仮想通貨証拠金倍率と税制について音喜多議員が質疑 麻生大臣らは難色を示す

音喜多議員が麻生大臣らに質疑

日本維新の会の音喜多駿議員は2日、参議院の財政金融委員会で暗号資産(仮想通貨)の新たな規制について質疑を行なった。

質疑内容

音喜多議員は、暗号資産法を定める上で議論を行なった「仮想通貨交換業等に関する研究会」や、新たな証拠金倍率、雑所得に区分される税制について、質疑。金融庁の中島淳一 金融庁企画市場局長と麻生太郎 金融担当大臣が答えた。

金融庁への質問

日本の仮想通貨証拠金倍率などの議論を行なった「仮想通貨交換業等に関する研究会」については、トレーダーや暗号資産取引の実務者がほとんどおらず、議論が不十分であると説明。研究会のメンバーの選定理由と議論が不十分だと考える点について、見解を求めた。

中島淳一 金融庁企画市場局長の回答

金融庁では、暗号資産の諸問題に対応するため、「仮想通貨交換業等に関する研究会」を設置。研究会には、暗号資産や金融取引に関する学士経験者や技術に明るい研究者、暗号資産交換業者や外国為替交換業者の業界団体など、幅広い関係者に参加してもらった。

また、暗号資産のデリバティブ取引における証拠金倍率については、内閣府令で定めたが、その決定にあたり、一般の投資家を含めたトレーダーを含めたパブリックコメントを実施した。

この回答に対し音喜多議員は、パブリックコメントや、業界団体、専門メディア等からも反対意見が多かったと指摘。

仮想通貨の証拠金倍率(レバレッジ)については、2倍に下げる規制は海外事業者への資金流出を招き、国内企業の資本力・及びサービス低下につながるなど問題点は多く、過剰な規制であると考えるとして、追加の見解を求めた。

中島淳一 金融庁企画市場局長の回答

暗号資産のデリバティブ規制における、証拠金倍率の上限については、仮想通貨交換業等に関する研究会の報告書において、「仮想通貨の価格変動は、法定通貨よりも大きいことを踏まえ、実態を踏まえた適切な上限を設定することが適当と考えられる。また、EUにおける規制で2倍とされていることなども踏まえて、2倍とすることを基本と検討すべき」との意見もあったと記されている。

これを踏まえ、具体的な証拠金上限については、外国為替取引(FX取引)に係る証拠金倍率と同様の考え方のもと、過去のデータから取引量の多い主要な暗号資産の1日の価格変動をカバーする水準を算出して証拠金倍率を2倍と設定している。

また、3月12日においても、暗号資産の価格は大幅に下落し、1日の変動率はビットコインで37%、イーサリアムで42%となっており、1日の価格変動をカバーする証拠金倍率の上限は2倍程度が相当と考えている。

音喜多議員は、「レバレッジを流動性観点からみると、下げることが安全につながる訳ではないことは、研究結果からも明らかである」と発言した。

麻生金融担当大臣への質問

仮想通貨税制については、最大税率55%とされている雑所得に区分される税制をあらためて、国際水準並みの税制にするべく金融庁が旗振り役となって要望するべきと考えると説明。

分離課税にすること、損益通算、繰越控除を認めること、仮想通貨間の媒介や少額決済を非課税化することなど、金融庁として、税制改正要望をするべきだと求めた。

麻生金融担当大臣は、「暗号資産は名前も、暗号と言われると、怪しげな感じはなきにしもあらずである。推進したいと考えているなら、別の名前でステーブルコインといっているので、そういった日本語を使ったらどうか」とコメント。

雑所得に区分されている仮想通貨税制については、1900兆円の個人金融資産のうち950兆円ほどが現金預金である中で、各家庭に貯金より投資を勧めているが、政府の政策として暗号資産の税制を改めることは、一般家庭に「暗号資産を家庭に勧めることにつながり、これは現時点では難しいのではないか」と指摘。分離課税に否定的な見解を示した。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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