HSBC銀、1兆円の金融資産記録をCordaブロックチェーンに移行完了

私募債記録のブロックチェーン移行を推進

イギリスに本部を置く世界最大級のメガバンクHSBCが、紙ベースで記録された私募債のうち、100億ドル分(約1兆800億円)をデジタル化し、企業間取引利用に特化したブロックチェーンプラットフォーム「Corda」上への移行を完了。Coindeskの取材で判明した。

HSBCは、今後1年から1年半で、さらに私募債記録のデジタル化を進め、ブロックチェーンへの移行を大幅に増加させる予定だ。

昨年11月末には、3月を目処に200億ドル規模の私募債記録をブロックチェーンプラットフォームで管理すると同行は発表していたが、顧客の要望に沿ったプラットフォームの機能向上を優先したため、当初の予定より時間がかかっているという。

顧客自身が情報にリアルタイムでアクセス

通常、ブロックチェーン技術導入の理由として、業務の効率化やコスト削減が挙げられるが、HSBCが主眼に置いているのは、リアルタイムで情報にアクセスすることだと、カストディ革新/戦略イニシアチブ部門責任者のCiaran Roddy氏は説明。

「デジタル金庫室(digital vault)」と名付けられたCordaプラットフォームでは、これまで電話で問い合わせしていた私募債の記録に、顧客自身がリアルタイムでアクセス可能。さらに、規制当局や会計監査人などの第三者にシステムへのアクセスを許可することもできる。そのため自身のアセットマネージャーに対しアクセスを許可している顧客も中には存在するという。

ブロックチェーンを選ぶ理由

HBSCが、資産記録のデジタル化を行うのにあたり、単にデータベース化するのではなくブロックチェーンを選んだ理由として、近い将来、私募債などの金融資産のトークン化を見据えていることが挙げられる。

HBSCは、デジタル化されていない資産や分割可能な資産、さらには取引所基盤のセキュリティトークン等に注目しているが、顧客からもファンドの全ライフサイクルに関するトークン利用や、資産バスケットのトークンなどに対する要望が寄せられているという。

譲渡可能で合法的なものとして、規制当局がトークン化された資産を承認するかなどの課題はあるが、HSBCでは、市場でのトークン取引を希望する顧客をサポートするための体制づくりの一歩としても、ブロックチェーンの導入が位置付けられているようだ。

Roddy氏によると、HSBCは金融機関が資産を発行するための、より優れた手段としてトークンを利用する世界を見据え、その到来に備えるプロジェクトに着手しているとのことだ。

HSBCはこれまでにも、ブロックチェーン上で、27兆円を超える外国為替取引の決済や、初の中国人民元建ての信用上取引も成功させており、積極的にブロックチェーン技術の導入に取り組んでいる。

参考:Coindesk

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R3社のCEOは、2020年にイタリアの全銀行システムの銀行間決済をCordaブロックチェーン上で行うことを明かした。大規模導入事例の重要性について、SBI R3 Japan ビジネス開発部長がコインポストの取材に答えた。
欧州中央銀行はR3・アクセンチュアと共同して、中央銀行デジタル通貨決済の概念実証を実施。 顧客のプライバシー保護を行いつつAML対策など規制に対応できるという結論を得た。

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