担当者は、被害者の約48%が払い戻しを受けたものの、その総額は全体の損失額のわずか16%にとどまっていると指摘。また、2024年に導入された仮想通貨ATMの消費者保護措置についても、詐欺師が少額の分割入金を指示するなどの手口で容易に回避していると説明している。また、警告表示や開示義務、新規顧客向け規定はいずれも実効性に乏しく、「これまでの保護強化策は失敗に終わった」との認識を示した。

高齢者が狙われる

2024年のFBI報告書によると、被害者の年齢が判明しているケースでは、60歳以上が被害額の86%を占めた。

26日に行われた同委員会の審議でコーゲル議員は、現場の警察官の言葉を引用し「社会的弱者を搾取しようする者にとって、ATMが格好の標的となっている」と述べた。

ウッドベリー警察のリン・ローレンス刑事は、収入の限られた高齢の被害者が6ヶ月間で少なくとも10件のビットコイン取引を行い、月収の約50%を詐欺師に送金した事例を紹介。食料や住居への不安を抱えるに至り、最終的に成人保護サービスの介入が必要になったと証言した。

書面で提出されたファリボールト市警察署長の証言によると、2022年以降、同市の住民は仮想通貨ATM詐欺で推定50万ドル(約7,800万円)超の被害に遭っているが、これは実際の被害のわずか25%程度にすぎないと推定されるという。

同市の被害者の平均年齢は68歳。詐欺師は従来の銀行手続きではなく、被害者を仮想通貨ATMに誘導し、デジタルウォレット経由で資金を瞬時に奪う手口を用いている。

セントクラウド警察は、78歳女性が8万ドル(約1,250万円)を失った事例を報告。奪われた資金の大半は、海外の受取人のもとに流れるため、資金の回収は困難を極めるという。

こうした背景を受け、セントポール市議会は仮想通貨キオスクの禁止を承認し、昨年12月に施行した。

業界からの反論

しかし、ミネソタ州に50のキオスクを設置しているデジタル通貨プラットフォームのコインフリップ(CoinFlip)は、委員会への提出資料で、全面的な禁止よりも、詐欺被害を受けたすべての顧客への払い戻しなど、厳格なルールの導入を支持している。

同社の法務最高責任者ラリー・リプカ氏は、「詐欺師は悪質だが、ATM事業者は加害者ではない。詐欺の唯一の手段でもない」と主張。禁止ではなく、全被害顧客への返金義務化や取引のクーリングオフ期間設置(新規顧客取引を一定期間後に確定させる仕組み)などの規制強化を代替案として提示した。

同氏はまた、「過去1年で1万2,000件の取引のうち、返金申請は1%未満」とも述べ、自社のコンプライアンス水準の高さをアピール。「合法的な製品を、詐欺が起きているからといって禁止するのは不適切だ」と訴えた。

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